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2018年1月にラスベガスで開催されたCES2018で、豊田章男社長が「トヨタはモビリティカンパニーになる」と宣言した。この意味は自動車を製造するメーカーからモビリティ・サービスを包括する企業になるという意味で、脱製造メーカー宣言ともいえるものだ。しかし、その具体的な内容はこれまで明確にはされてこなかったが、友山副社長からの発表でその骨子が見えてきたのだ。早速、覗いてみよう。
トヨタ ガズー(GAZOO)レーシングの2020年モータースポーツ活動計画を発表
最初の衝撃はフォードから
2016年のデトロイトで開催された北米自動車ショー(NIAS)で、フォードは当時のマーク・フィールズCEOが、「我々は単なる自動車メーカーから、自動車とモビリティを提供する企業に変革する」と宣言し、多くの自動車メーカーに衝撃を与えた。
その結果、フォードだけにとどまらず、ヨーロッパの自動車メーカーの多くやメガサプライヤーは次世代モビリティ・サービスの開拓に着手し、様々なシェアリングカー・サービス、サブスプリクション(定額払いの自動車使用)の試み、無人の乗り合いミニバスの開発など、多様なスタイルの可能性を検討している。
トヨタは2016年末に、将来的にはすべてのクルマのコネクテッド化を行ない、モビリティサービスを支えるプラットフォーム(MSPF)を構築。このプラットフォームにより得られるビッグデータの活用により、新たなモビリティサービスの展開を行なうことを打ち出した。
そうした意味では、トヨタが世界の先頭を切っているというわけではないが、少なくとも日本の自動車メーカーの中では初めて「モビリティカンパニー」宣言をしたことになる。ただ、トヨタがどのようなモビリティカンパニーを目指すのかについての戦略は明確にはなっていなかったが、2019年2月にトヨタGAZOOレーシング・カンパニー/プレジデント、コネクテッド・カンパニー・プレジデント/情報システム本部長/ITS本部長/TPS本部長を兼任する友山茂樹副社長が、モビリティ・サービス、コネクテッドに関する将来戦略をプレゼンテーションし、ようやくトヨタのモビリティカンパニーとしての総合的な戦略が固められたことが明確になった。
コネクテッド戦略
トヨタのコネクテッド戦略は、2020年までに日本、中国、アメリカで販売されるクルマに通信モジュール(DCM)を搭載し、常時ネット接続を実現。このコネクテッド技術を支えるモビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)を構築し、車両から取得できる多様なデータを集積し、ビッグデータ化することで、ユーザーメリットを生み出すと同時にトヨタのビジネスを変革し、さらにMSPFを活用して他企業と連携し、新たなモビリティサービスを発展するとしている。
ここで重要な働きをするのがモビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)だ。このMSPFはトヨタのクラウドサーバーと対をなす各種のサービス全体を意味している。車両から送信されるデータを蓄積するサーバーに対し、各種モビリティサービス業者はMSPFにアクセスすることで、これを経由し、トヨタ車にサービスを提供するというプラットフォームとして機能する。
そしてコネクテッド技術を利用する例としては、ドライバーと通信を介してオペレーターが安全、車両等に関するサービス情報をやり取りすること、またユーザーに車両のメンテナンスなどの情報を通信を介して提供し、同時にこの情報は販売店とも共有されることなどだ。つまりこれはユーザーにサービスを提供すると同時にユーザーとトヨタ販売店との関係を強化する手段ともなるのだ。
さらにコネクテッド技術により、ユーザーの車両状態をモニター&管理ができ、販売店での整備サービスの円滑化、車両の不具合の発見の早期化、対策の迅速化が可能になる。また同時に、2020年からはナビデータなどだけでなく、車両をコントロールするECUプログラムの無線通信による上書きアップデート(OTA)が可能で、従来のような郵送による連絡や対策ECUの準備などの手間が省略できるなどのメリットもある。
コネクテッド技術は、さらにグラウド型のドライバー・アシスタントが実現できる。トヨタは「エージェント」と名付けているが、ドライバーとクラウド経由でオペレーターと対話することで、ドライバーが知りたいと望む地域や多様な情報などを提供するというものだ。
現在でもDCM搭載モデルはこれを実現しているが、2020年以降はさらに進化した「エージェント2.0」を投入するという。このエージェント2.0はADAS(先進ドライバー支援システム)などとも対話により連携できるシステムだ。
MaaSに対する取り組み
コネクテッド技術をベースにしたMaaS(サービスとしてのモビリティ)でトヨタは、外部企業との協業、トヨタ独自のサービス、販売店が主体となるサービスの3種類に分類している。
1番目は、ウーバー(アメリカなど)、滴滴出行(ディディ:中国)、グラブ(シンガポール・東南アジアの配車&レンタカーサービス)、ゲーターラウンド(アメリカの大手カーシェアサービス)など地域の有力なサービス企業との連携。
2番めは最近発表された企業向けのフリートカーリース、個人向けシェアリングサービス、個人向けKINTO(サブスクリプション・サービス)だ。
3番めは販売店が展開するカーシェアリング(Hui:ハワイでスタートし、北米に展開予定)だ。これらでは、保険、リース、車両メンテナンスなどをトヨタが担当することになるり、そこがトヨタとしてのビジネスのポイントになる。
そのためにはMSPFがとても重要で、カーシェアサービス企業に属する車両の保険、リース、メンテナンスをトヨタが一括して担当することでWin Winの関係にしようというのだ。
このモデルケースとしてシンガポールのグラブ社と提携し1500台の規模でスタートを切っている。ここでは現地販売店に専用のシステムを構築し、事前メンテナンス、タブレットによる作業者への指示、標準作業化により稼働率を高めたり、保守整備費用の低減を実現させるという。このサービスはシンガポールから東南アジア全域に拡大させるとしている。
またトヨタは、MaaS時代に求められるライドシェア向けのクルマも開発している。東京オリンピックから運用が開始される大型EVの「e-パレット」、2021年に登場予定の中長距離向けのハイブリッドカー「シエナ」、中短距離向けの小型EV「MaaS EV」などがラインアップされる。
トヨタはこれらMaaS車両の延長線上に自動運転車が登場すると想定している。ただ、自動運転車がそれほど早く必要になるとは想定していないようだ。
そのため、レベル2~レベル3のADSA装備車両に自動運転キット(ADK)を搭載することでレベル4のMaaS専用車両にするというアイデアを計画している。その特長としてADKと車両とのインターフェースの標準化、車両コントロールシステムの汎用化を構想しており、トヨタだけではなく他メーカー、サプライヤーとの相互乗り入れを想定しているのがユニークだ。
この構想を実現するためにソフトバンクとの提携、ジェイクワッド ダイナミクス(【関連情報】デンソー、アイシン、ジェイテクト、アドヴィックスら4社合同で自動運転のためのソフトウェア開発会社設立:https://autoprove.net/supplier_news/aisin_aw/178805/)との連携があるのだ。
このような次世代戦略を見ると、トヨタは販売台数の増大を目指すより、クルマを使用する、より幅広いサービスから収益を生み出すという本音が見えてくるが、グローバル規模の企業だけに、コネクテッド技術のより多くのクルマへの装備、コネクテッド技術を通したIoT、テレマティックスの展開も地域ごとに適合させることが求められ、また連携するMaaS企業と同床異夢に陥らないような施策が求められている。
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