マイナーチェンジを受けたレクサスのピュアEV(電気自動車)「UX300e」の走りは、実に良かった! 小川フミオがリポートする。
ナチュラルな走行感覚
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ラインナップのオール電動化を目指すレクサスが、ピュアEVのUX300eを発表したのが、2023年12月。そもそも、よい走りで好感度の高いUXのピュアEVは、今回のマイナーチェンジでより走りも楽しくなった。
国産ピュアEVに興味あるひとにとって、現在、選択肢は限られてしまうが、質感でいうと、レクサス「RZ450e」と、このUX300eは双璧。エンジン車のように使え、その上をいくナチュラルな走行感覚は、大きなメリットだ。
しかも、今回のマイナーチェンジで、ボディ要所に補強が入って走りのための剛性感が向上。くわえて、走行距離が伸びるとともに、駆動用バッテリーの充電時間が短縮されている。実用性がさらに上がったのだ。
UXは、そもそも全長4495mmと扱いやすいサイズのSUV。そのコンパクトさを逆手にとって、きびきびとした走りの面を強調したのが、マイナーチェンジにおける眼目といってもいい。
操縦性向上が目指されていて、ライントレース制御といって正確なステアリングや、フラットボディという路面の凹凸でドライバーが揺れないような制御も盛り込まれている。
ブレーキ制御についても、制御が細かい。ペダルを踏み始めたときのドライバーの意思に忠実な効きと、たとえばきついカーブにさしかかり強めにブレーキペダルを踏み込んだときの安定感が目指されたという。強くブレーキをかけても、タイヤの接地感が失われることはないし、車体の動きの変化も乗員が不安を感じないようコントロールしているそうだ。
実際にドライブすると、たしかにドライブフィールにすぐれていると感じる。足まわりはしなやかな感じで動くのがひとつ。さらに、ステアリング感覚が応答性に富んでいるうえに、操舵感がけっこう重厚。くわえてシートのクッション性が良いのだ。
前輪を駆動するモーターの最大トルク(300Nmの)が、ステアリングやサスペンションとうまくバランスとれている感覚も好ましい。なにかが突出してアンバランスになるのでなく、うまくひとつのパッケージとして収まっているので、完成度が高い。
BEV(バッテリー駆動のEV)に力を入れている欧米メーカーの製品と比較してみても、走りのクオリティの高さはまったくひけをとっていない、と、感じられる。もちろん、室内の静粛性も高く、いい音でオーディオが楽しめるのも、ライフスタイル系SUVとしてのメリットだ。
ひとつだけ、私個人の希望を言うなら、インテリアがもうすこし提案性に富んでいるといい。インフォテインメントシステムのアプリケーションの豊富さや、室内照明や音による演出など、さまざまな娯楽性があると、より“今っぽい”BEVになるのではないだろうか? その場合は、ダッシュボードやシートのデザインも、いま以上に“軽い”感覚だと「いいなぁ」と、思う。
BMWの最新のXシリーズのようなインフォテインメントに、ボルボ「EX30」のようなファブリック系シート、それにフォルクスワーゲンID.シリーズのようなシンプルで知的なイメージのダッシュボード……。
レクサスなら欧州の競合と匹敵するデザインがすぐ実現できるように思う。気持ちよい走りを経験すると、UX300eでも、レクサスならではの新しい世界をもっといろいろな面で体験してみたくなってしまう。
なにはともあれ、BEVに興味があるひとは、戦闘力が衰えていないUX300eを試してみてほしい。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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