■電制シフトの代名詞「プリウスシフト」にも歴史の変遷があった
1997年12月、量産ハイブリッドカーの先駆けとなった初代「プリウス」がデビューしてからまもなく25年です。そんななかでトヨタは2022年11月16日、およそ7年ぶりに「プリウス」をフルモデルチェンジさせました。
5世代に渡るプリウスの歴史のなかで、今回はとくに特徴的な「シフトレバー」を中心にたどってみます。
トヨタは「プリウス」の大量の使用済バッテリーをどう処理するのか?
1997年12月、初代プリウスは「21世紀に間に合いました」のキャッチコピーとともに、世界初の量産ハイブリッドカーとしてデビューしました。
1.5リッターエンジンに電気モーター、ニッケル水素バッテリーなどを組み合わせたシリーズ・パラレル式ハイブリッドである「トヨタハイブリッドシステム(THS)」のカタログ燃費値は28km/L(10・15モード燃費)で、当時の同クラスガソリン車に対し、およそ2倍の低燃費を達成させていたことで、世界的にも大きな話題となっています。
初代プリウスの4ドアセダンボディは、全長4275mm×全幅1695mmとコンパクトでしたが、全高1490mmと背が高くするとともに車体の前後部分をグッと短くし、広い室内空間を確保しています。
一方室内も、外観同様に次世代を意識した内装レイアウトとなっていました。
デジタルメーターや5.8インチディスプレイをインパネ中央に配置。シフトレバーも、インパネ上から伸びる独特のコラムシフト型を採用している点に注目です。
あわせてセンターコンソールを廃止し、パーキングブレーキも足踏み式に変更したことで足元空間を広くとり、前席左右のウォークスルー(サイドウォークスルー)をしやすくしています。
軽やミニバンなどでは一般的なサイドウォークスルー機能ですが、コンパクトなセダン車での採用例は当時として珍しいものでした。
続く2代目プリウスは2003年9月に登場。ボディスタイルは、燃費に効く空力特性と室内空間を兼ね備えた5ドアハッチバックに変更されています。
以来このシルエットは「プリウスらしさ」の象徴として、歴代モデルへと現行型まで継承されていくのです。
ボディサイズは全長4445mm×全幅1725mm×全高1490mmに拡大。ハイブリッドシステムも一新されTHS IIに進化しています。
低燃費、低排出ガス性能に加え力強い走りも両立させ、当時世界最高の低燃費、35.5km/L(10・15モード燃費)を記録しています。
インテリアも外観同様に先進的に進化。センターメーターはより見やすく遠くに、操作系は手元で使いやすいレイアウトとしています。
こうした「遠方表示・手元操作」のコックピット思想もまた、のちのモデルへと受け継がれているプリウスらしさのひとつとなっているのです。
その一環で、ジョイスティック状の電子制御シフト「エレクトロシフトマチック」の採用が始まりました。
電気的に切替えるため、指先だけで軽く動く操作感となり、これまでにない非常に斬新なシフトレバーとして、プリウスの先進性を象徴するものとなりました。
インパネ上に備わるコンパクトなエレクトロシフトマチックは、3代目や4代目のプリウスにも受け継がれ、のちに「プリウスシフト」などとも呼ばれるようになっています。
※ ※ ※
そして今回、11月に発表された5代目の新型プリウスは、低く構えたスポーティなフォルムが大きな変化点として挙げられます。
新型のインパネは「アイランドアーキテクチャ」コンセプトを採用しました。
パネル類などの機能操作部をアイランド造形面に集約することで、背景と機能(アイランド)を見た目にも明確に切り分ける(ゾーニングする)考え方を基本としています。
アイランド部を浮き上がらせるようにみえる「フローティングインパネ」と、ドアパネルから連続的にインパネを囲む「サラウディングタブ」で構成され、低く奥まったフローティングインパネにより、寝かされたフロントウィンドウや低い車高に対し圧迫感を抑える効果を与えます。
そしてシフトレバーは、シートポジションが低く寝かせ気味にレイアウトされたこともあって、オーソドックスなセンターコンソール上に移りました。
先のアイランドアーキテクチャの発想で、シフトレバーなどの操作系が、よりドライバーからも自然に届きやすい手元の位置にまとめられているという訳です。
なお新型プリウスも、従来同様に軽い操作感で動く電制シフトを採用していますが、シフトレバーの長さは伸ばされ一般的な形状になっているため、見た目には従来ほどの「未来感」を主張していないのも特徴といえそうです。
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軽いってだけ?