近年の新型車のほとんどが採用している「プッシュ式スタートスイッチ」。昔のクルマのようにキーシリンダーに鍵をさして回さなくても、スマートキーを持ってさえいれば(鞄やポケットの中でもOK)、エンジンの始動/停止がワンプッシュでできる便利なアイテムだ。
ただ、最新のクルマの中には、そのプッシュ式スタートスイッチを無くしてしまったものも登場している。今後プッシュ式スタートスイッチはなくなっていくのだろうか。
プッシュ式スタートスイッチすら消える時代が…来る? 来ない? 便利?? 物理スイッチはなんのためにある??
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_ cobzcons
写真:VW、TOYOTA、Adobe Stock、エムスリープロダクション
VWの「ID.4」にはスタートスイッチがなかった!!
2022年11月に日本発売となったフォルクスワーゲンの最新BEV「ID.4」がまさに、スタートスイッチすらないクルマだ。スタートスイッチの代わりとなるのは、液晶メーターの右上に設置されているシフトスイッチ。クルマに乗り込んだあと、ブレーキを踏んだ状態で、スイッチをつまんでDドライブ、もしくはRドライブへ回すと、車両のシステム起動と合わせて、走行が可能となる。
先日試乗させていただいたのだが、「これはあり!!」と感じた。もちろん最初はスタートスイッチを押すという動作がないことに違和感もあったが、慣れてしまえば、動作がひとつなくなり、ラクだと感じる。例えるなら、自動でパーキングブレーキのON/OFFをしてくれる電動パーキングブレーキを最初に体感したときのような感覚だ。走行を終えてPレンジにシフトチェンジをすると車両はスタンバイ状態となり、シートベルトを外してクルマを降り、ドアを閉じるとシャットダウンするという設定も分かりやすい。
懸念されるのは、クルマを乗り換えたときの喪失感(便利すぎて機能がないクルマにはもう戻りたくない)くらいで、使い勝手は非常によい。BEVはもとより、ハイブリッド車やPHEVといった電動車であれば、同じ機能はすぐにでも採用できるはずだ。
フォルクスワーゲンID.4のシフトスイッチ。前方へひねるとDレンジ(Bレンジ)、手前にひねるとRレンジとなる。Pレンジはシフトスイッチに右側にあるプッシュボタンを押す(筆者撮影)
キーシリンダーへ鍵をさし、時計回りにひねってセルモーターを回していた時代があった。現在は、軽トラなどを除いて絶滅に近いものだが、中古車としてはまだまだ多くあるシステムだ(PHOTO:Adobe Stock_ Viktor)
ただ、これが業界スタンダードとなることは考えにくい
ただ、これが主流になってくるかというと、現時点ではなかなか難しいと考える。その最大の理由は、トヨタの動向だ。
近年のトヨタ車は、スタートスイッチをかなり目立つ位置に配置している。先日新型が登場した大人気ミニバン「アルファード」/「ヴェルファイア」も、運転席前にあるメーターフードの左上、インフォモニターとの間の目立つ場所に配置されている。
トヨタは、2009年に北米で起きた暴走事故(ハイウェイを走行中に突如速度制御が不能となったことで、乗っていた4人全員死亡。原因は2枚敷きしたフロアマットの上側がずれてアクセルペダルに引っかかったことだったが、トヨタは遺族に10ミリオンドル(当時価格で10億円)もの和解金を支払うこととなった)をきっかけに、万が一、走行中に何らかの要因でクルマが暴走した場合、助手席側からでもすぐにエンジンをストップできるよう、車両中心側の目立つ位置に、スタートスイッチを必ず置くようにしているという。
目立つ位置に配置しているほど慎重になっているスタートスイッチをなくすようなことは、トヨタはやってこないはず。クルマメーカーとしては、安全性能は何よりも優先したいもの。トヨタがやってくれば、業界スタンダードとして定着する可能性はあるが、トヨタが採用する可能性が低いことから、スタートスイッチレスがスタンダードとなることは(少なくともしばらくは)考えにくいだろう。
新型アルファードのインテリア。メーターフードの左上、インフォモニターとの間の目立つ場所に配置されており、助手席側からでも手が届く
スイッチは無くさないほうがよいこともある
近年は、カーエアコンの設定スイッチなどが、液晶パネルのなかに取り込まれているクルマもある。ゴテゴテしたスイッチ類がなくなることで、インテリアは先進的ですっきりするのだが(材料コストも下げられる)、操作性はイマイチと感じることが多い。走行中の揺れる車内で、前を向いたまま、なんの凹凸もない液晶画面にタッチで温度調節などできるはずがなく、音声やジェスチャーで操作できるといっても、やはり手で操作したほうが早かったりもする。
ただしこれは、ユーザーによって意見が分かれるところかもしれない。実際、エアコンの設定スイッチのタッチパネル化については反対の筆者だが、今回のID.4のプッシュ式スタートスイッチ「レス化」は、使い勝手、デザイン性などの面でよい印象だった。ただ、トヨタの動向も考慮すると、今後、他のメーカーが追従してくるのかは微妙なところだと思う。メーカーの個性が現れた、新しい形のスタートスイッチが出てくることを期待したい。
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みんなのコメント
今は教習所でもやってないのかな。どうなんだろ。
乗ってすぐD入れたら動くってエレベータみたいで…完全自動運転にでもならない限りいらない。