かつては1600ccクラスのクルマが一番売れていた!
トヨタの2T-Gと4A-G、ホンダのZC、B16、マツダのB6、マニアックなところでは、日産のSR16(赤ヘッド 200馬力)や、三菱の4G92、いすゞの4XE1(国産初のクーリング機構付きピストンを採用した量産ガソリンエンジン)など、名機と呼ばれるものが多い、1600ccのエンジン。
【名車列伝】80年代90年代に国産メーカーがしのぎを削った1.6リッターのパワーバトル
なぜ国産の1.6リッターエンジン、いわゆる“テンロク”エンジンには名機が多いのか。主な理由は二つある。
ひとつは、1980年代から1990年代前半まで、1600ccクラスのクルマが一番売れる商品だったから。トヨタでいえば、カローラ。ホンダならシビック、マツダならファミリア、日産ならサニーと、各社の主力商品がそろっていたので、エンジン開発にも力が入っていた。
また当時はカタログ数値がものをいうスペック至上主義の時代でもあり、最大出力はもちろん、DOHC、4バルブ、あるいは5バルブ、VTECなどの可変バルブ、ターボ、スーパーチャージャーといった言葉が並び、NAでもリッターあたり100馬力が当たり前になっていった。
もうひとつは、モータースポーツのレギュレーションとの絡み。
人気のあったグループAレースでは、一番排気量の小さい「3クラス」が、1600cc以下という規定。スーパー耐久レースの前身、N1耐久のクラス4も1600cc以下。全日本ラリーのBクラスも1001~1600ccという区分けで、これらのクラスで活躍するには、1600ccのパワフルなエンジンが欠かせないということで、各メーカーともに、このクラスに高性能エンジンを投入してきた。
しかし、スポーツカーブームは去り、RVやミニバンに人気は移り、エコカーの時代も迎えたこともあり、さらに500ccごとに刻まれている日本の自動車税の区分でも不利な1600ccのスポーツエンジンは日陰者の存在に……。
近年まで、スズキのスイフトスポーツ用のエンジン、M16Aがこのテンロククラスを守っていたが、そのスイフトも2017年にデビューした4代目スイフトスポーツ(ZC33S)から、1.4リッターターボにスイッチ。
ロードスターも3代目のNCがNA2.0リッター、現行のNDロードスターが、1.5リッターになり、国産のめぼしいテンロクスポーツユニットは、姿を消してしまった!
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