ルーフとボディで異なる配色の「2トーンルーフ」のクルマを、よく見かけるようになりました。特に黒いルーフのブラックルーフが増えていますが、黒だけでなく多彩な色が使われています。
クルマの2トーンカラーといえば、かつて1970年代から80年代にかけてもブームがありました。かつてと違い、近年はルーフのみを異なる配色するケースが多いようですが、なぜ2トーンカラーが再び流行し始めたのか、いくつか代表的なモデルを紹介しながら、考察します。
オシャレだけどちょっと高価…急増した「2トーンカラー車」の理由と事情
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、MITSUBISHI、SUZUKI
かつての2トーンカラーは、高級感やスポーティさを演出していた
2トーンカラー車とは、その名の通り「ボディに異なる2色を配色しているクルマ」ですが、その歴史は古く1950年代後半には既に存在していました。ブームとなったのは1970年代以降で、代表的なのは1978年にデビューした日産「フェアレディZ(S130系)」、1981年デビューのトヨタ「ソアラ(Z10系)」、1983年デビューのトヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86型)」など。主に、スポーツモデルやハイソカーのような高級スポーツセダンで多用されました。
フェアレディZは、「マンハッタンカラー」と呼ばれた斬新な2トーンカラーが人気となりました。その代表的なカラーリングは、ボンネットがシルバー、ボディはブラックで、これによって、力強さとスピード感を演出。ハイソカーをけん引したソアラは、ボディ下部がグレー系で上部がホワイトといった淡い2トーンカラーを使った上品さや高級感が特徴で、AE86は、ボディ下部をブラックとして、上部はシルバーあるいはレッドにして、精悍なイメージをアピールしていました。
フェアレディZの超個性的なマンハッタンカラーを除けば、当時の2トーンカラーは、ルーフのカラーを変えるのではなく、ボディの上下を2色のカラーで色分けすることで、高級感やスポーティさを強調していました。
1978年にデビューした日産「フェアレディZ(S130系)」Tバールーフ仕様。マンハッタンカラーには、いくつかのカラーパターンがあったが、写真はボンネットをシルバーに、ボディをブラックとしたカラーリング
2トーンルーフの流行は、軽自動車から
その後、一旦下火になった2トーンカラーブームですが、10年ほど前から再燃。ただし、かつてのようにボディ上下で色分けするのではなく、ルーフのみ異なるカラーとする2トーンルーフ、それもルーフをブラックにするブラックルーフが流行っています。
軽自動車では、すでに多くの車種に2トーンルーフが展開されています。バリエーションが豊富で、色の組み合わせが自由に選べ、同じ車種でもカラーの選択によって、雰囲気の違うモデルになるのが魅力です。代表的なモデルとして、スズキの「ハスラー」とホンダの「N-BOX」を紹介します。
ハスラーは、ブラックとホワイトのルーフにそれぞれ異なる6種類のボディカラーを選ぶことができます。ブラックルーフのアクセントによってボディ全体が引き締まり、スポーティさが強調されて人気を集めています。ホワイトルーフは、明るい雰囲気になり、女性にも好まれています。
2019年発売のスズキ「ハスラー」(写真は、フェニックスレッドパールボディ+ブラックルーフ)
N-BOXでは、5種類の2トーンルーフが選べます。ルーフには、ブラックとブラウン、シルバーの3種があり、明るいボディカラーとダーク系のシックなルーフを組み合わせることでコントラストが鮮明なり、落ち着いた雰囲気にもお洒落な雰囲気にも変貌します。
2014年発売のホンダ「N-BOX SLASH」。N-BOXのルーフ高を下げ、インテリアも豪華に飾り付けられており、スペシャリティカーのような一台だった(写真は、プラチナパールホワイトボディ+ブラックルーフ)
高級車や電気自動車、SUVにも
現在は、軽自動車に限らず、高級車、電気自動車、SUV、コンパクトカーとほとんどのジャンルのクルマに2カラールーフ、特にブラックルーフが採用されています。代表的な3つのモデルを紹介します。
2022年に登場したトヨタ新型「クラウンクロスオーバー」は、斬新なスタイリングとカラーリングが注目されています。6種のモノトーンをベースに、「バイトーン」とよばれる5種の2トーンルーフを用意。ボンネットからルーフ、テールランプ周辺までブラックにした大胆なカラーリングで、ゴールドボディおよびレッドボディにブラックルーフを組み合わせています。斬新なSUVスタイルと2トーンルーフの組み合わせによって、「新世代のクラウン」を感じさせます。
2022年デビューのトヨタ「クラウン(クロスオーバーRS Advanced)。エモーショナルレッド+ブラックルーフのバイトーン、ボンネットからルーフ、テールランプ周辺までブラックにした大胆なカラーリングを採用
同じく2022年に登場した日産の電気自動車「アリア」は、モノトーン3種と6種の2トーンルーフを用意しています。最も人気があるのは、シルバー系およびホワイト系ボディにブラックルーフの2トーンルーフで、ボディとルーフのメリハリが強調され、引き締まった美しさが印象的です。
2021年デビューの電気自動車、日産「アリア」(写真は、サンライズカッパーボディ+ミッドナイトブラックルーフ)
2021年にフルモデルチェンジした三菱の新型「アウトランダーPHEV」も、モノトーン8種と2種の2トーンルーフを用意しています。2トーンルーフのひとつは、ホワイト系ボディにブラックルーフでアクセントをつけてスポーティな雰囲気に、もうひとつはブラック系ボディにブロンズメタリックのルーフによる個性的なコンビネーションで、SUVらしい力強さとお洒落感を演出しています。
2022年デビューの新型三菱「アウトランダーPHEV」(写真は、ホワイトダイヤモンドボディ+ブラックルーフ)
魅力倍増の2トーンルーフ ただ価格は数万~20万円程度も上昇
2トーンルーフは、ほとんどが特別塗装の有償色。例に挙げたハスラーでは+4.4万円、N-BOXも+5.94万~8.1万円、クラウンは+6.5万円、アリアは+5.5万~17.6万円、アウトランダーは+13.2万円となっているなど、それなりに高価なオプションです。
ただ最近の2トーンカラー車の増えかたを見る限り、ユーザーは、価格の上昇以上に、好みの配色を選ぶ楽しさやファッショナブル性、特別感を持てるといったメリットが大きいと判断しているようです。クルマのスタイルとともに、カラーリングがクルマ選択の重要なアイテムになっている証かもしれません。
ブラックルーフが多いことについては、日本人はもともと派手なカラーリングを好まないことから、たとえ派手目のボディカラーであっても、黒いルーフでアクセントをつけることによって、ボディが引き締まって落ち着いた雰囲気になったり、組み合わせによっては、スポーティさを強調できるからではないでしょうか。
◆ ◆ ◆
比較的似通ったスタイリングのクルマが多い昨今、より個性的なクルマを求める人へのひとつの回答が、2トーンルーフ、ブラックルーフなのでしょう。同じモデルでも比較的容易にイメージが変えられる2トーンルーフは、今後さらに採用が進むことが予想されます。
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