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アストン・マーティンの最新GTを試す──後輪駆動車の究極だった

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アストン・マーティンの最新GTを試す──後輪駆動車の究極だった

アストンマーティンが発表した「DBS」は12気筒搭載の2プラス2シーター・クーペだ。DBシリーズとして既発のDB11の上に位置するモデルで、よりスポーティな設定、のはずなのだが、実際は乗り心地にすぐれ、使い勝手がよい。

DB11と同じ2805mmのホイールベースの新世代のシャシーを持ち、やはりDB11にも用意されている5.2リッターV12エンジンを積む。ひとことでいうと、よりスポーティなモデルとして開発されている。

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DB11に対してトレッドは拡大しており、最高出力は533kW(725ps)、最大トルクは900Nmと、DB11より158kW、225Nmもパワーアップしているのだ。

「スーパーレッジェーラ」というイタリア語で超軽量を意味するサブネーム(実際はあまり使われていないようだが)は軽量ボディに由来している。DB11より約70kg軽いのだそうだ。

そもそもイタリア・ミラノの「カロッツェリア・ツーリング」が戦前に開発したスポーツモデル向けのボディがスーパーレッジェーラだ。細い鋼管フレームを組んで、上にアルミニウムの外皮を被せる。

アストンマーティンも1958年発表の「DB4」からこの技術を採用している。そのあと時代はフルモノコック・ボディへと向かったので、そう長いあいだ使われた技術でないが、アストンマーティンのファンにはアイコン的な響きをもった名前なのだ。

話が横道にそれてしまうが、ヴァンティッジもDB4から採用された高性能エンジン搭載モデルのための名称である。ヘリティッジを使ったブランディングがいまのアストン・マーティンの特徴なのだ。

私はこのDBSに2018年夏、ドイツの山岳路で試乗した。このときはバカンスに突入したためにいたるところ渋滞で、性能を堪能、というところまでいかなかったので、あらためて日本のサーキットで乗れて本当によかった。

「DB11よりとくにリアのサブフレームのマウントを硬めにするなどスポーティに仕立てています」。現地で開発担当者から聞いた言葉だが、実際には、たしかに運転の楽しさという点で際立っていた。

トルクアップの効果は走り出してすぐ感じられる。「後輪駆動の限界(ここまでは行けるというその限界のこと)」と、かつてインタビューしたとき、チーフエンジニアのマット・ベッカー氏が言っていたのを思い出した。アクセルペダルを強めに踏めば、すごい勢いで車体を押しだすのだ。

シャシーの剛性感もすごいし、ロールを抑えて、スポーツ性を強く打ち出しているサスペンションシステムも、DBSのキャラクターの輪郭をはっきりと伝えてくる。

ゆっくりと流すような速度でも走れることは試乗したドイツの山道で充分にわかっていたが、はっきりいって、おもしろいわけでない。速度が上がり、意思のままに回転がシャープに上下するエンジンと、カーボンブレーキによるじわっとした独特の効き具合と、コントロール性のいいハンドリングとのコンビネーションは最高だ。

全長は4.7メートルだが全幅は2メートル近い。大きめのボディだが、正確なステアリングのおかげでまったく大きさを感じない。これはスポーツカーのスポーツカーたるゆえんだ。よく出来たスポーツシューズだと着地点がブレないのと似ているともいえる。

プッシュボタン式のギアセレクターでDレンジを選択し、あとはステアリングコラムから生えたセレクターレバーでギアを選んで走る。トルコン式オートマチック変速だが、シフトは素早く、ツインクラッチよりトルコン、という私の好みに合っていた。

スポーティだがピュアスポーツでなくGTである。ポルシェ911ターボなどをライバルにするモデルだ。そのため内装はそれなりにぜいたく。アストンマーティンの場合、仕様の豊富さが大きな魅力となっている。

は虫類のうろこを思わせるような、かなりキている仕様もあり、おもしろいが、私の趣味としてはより控えめなアルカンターラ張りのシートと、同じ素材で巻いたステアリングホイールが好みだ。とばしても楽しいというDBSのキャラクターに合っているからだ。

DB11のV8モデルは2278万1177円(V12AMRは2665万円)で、それに対してDBSは3434万2333円(すべて8%の税込み)となる。価格差は小さくないが、得られるものが違うという点で、なにより、いまのアストンマーティンの幅の広さに感心させられるのだった。

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