走行性能や快適性能も重要
車中泊に最適なクルマを考えたとき、一般的な乗用車で真っ先に浮かぶのが室内の広さや、シートのフラットアレンジ性の良さ。さらには電動車に用意されるAC100V/1500Wコンセントの有無などだろう。
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たしかに、全高や室内高が高く室内空間が広々としていて、シートのフラットアレンジが容易で、ハイブリッドやPHV(PHEV)の車内外で1500Wまでの家電品が使えれば、それはもう車中泊に最適・最高のクルマに違いない。
先進運転支援機能やシートアレンジ性も大事
だが、見逃してはならないのは、上記の要件はクルマを止め、車中泊しているときに必要とされる項目ではないか。ここで車中泊をするようなドライブ旅行を考えてみると、まさか家の近所ではあるまい。景色のいい場所、空気のきれいな場所、行ったことのない場所、車中泊に適した安心・安全なアウトドアフィールドとなれば、やはり遠路クルマを走らせ、目的地まで向かうことになるはずだ。その場所へのアクセスに、多少、路面が悪い道を通るかもしれない。
つまり、高速走行や悪路を含めた走行性能。それとともに乗員がストレスなく目的地に着ける、クルマの快適性は欠かせない。もし、車中泊をする場所に着くまでに、ドライバーや乗員が運転・乗車によって疲れてしまうようであれば、アウトドアも車中泊も100%楽しむことができない。
たとえば室内空間が広く、シートアレンジによって広大なベッドスペースが出現するクルマでも、一部の軽自動車のようにパワー不足で車内騒音が大きく、ACCなどの先進運転支援機能がなく、乗り心地があまり良くないとする。経済的で止まっていれば車中泊に最適かもしれないが、遠くまで走っていくとすればそのアクセスにおいて、ドライバーと乗員双方にとってベストとは言えない。
そこで、車中泊に適した室内空間やシートアレンジ性を持ちつつ、長距離移動も楽々なクルマを考えてみたい。もちろん、高速走行でのドライバーの運転に関わるストレスを最小限にしてくれる先進運転支援機能の充実もポイントとなる。車内外で家電品が使えるAC100V/1500Wコンセントが装備可能で、車中泊対応の純正アクセサリーが揃っていれば、さらに完璧な車中泊カーとなりうるだろう。
走りも室内の広さもあるミニバン
で、室内空間が広く、シートアレンジによって広大なベッドスペースが出現するクルマの筆頭としては、アウトドアシーンに似合うかはともかく、何と言ってもミニバンだろう。トヨタ・アルファードやヴォクシー&ノアといったボックス型ミニバンのハイブリットモデルなら、室内を大人がしっかり横になれるベッドスペースをシートアレンジによって出現させることができる。
また、1400mmを超える室内高の余裕から、フラットアレンジし空間を、お座敷のように使うことができるのだ。車中泊といっても、四六時中寝ているわけではなく、日中突然の悪天候で車内に避難することもあるから、室内空間の使い方のバリエーションは多ければ多いほどいいのだ。
もちろん、上記のミニバンのハイブリッド車ならAC100V/1500Wコンセントが標準、またはオプションで装備することができる。加速性能の余裕、乗り心地、走行中の室内の静かさを含む、ロングドライブにも適した走行性能がほぼすべて手に入ることになる(おそらくAC100V/1500Wコンセントが付くはずの新型ステップワゴンのe:HEVモデルも)。
アルファードも比較的新しいトヨタセーフティセンスを標準装備し、高速走行はボックス型ミニバンならではの視界の良さ、室内空間の広さと心地よい着座感。そしてボックス型ボディによる意外なほどの運転のしやすさや動力性能の余裕もあって、運転や乗車に関わるストレスは最小限で目的地に着けるはずだ。
だが、新型ノア&ヴォクシーともなれば、アルファードを上まわるトヨタ最先端の先進運転支援機能、トヨタセーフティセンスを搭載。アドバンストドライブを機能によっては、高速道路もしくは自動車専用道路限定ながら、0~約40km/h以下での夢のハンズオフドライブまで可能だ。
例えば往路・帰路で渋滞に巻き込まれたとしても、運転は楽々。疲れにくいというわけだ。ちなみに新型ノア&ヴォクシーの2-3列目席をフラットアレンジしたときのベッド長は実測で2050mmに達し、長身の人でも完全に真っすぐ寝れるのだから、最高である。
悪路走破性を付け加えるならSUV
いやいや、自分はアドベンチャー気分で、悪路の先にある絶景の車中泊に適した場所を目指すのが信条……というなら、上記の要件に悪路走破性を付け加える必要がある。その点ではSUVがぴったりだろう。
しかも、AC100V/1500Wコンセントが付いていればほぼ無敵になる。例えば、RAV4 PHEV、アウトランダーPHEVが候補に挙がる。RAV4なら後席とラゲッジスペースをつなげたシートアレンジによって、約1880mmものベッドスペースを作り出すことができる。
同じように、アウトランダーPHEVでも身長175cmの人が、真っすぐ横になれるフラットアレンジが可能であり、ともに最低地上高がたっぷりある。後輪にも駆動モーターを持つ、動力性能にも余裕がある4WDだけに、全天候型で悪路走破性にも特化した、オールマイティな車中泊カーになるはずだ。
軽自動車ならターボ付きのスーパーハイト系がオススメ
とはいえ、上記のミニバンやSUVはそれなりに大きく高価だ。では、それよりも圧倒的に安い軽自動車で車中泊性能に不足なく、しかも、カップルでのロングドライブ、長距離走行で疲れにくいクルマはないものか。……じつは、あります。
例えばN-BOX、ルークス、eKスペースといったスーパーハイト系軽自動車のターボモデル。そしてクロスオーバーモデルのハスラーが挙げられる。とくにハスラーは前席まで使うことになるものの、最大ベッド長は2040mmに達し、大人1~2名の車中泊も可能。
しかも、乗り心地は軽自動車随一。実際、ハスラーのターボモデルに(乗り心地に不利な)スタッドレスタイヤを履いて、真冬に東京~軽井沢を往復した経験があるが、上質で快適な乗り心地や車内の静かさ、そして不足ない動力性能によって、運転疲労は最小限だったのである。最低地上高は180mmあり、4WDを選べばミニマムサイズの車中泊対応のオールマイティカーになりうると実感している。
アルファードやノア&ヴォクシー、RAV4、アウトランダーほどの室内空間や動力性能は持ち合わせていないし、AC100V/1500Wコンセントも用意されていない。だが、価格を考えれば、よほどの長距離移動でなければ、ハスラーでも移動・車中泊性能に不足なし、といったところだろうか。
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