■埼玉で使われていた25年落ち「中古サンバー」に驚愕の声
アメリカのカーオークションサイト「Bring a Trailer」で2025年6月14日、2000年式のスバルの軽トラック「サンバー」が1万3000ドル(当日レートで約187万円)で落札されました。
【画像】超カッコイイ! これが「187万円の20年落ち軽トラ」です! 画像で見る(55枚)
SNSなどには驚きの声が多数寄せられています。
Bring a Trailerは2007年に開設されたアメリカのオークショニアです。アメリカのみならず、欧州や日本の名車を数多く取り扱っています。
今回落札されたのはスバル「サンバー」です。1961年に登場したスバルの軽商用車シリーズで、現在はダイハツから「ハイゼット」のOEM供給を受けていますが、2012年に終売した6代目まではスバル(当時は富士重工業)が自社で製造していました。
自社製造モデルでは、軽商用車では珍しい「リアエンジン」方式やスムーズな4気筒エンジン、コストのかかる四輪独立懸架を採用。
安定した走行や、リアエンジンで水平対向(本車は異なる)が得意なスバル車ということから一部のファンから「農道のポルシェ」とも称され、生産を終了した現在でも根強い人気を持ちます。
さて、今回米国で落札された個体は1999年に登場した6代目のうち、2000年4月に実施された一部改良型です。2000年式でグレードは「パワステ スペシャル」(5速MT・4WD車)。走行距離は5万2000キロを走行しているとされる個体です。
2025年に米国に輸入されたのち、今はペンシルベニア州で登録されているようです。
エクステリアは米国で純正色に再塗装され、凹みの修正されたため、非常にきれいです。バンパーやミラーなどの無糖樹脂も黒々とした状態で、ほぼ新車並みのコンディションに蘇っています。
インテリアはさすがにくたびれている箇所があり、ダッシュボードにはテカリや傷、ステアリングには白化なども見られます。なお、シートはグレーのビニールレザーに張替えられています。
社外品の類はアゼスト(クラリオン製)のカセットデッキを除いてほとんどなく、貴重な純正の状態。
さらにエンジンオイル点検やエアバッグなどの日本語のコーションデカールや、令和6年8月までの車検証シール、オイル交換などの履歴を示すステッカーには埼玉県羽生市のスバル取扱店のものが残存。現地のマニアにはたまらない逸品といえます。
リアに搭載の「クローバー4」EN07型エンジンはやはり多少は汚れており、足回りはサビもみられます。今後は年式なりの整備が必要になるでしょう。
このサンバーは、6月13日に7900ドルでオークションが開催。27件もの激しい入札合戦を繰り広げた後、1万3000ドルで落札されました。
SNSなどでは、「海外だと凄い人気ですね!」「みたか、アメリカ大統領!これが日本車だ!」「マジですげー。さすが日本の軽トラ」など、新車価格をはるかに超える高値に驚きの声が寄せられています。
また、「私は平成元年車のサンバーを現役で使用していますがうらやましいですね」「うちのも同じ前期ですがいいクルマですよ」など、現在もスバル自社製造のサンバーを愛用しているという人からの評価も。
一方で、「気を付けないと軽トラバンバン盗まれてしまうぞー」「農家の皆さん、納屋に放置してると盗られますよ」と、近年多発している軽トラックの盗難に注意喚起するコメントもみられました。
※ ※ ※
北米では「25年ルール」という決まりがあり、通常走行ができない右ハンドル車であっても製造から25年が経過すればクラシックカーとして登録でき、公道が走行可能になります。
近年は映画やマンガ、アニメなどの影響から日本車の人気が高まっており、その影響を受けて1980年代から90年代のスポーツカーが輸出され、高値で取り引きされています。
一方で、北米では軽トラの人気が近年著しく高まっており、現地では全長5mを超える大型乗用車が少なくないなかで、4mを切るコンパクトなことや、愛らしい見た目で壊れない点、しかも燃費もよく、荷物もたくさん積むことができるなどが評価され、「JDM kei truck」として親しまれています。
北米では軽トラ専門店も存在しているようで、25年経過した中古の軽トラは今後ますます需要が高まるかもしれません。(くるまのニュースライター 伊勢崎剛志)
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