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CBらしからぬ、その革新的な進化に惚れた。CB1000R試乗/ホンダ

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CBらしからぬ、その革新的な進化に惚れた。CB1000R試乗/ホンダ

CB1000Rは「公道を最大限に楽しむ」ことをコンセプトにCBとは何かを再定義したニューモデルだ。これまで「威風堂々」の伝統を連綿と受け継いできたCBシリーズの流れを大胆に変えた新世代のCBとはいかなるものなのか。CB1300SFとの比較も交え、検証してみたい。REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)PHOTO●山家健一(YANBE Kenichi)

CBという幻想

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 CB1000Rの実車を初めて見たとき、正直なところそのスタイルに違和感を覚えた。自分の中で勝手に作り上げていた「CBらしさ」と異なっていたからだ。というのも、個人的にCB1300SFを長年乗り続けてきたこともあり、それ以前もCB750やCB1000SFなどを含め公私ともに関わる機会が多かったことも影響していると思う。つまり、従来のCBが大好きだったのだ。特に40~50代以降の世代は、同じような感情を持つ人が多いと思う。
 人間、今までに見たことがないモノやコトに触れると拒否反応を示すものだ。それは好奇心の裏返しだったりするのだが、ともかくすべてが「新しい」と感じたと同時にちょっと妬ましい気もしたのだ。それほど新型CBはよくできていた。


俊敏にしてスマートな走り

 太陽の彩を表現したというキラキラと光る赤色のタンクにまず目がいく。そこを中心とした末広がりの台形プロポーションは、鍛えられたアスリートのような筋肉質な力強さとともに貴婦人のように上品な艶やかさを併せ持っている。その意味でちょっと中性的な雰囲気もある。今風に例えるなら、CB1300SFがゴリマッチョとするとCB1000Rは細マッチョな感じか。
 先代CB1000RRがベースのパワフルな水冷直4エンジンを、新設計モノバックボーンフレームの軽量コンパクトな車体に搭載した新型CBのポテンシャルの高さは想像するに難くない。その走りはリニアにして軽快、俊敏にしてスマートだ。エンジンの回転フィールはホンダらしい緻密さで、当然ストリート向けに低中速トルクが充実していて扱いやすいが、スロットルを開ければリッターSS譲りの凶暴なほどのパワフルさが顔を出す。


高級グルメのような上質なもてなし

 ただ、ひと昔前のSSと違うのは最新電子制御でサポートされている点。標準搭載されている「スタンダード」「スポーツ」「レイン」の3種類の走行モードは、それぞれ出力特性やABSとトラコンの介入度、エンジンブレーキの効き具合までもデフォルトで設定され、走行中でもボタンひとつで簡単に切り替えることができる。つまり、その日の気分や体調で選べるコース料理が予め用意されているようなイメージだ。加えて「ユーザー」モードがあり、アラカルト料理よろしく出力特性や電子デバイスの介入度を自分好みのセッティングに仕上げることも可能だ。
 さらに、シフトダウン時に自動的にエンジン回転数を少し上げてスムーズに変速してくれるオートブリッバー機能搭載のクイックシフターや、過度なエンブレを緩和しつつ姿勢を安定させるアシスト&スリッパ―クラッチなど、至れり尽くせりの言わば“電子のソムリエ”が寄り添ってくれている。そして極めつけはサウンド。インテークダクトから吸い込まれるヒューンという透明感のある吸気音とともに、図太くワイルドかつメローな直4のエキゾーストノートが共鳴する。耳に心地よく響くように計算してサウンドチューニングされているそうだが、まさに高級グルメの味を引き立てる生演奏のようだ。
 エンジンの見せ方やヘッドライトまわりなど細部の作りのグレード感といい、まさに大人のためのCBと言える仕立ての良さも魅力になっている。


CB1300SFと比べてみると……

 さて、ここで個人的にも思い入れが深かったCB1300SFと新型CB1000Rをあらためて比べてみたい。
 まずはスペックだが、新世代となるCB1000Rは最高出力145psで車重は212kg、ホイールベースは1455mmであるのに対し、キング・オブ・ネイキッドと呼ばれたCB1300SFは同じく110psと268kg、1520mmと明らかに車体は大きく重く、逆にパワーでは劣っている。運動性能で言えば新型CBのほうが圧倒的に有利であることは言うまでもない。
 ただ、旧CBも負けてばかりではない。CB1300SFの最大トルクは12.0kgmで、CB1000Rの10.6kgmを上回っていて、しかもより低回転で発生する。極低速域でも粘る出力特性とハンドル切れ角の大きさを生かしてUターンも得意だ。ゴリゴリした骨太なエンジンフィールや大型バイクらしいドッシリとした乗り味は1300ならではの美点だ。スタイリングに関しても、かつてない前衛的な造形美に挑んだCB1000Rに対し、CB1300SFの姿は日本人ライダーのDNAに染み込んだバイクそのもののカタチであり、安心感をもたらしてくれるものだ。


 その日の気分によって食べたいものが変わるように、乗りたいバイクも変わって当然と思う。洒落たレストランで気の利いたコース料理をいただくのもいいが、たまにはガッツリとんかつ定食も食べてみたくなる。バイクの場合、日替わりというわけにはいかないが、個性的なCBがまた新たなファミリーとして加わったことは嬉しい限りである。選ぶのは貴方なわけだから。


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