アウトモビリ・ランボルギーニは2023年8月21日、近未来のハイパフォーマンスBEVをイメージしたコンセプトモデル「Lanzador(ランザドール)」を、モントレー・カーウィークで発表した。市販モデルとしては第4シリーズの具体的なビジョンとなる。
先見性と反骨精神を兼ね備えた「ウルトラGT」モデル
アウトモビリ・ランボルギーニは2年以上前に、ブランドの精神と魂に忠実であり続ける高性能な電動ランボルギーニモデルを10年以内に提供すると公約した。コンセプトカーであるランザドールは、まさにその実現に向けたプロローグ的存在と言えそうだ。
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そのスタイルは、きわめて先鋭的だ。最低地上高が高めに設定されている2+2シーターであり、見るからに現代的なフォルムの中に、クリアかつピュアなスポーツスピリットを漂わせている。ランボルギーニはその個性を、自動車の新セグメントとして「ウルトラGT」と呼ぶ。
機能面も革新的だ。新型インフォテインメント機能による無類のオンボードエクスペリエンスを提供し、スーパースポーツカーの超高性能な要素との快活な汎用性を合わせ持つ。
様々な意味で全く新しいコンセプトを導入しながらも、ランザドールはランボルギーニ独自のDNAに対してきわめて忠実だ。ランボルギーニが2021年に発表した持続可能性への道程を示した「コル・タウリ(Cor Tauri)戦略」および脱炭素化と電動化に向けたロードマップに沿いながらも、クラス最高峰のスポーティさと運転する楽しさ、という普遍的価値を提供することを目指している。
ランザドールは同時に、ランボルギーニのスーパースポーツカーに本質的に備わっている性能と、運転する楽しさをさらに増した特性を融合させた上で、日常的に運転できる汎用性の高さをも兼ね備えている。V12プラグインハイブリッドであるレヴエルト(Revelto)のに続いて、2028年から製造されるシリーズモデルの未来を示す存在に他ならない。
アウトモビリ・ランボルギーニのチェアマン&CEOのステファン・ヴィンケルマンは、この新たなコンセプトモデルについて、次のように述べている。
「この4番目のモデルコンセプトでは、当社のDNAを忘れずに未来を見据えています。ランボルギーニが発表した最初のクーペ・モデルは、スポーティーなフロント・エンジン車で、日常使いに適したエレガントな2+2シ―ターグランツーリスモでした。今回ご披露した市販モデルのコンセプトでは、当社の理念であるスーパースポーティーネスに優れた新技術と大胆なデザインを融合させており、これはコル・タウリ戦略と完全に一致しています」
テクノロジー-可変性の高い完全電気走行
ラザンドールは、ランボルギーニ独自のコンセプトに基づいたグランドツアラーであり、それにふさわしい先進的なパワートレーン、メカニズムが採用されている。
各アクスルに搭載した高出力の電気モーターが、あらゆるコンディション、路面、ドライビング・スタイルにおける最高のパフォーマンスを保証。そこでは、1メガワット(1360ps!)以上の最高出力を発揮するという。新世代高性能バッテリーとの組み合わせによって、長距離走行も得意だ。
全輪駆動化によって、ダイナミックなコーナリングも実現。アクティブe-トルクベクタリングが、あらゆる状況に応じてリアアクスルの駆動力を最適制御してくれる。
アウトモビリ・ランボルギーニのチーフテクニカルオフィサーであるルーヴェン・モールは、ラザンドールのパフォーマンスについて、次のように語る。
「ランボルギーニにとって電動化とは制約につながるものではなく、パフォーマンスと操作性を高めるための理にかなった進化の機会と捉えています。だからこそラザンドールもまた、パワー、ドライビング・プレジャー、パフォーマンスについての妥協は一切なく、お客様が毎日楽しむことができるランボルギーニとしてのBEVの理想形を提案しているのです」
ラザンドールの特徴は、ハードウェア要素のみではなく、ソフトウェアやコントロール・システムにも見られる。ルーヴェン・モールは次のように説明している。
「これからのランボルギーニは、オール・アクティブ・コントロール・システム戦略によってブランドの個性を出し、差別化を進めます。ランボルギーニのインテグレーテッド・ドライビング・ダイナミクス・コントロールを全く新しい水準に引き上げます。従来の市販スポーツカーでは実現できなかったことであり、お客様に革新的なドライビング・エクスペリエンスを提供します。パワー、性能、走行距離、エアロダイナミクスの適切なバランスの追求は、確かに開発段階における最大の課題でしたが、チャレンジこそがランボルギーニR&D部門の礎なのです」
Feel like a pilotと名付けられた心躍る室内空間
ランボルギーニが「Feel like a pilot(パイロットになった気分)」と呼ぶインターフェイス。ドライバーは走行中にスポーツステアリングホイール上のコントローラーを使って、自分でシステムの制御を調整することができる。積極的に車両の動作に関わる調整も可能で、自分好みの車両特性を作ることができる。
それは紛れもなく未来のランボルギーニ車が備える、マンマシンのつながり。そこでは、以下の3つの要素と制御システムが不可欠となる。
要素1.ドライビング・ダイナミクス・コントロール
新しく開発されたドライビングダイナミクスコントロールシステムである「ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ(LDVI)」は、ランボルギーニのコンセプトカーおよび未来の量産モデルの双方の走行性能にとって、新しいベンチマークを定めている。
将来的には大幅に増加したセンサーとアクチュエーターをLDVIに組み込んで、ドライビングの精度と正確性をさらに高め、ハードウェアのみならず、コンポーネントを管理する制御アルゴリズムについても極めて重要なイノベーションを実現する。
制御システムに送られるセンサーやデータが多いほど、ドライブ感覚やフィードバックの微妙な差異を提供する際に、アルゴリズムの精度が上がる。
これによりこれまで以上に各々のドライバーに応じた運転特性を正確に区別できるようになり、ドライバーは車両の前方に取り付けられた新型「パイロット」ガラスパネルの後方に設置されたインテリジェントセンサーを通して返された情報を受け取り、未来のレーダー技術を体験することができる。
要素2.アクティブエアロダイナミクス
アクティブエアロダイナミクスは、1回のバッテリー充電で走行可能な距離を延長し、同時にパフォーマンスを向上させる。
ランザドールは高速コーナリングに必要となる正確なダウンフォースや、最高速度における最小限の空気抵抗を可変的に調整することが可能であり、それぞれの状況で最適なパフォーマンスを提供する。
このコンセプトカーでは、ドライバーの要求や必要な走行距離に沿って各々の運転状況に「Aero(空気)」の適応を目指す、ランボルギーニの未来理念「Vision of Smart Aerodynamics」を強調している。
ランボルギーニは排気口を使って、高速走行時にホイールアーチの動圧によって車両前方が持ち上がる現象を抑えている。そのため、ルーバーが目立ちにくくなっており、さらなるドラッグの発生を抑えてダウンフォースを増大させる。
Efficientモードではボディ表面の全域に形成された層流が、リアの境界部で収束するまで続き、またALAシステムがフル機能を発揮して、後方への圧力を回復させながらドラッグを大幅に軽減し、効率を高める。
要素3.アクティブサスペンション
可動型リアアクスルやエアサスペンションなどのアクティブシャーシによって、ランザドールはあらゆる路面状況に合わせて最適な調整を行う、あるいはドライバーが前回設定したスタイル(走行中にステアリングホイール上のコントロールを使って素早く、直接調整が可能)に従って最適化される。
モーターを2基搭載したことの主な利点は、トルク配分を正確に行いドライビングダイナミクスを向上させることだ。ランボルギーニのコンセプトでは、制御エレメントが各アクスルに必要なトルクをミリ秒単位で個別に算出し、2基のモーターがリアアクスル左側と右側に異なるトルクを配分する。
同時に、ホイールスピードコントロールを搭載したことで、個々のホイールでパワーとフォースを非常に細かく調整、より正確なターンインを可能にする。特にカーブが多い道路では、強力な加速を維持したダイレクトかつリニアなハイスピードドライブを実現する。
ランザドールはデザイナーやエンジニアの思い付きによって誕生したわけではない。ランボルギーニが2028年に発表する市販車両のプレビューを具現化していく。
第4モデルのコンセプトに基づいた当シリーズの市販車はサンタアガタ・ボロネーゼで製造される予定であり、ランボルギーニは拠点の拡張と従業員の増員を計画している。
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