トヨタが誇る高級車ブランドの苦境
レクサスは、高級車ブランドに求められるものをすべて備えているように見える。今年、レクサスは3年連続で英国の自動車雑誌What Carの信頼性調査で首位に立った。レクサス車のオーナーはディーラーでの体験に満足し、2005年にハイブリッドを導入するなど電動ドライブトレインの分野でも大きく先行している。また、1998年に発売された「RX」を皮切りに、高級志向のSUVトレンドの最前線に立った。
【画像】欧州レクサス期待の新星!最新SUVモデル【NX、UX、RZを写真でじっくり見る】 全77枚
では、なぜレクサスは欧州の消費者にいまだに響かないのだろうか? 一方、トヨタは欧州での市場シェアを過去最高に伸ばしており、このアンバランスを解消するためにレクサス欧州部門の全面的な見直しに着手している。
英国のロビー団体SMMT(自動車工業協会)によると、英国における11月末までのレクサス販売台数はわずか9034台で、苦境に立たされているジャガー(前年比31%減)にさえ遅れをとっている。最も好調だった2019年でさえ、1万5713台しか売れていない。
このように小規模であるにも関わらず、英国は他の欧州諸国と比較すると大きな市場であることに変わりはない。欧州のACEA(自動車工業会)によると、10月末までの欧州全体の販売台数は3万265台で、前年比27%の減少となっている。
「2022年はレクサスにとって非常に厳しい年だったことは否定できない」と、トヨタ・モーター・ヨーロッパを率いるマット・ハリソンCEOは11月末のメディア向けイベントで語っている。
欧州レクサス、売れない2つの理由とは
今問題になっていることの1つは、生産だ。欧州で販売するレクサス車はすべて日本製で、半導体不足で大打撃を受けているのだ。
今年1月初旬の時点で、英国向けの公式ウェブサイトでは、ミドルサイズSUVの「NX」のハイブリッド仕様について、「2023年分が完売したため、一時的に受注を停止しています」と書かれている。プラグインハイブリッド(PHEV)仕様は引き続き販売されている。
多くの自動車メーカーは、半導体を利益率の高い車種やブランドに優先的に配分しているが、NXは違う。レクサス欧州部門のパスカル・ルッホ副社長は、「NXは車種独自の部品が多いため、柔軟性が限られている」とAUTOCARに語っている。
NXは「今年の成長目標の中心」であったため、生産の逼迫が大きく響いたとハリソンCEOは振り返る。
しかし、欧州におけるレクサスの課題は供給不足にとどまらない。法人向けの社用車販売に苦戦しており、今年の総販売台数に占める割合はメルセデス・ベンツの約50%に対し、35%にとどまる。これは昔からの宿題だ。ルッホ氏は、「長年にわたるパワートレインの主役は、ディーゼルでした」と話す。
EV(電気自動車)の導入の遅れも響いている。EVは、税制上の優遇措置により、ディーゼルに代わるパワートレインとして急速に選ばれるようになった。コンパクトSUVの「UX」のEV仕様は、1回の充電での航続距離が約320kmと短く、10月末までに英国でわずか300台しか販売されていない。
電動モデルにテコ入れ EV導入も加速
レクサスの市場シェアが低いことについて、BMWやメルセデス・ベンツと比べるとまだ「若い」ブランドだからだとルッホ氏は擁護するが、テスラが10年未満で成し遂げたことを考えると、この弁もいささか空虚に感じられる。ボルボから独立したばかりのポールスターはさらに若いが、いまやレクサスのかかとに食らいついている。しかし、レクサスはここ数年で最もフレッシュなラインナップを揃えているというルッホ氏の主張には、説得力がある。
例えば、NXには初めてPHEVが設定され、英国では従来のハイブリッド車販売を上回った(ハイブリッド車の受注停止もあるが)。
一方、UXのEV仕様においても、駆動用バッテリーを54kWhから73kWhに大型化し、航続距離を約450kmに伸ばした改良型が2023年に発売される予定だ。
フラッグシップSUVであるRXは、最高出力370psの高性能PHEV(RX 500h)が満を持して投入される。
さらに、電動SUVの「RZ」も年内に登場。EV専用のE-TNGAプラットフォームを採用したレクサス初のモデルで、トヨタbZ4Xの兄弟車となる。
他にも多くの新型車が控えている。2021年12月に発表されたトヨタの新型EV(全15車種)の中には、レクサスの7車種が含まれており、2030年までに欧州向けに「フルEVラインナップ」を実現する野心的な未来を覗かせてくれた。スポーティなセダンやステーションワゴンのほか、電動スーパーカー「エレクトリファイド・スポーツ」の発売にも期待が寄せられる。
また、UXの下に位置するコンパクト・クロスオーバーとして「CT」を復活させる可能性もある。成長を続ける欧州のクロスオーバーセグメントに向けた、強力な一手となるだろう。
「走り」に焦点当てた車両開発
レクサスは、スポーティな走りに改めて焦点を当てることで、やや曖昧なブランドイメージを鮮明にしたいと考えている。「電動化を活用して、ドライビング・エクスペリエンスを刷新したい」とルッホ氏は語る。中でも、2つの革新的な技術が目を引く。ステアバイワイヤの「ワンモーショングリップ」、そしてトルクを各車輪に振り分けてグリップとコントロールを向上させるトルクベクタリング「DIRECT4」だ。後者は、EVやハイブリッド車に搭載された電気モーターを利用するもので、「レクサスのドライビング・シグネチャー」を実現する鍵となるという。
ステアバイワイヤは今に始まったものではないが、RZのオプションとして、ステアリングコラムを廃止し、代わりにECUと電気系統をバックアップとして使用することができる。ステアリングギアレシオを変化させることで、ヨーク型ステアリングホイールの装着を可能にしている。
トヨタが欧州でレクサスにこだわるのは、欧州の消費者にとってありがたい話である。2021年の世界販売台数は76万12台で、内訳としては米国(33万2000台)と中国(22万7000台)が圧倒的に多い。英国を含む欧州は、わずか4万7604台だった。レクサスにとって、欧州の重要性は低い。
欧州以外の地域では、RXのような大型車が販売の中心だ。レクサスにとって欧州最大の市場であるロシア(上記のACEAの数字には含まれていない)は、高級モデルの比率が高いことから収益性が最も高い。しかし、昨年2月のウクライナ侵攻を受けて、トヨタとレクサスはロシアから撤退している。
今のところ、レクサスが欧州でビッグウェーブを起こすことはなかった。しかし、電動化と古き良き時代の走りの追求が、レクサスを消費者のお買い物リストに載せるために必要な調整なのかもしれない。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
新車採用が「義務化」! でも後退時「バックモニター」だけで動くのは「危険すぎ」!? “カメラ”に映らない「死角」がヤバかった
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
「財布を忘れて帰ろうとしたら、免許不携帯で捕まりました。今取りに帰るんですよ。私が悪いんですか?」質問に回答殺到!?「事実でしょ」「非常識」の声も…「うっかり」でも許されない理由とは
アウディ製5気筒エンジン搭載、最後のドンカーブート『F22ファイナルファイブ』発表
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント