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直5ターボの快速ワゴン アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ ボルボ850 T-5R エステート (1)

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直5ターボの快速ワゴン アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ ボルボ850 T-5R エステート (1)

直列5気筒ターボを積んだステーションワゴン

アウディ200 アバント・クワトロ・ターボは速かった。一層パワフルで速いステーションワゴンは存在したし、より広く実用的なモデルも提供されてきた。それでも、少なくとも珍しさでは右に出る例は少ないだろう。

【画像】直5ターボの快速ワゴン アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ ボルボ850 T-5R エステート 現行モデルも 全130枚

現役時代、1985年からの6年間にグレートブリテン島で売れた数は、僅か171台。現存する例は、片手で数えられる程度へ限られるようだ。

その10年後、ボルボも同様に高速なステーションワゴン、850 T-5R エステートを発表した。ツーリングカー・レースとの結びつきで深い記憶を残したが、こちらも残存数は多くない。

2台の類似点はいくつかある。フロントに収まるエンジンは、ターボで過給される直列5気筒。生産数は7000台に届いていない。どちらも大きなテールゲートを備え、実際には販売期間が重ならないものの、1990年代半ばには好敵手といえる関係にあった。

850 T-5Rとモータースポーツとの縁は、200 アバント・クワトロ・ターボより色濃い。1994年にサーキットデビューを果たした850 エステートは、空飛ぶレンガと比喩された、ボルボ240以来となる活躍をスウェーデンの自動車メーカーへ与えた。

1980年代の欧州ツーリングカー選手権では、トム・ウォーキンショー氏率いるチームが、2ドアサルーンの240 ターボをチューニング。BMWやジャガーを凌駕する走りを披露していた。偶然にもその後、正式にワークスマシンの開発が依頼されることになった。

レーシングカーを手掛けたのはTWR

周囲を驚かせる協働といえたが、グループCマシンの時代には終わりが訪れ、トム・ウォーキンショー・レーシング(TWR)は方向性に悩んでいた。ジャガーXJR プロトタイプは複雑で、成功が遠のいていた。ポルシェは、既に独自の道を歩んでいた。

XJ220には大きな可能性があったものの、販売数が伸びず、ジャガーから契約を打ち切られる可能性をはらんでいた。ウォーキンショーは、新しいプロジェクトを求めていた。しっかり、資金を提供してくれるクライアントが必要だった。

1993年10月、ボルボはモータースポーツへの復帰を表明。240の後継となる850を使用し、TWRと提携することが明らかにされたが、レーシングカーの具体的な内容までには触れられなかった。多くの人が、サルーンを想定したに違いない。

1994年2月に開かれたスウェーデン・ストックホルム・モーターショーには、サルーンだけでなく、エステートをベースにした850のレーシングカーが出展された。その時点でも、実際にサーキットデビューするとは明言されていなかった。

しかし、1か月後の英国ツーリングカー選手権(BTCC)で、噂は真実だったことが判明する。TWRは、ステーションワゴンでワークスマシンの開発を終わらせていたのだ。

BTCCのレギュレーションへ則り、エンジンにはターボを組むことができなかった。ボルボの名機といえる2.3Lユニットも使えず、2.0L直列4気筒が搭載されていた。それでも、見た目は850 エステートそのままだった。

強烈なイメージを残した850 エステート

惜しくも、1994年シーズンは限定的な活躍で終わったものの、1995年1月に今回ご紹介する850 T-5Rが発表される。鮮やかなクリーム・イエローに塗られ、派手なグラフィックをまとうレーシングカーと並ぶ姿は、大きな話題を集めた。

レースでの勝利は叶わなくても、ディーラーでの反響は小さくなかった。1995年シーズンのワークスマシンはサルーンへ変更されたが、「この選択はパブリシティの新たな記録を生んだ」とボルボが認めるほど、850のイメージは引き上げられた。

ちなみに、エステートからサルーンへバトンタッチした理由は、1994年シーズンの戦果が最高5位へ留まったことが原因ではない。BTCCが設けた、空力とルーフラインの新しい規制が理由だった。

ステーションワゴンのレーシングカーがサーキットを攻める姿は、強烈なイメージを残した。BTCCの2014年シーズンへ、ホンダはシビック・ツアラーを投入しているが、多くのファンは850 エステートの記憶を蘇らせたに違いない。

かくして、850 T-5Rはボルボ歴代最速の座に君臨した。ただし、1994年にアウディはポルシェと手を組んだRS2を発売しており、当時最速のステーションワゴンとまでは呼べなかった。高精度なRS2に対して、そこまでシリアスな内容ではなかった。

Urクワトロ由来のドライブトレイン

その約10年前に発売されたのが、200 アバント・クワトロ・ターボ。トランスミッションや四輪駆動システムだけでなく、2.1L直列5気筒ターボエンジンもラリーで活躍した
Urクワトロ由来という、優れた血統の持ち主といえた。

長大で優雅なボディのステーションワゴンは、ラリーコースを下見するレッキカーとしても有能だっただろう。サポート車両として広い荷室へスペアパーツや工具を積み、実際にアウディのラリーマシンをアシストしてもいる。

Urクワトロは、過激なグループB時代に作られたスポーツ・クワトロと直系関係にある。そのシャシーをベースに、200 アバント・クワトロではホイールベースが約150mm延長されている。リアのオーバーハングが長く、シルエットはかなり特徴的といえる。

テールゲートは非常に大きく、グラスエリアを二分するように大きなスポイラーが載っている。誇らしく貼られたquattroのロゴは熱線入りで、冬期の走行中でも雪に隠されることはなかった。

1985年のプレスリリースで、アウディは「高性能と実用性を兼ね備え、四輪駆動だけが叶えるあらゆる条件下での秀でた安全性」という、特別な組み合わせだと主張した。確かに安全性では、当時のモデルとは一線を画す。

意欲的な加速力を、四輪駆動がしっかり支えている。右足へ力を込めると即座に反応しつつ、カーブでの安定性は驚くほど高い。

この続きは、アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ ボルボ850 T-5R エステート (2)にて。

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