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「弱点が見当たらない」新世代プジョー。新型308のディーゼルとガソリンターボを乗り比べる

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「弱点が見当たらない」新世代プジョー。新型308のディーゼルとガソリンターボを乗り比べる

308となってから3代目、9年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型308。新世代プジョーの第一弾となる2台の308を詳しく見ていこう。(Motor Magazine2022年7月号より)

従来のフランス車の概念を覆す「隙のなさ」に驚いた
「どこをとっても弱点が見当たらない」新型プジョー308に初めて触れて以来、私はそう言い続けてきた。そしてその思いは、いまも基本的に変わらない。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

もちろん、好みの問題はあるだろう。デザインにしても、シャシやパワートレーンの味付けにしても、好き嫌いは誰にもあるはず。だから、308のテイストを好まない人がいたとしても不思議ではない。それでも、ライバルに比べてまったく性能が劣っているとか、実用性が著しく欠けているという部分はひとつもないはず。少なくとも私は、そうした決定的な弱点をまだ見つけられずにいる。

これはフランス車の歴史を考えれば例外的なことだ。私自身はもともとフランス車好きで、プライベート用としても仕事用としても日常的に長く接した経験があるが、たとえば乗り心地やハンドリングは優れていても、パワートレーンの仕上がりは平凡で、インテリアの質感もあまり高くないというのがフランス車の伝統的なキャラクター。

それが新型308はすべてのパワートレーンが最新のスペックを備え、インテリアの質感や装備にしても最新のドイツ車を凌駕するほど充実しているのだから、隔世の感は否めない。

それでは、新型308の概要を説明することにしよう。1969年にデビューした304から数えると8世代目にあたる新型308は、ヨーロッパや日本のボリュームゾーンであるCセグメントに属するプジョーの主力車種だ。ご存じのとおり、308を名乗るモデルはこれで3代目にあたるが、今回は内外装を見直して大幅なイメージチェンジを図るなど、大規模なモデルチェンジが実施された。

デザインを一新力強くダイナミックに
たとえばエクステリアデザインは、どちらかといえば豪華さに振った従来の方向性から、力強さ、ダイナミック、筋肉質といったキーワードが思い浮かぶ路線へと一新され、一気に時代の最先端に躍り出たような印象を受ける。

なかでも目を引くのがライオンのかぎ爪を模したデイタイムランニングライトで、チンスポイラー近くまで伸びた牙先は、反対側でヘッドライトの脇をかすめてフェンダーフレアの上端を構成する凝ったデザインとされている。このフロントフェンダーまわりはオウ部分とトツ部分が幾重にも積み重ねられた複雑な形状となって、新型308の高い質感や力強いイメージを表現するのに重要な役割を果たしている。

牙をモチーフにしたデイタイムランニングライトが、いまやプジョーのアイデンティティを示す重要なデザイン要素となっていることはご承知のとおりだが、新型308で初めて装着された新しいエンブレムも、今後はプジョーのブランドイメージを形作るうえで重要な役割を果たしそうだ。ちなみに、この裏側にはADAS用のレーダーが取り付けられているため、新しいエンブレムはレーダー波を透過するインジウムという金属で製作されているという。

ボディサイドを眺めると、Aピラーの根元をやや後退させてロングノーズのプロポーションを生み出していることに気づく。俊敏な走りを予感させるスタイリングだ。また、フロントフェンダー周辺の複雑な面処理はキャビン部分で一気にシンプルな形状へと改められ、リアフェンダー周辺で再びダイナミックかつ重層的なプレス処理が施されている。

これによって前後輪が力強く大地を捉えている様子を表現するとともに、前方から流れてきた気流が後方に勢いよく排出されるイメージを際立たせており、クルマが停まっている状態でも疾走感を演出することに成功している。

インテリアデザインも実に印象的で、とくにダッシュボードはエッジを利かせた「ひさし」を何段にも積み上げるようにして立体感や先進性を表現。操作系にも大型のタッチディスプレイや短いレバー式のシフトセレクターを採用して近未来性を打ち出している。また、このクラスとしてはクオリティ感が極めて高く、かつてのフランス車の面影は微塵も残っていない点も注目すべきだろう。

そんなインテリアデザインの決定打ともいえるのがプジョー自慢のiコックピットで、小径ステアリングの上からメーターパネルをのぞき込むレイアウトはいかにも斬新。しかもデジタル式メーターパネルのグラフィックはデザイン性が高く、視認性も良好。そして小径ステアリングは「クルマを手中に収めている」感覚を満喫させてくれる。プジョーらしい独創的なアイデアだ。

ボディサイズは大型化。そのゆとりを居住性に振っている
メカニズム面では従来型の改良版が多く用いられている。プラットフォームは先代と同じEMP2だが、新型ではそのバージョン3に進化しており、使用されるパーツのおよそ50%が新設計された模様。

このプラットフォームはさまざまなパワープラントに対応するもので、新型3088の場合、1.2L直列3気筒ガソリンターボエンジンと1.5L直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載したモデルがまず登場。追って、1.6L直列4気筒ガソリンターボエンジンにプラグインハイブリッドを組み合わせたモデルが導入される。ギアボックスは引き続きアイシンAWと共同開発した8速ATを採用する。

ボディはハッチバックとステーションワゴンの2タイプ。このうちハッチバックは旧型に比べて全長+145mm、全幅+45mm、全高+5mm、ホイールベース+60mmと全方位的にサイズを拡大。いっぽうのステーションワゴンはホイールベースこそ先代と同じだが、全長+55mm、全幅+45mm、全長+10mmとこちらも全般的に大型化しており、余裕ある室内スペースを実現している。

グレードはアリュールとGTのふたつで、アリュールはガソリンもしくはディーゼル、そしてGTはディーゼルもしくはハイブリッドから選択できる。価格は305万3000円(ガソリン/ハッチバック/アリュール)から530万6000円(ハイブリッド/ステーションワゴン/GT)まで。

このうち、今回はディーゼルモデルの308GT ブルーHDiとガソリンモデルの308アリュール(いずれもハッチバック)に試乗したので、その印象をお届けしよう。

素早いレスポンスのディーゼルエンジンとスポーティな足回り
最初に試乗したディーゼルモデルは、エンジン始動時のノイズが小さく抑えられているほか、低回転域で強くアクセルペダルを踏み込んでもガラガラという燃焼音はほとんど耳に届かないため、静粛性は良好。エンジン回転数が高まれば、それなりにエキゾーストノートは聞こえてくるものの、音質はスポーティなガソリンエンジンに近く、ディーゼルとは思えないほど官能的だ。

このディーゼルエンジンの魅力は振動やノイズレベルが良好なことだけに留まらない。ペダル操作に対するレスポンスが素早いうえ、ディーゼルとは思えない速さでエンジン回転数が上昇していくため、たとえばワインディングロードでも実に小気味のいい走りが楽しめるのである。

足まわりは小さなストローク域の動きを柔軟にすることで路面からのゴツゴツ感を吸収するいっぽう、そこから先はボディの動きをしっかりと抑え込むタイプで、意外にも(失礼!)スポーティ。フランス車特有のネコ足というよりも、ダンピングがしっかりと利いたドイツ車風サスペンションに快適性も付け加えたという印象だ。

そんな足まわりがもたらすハンドリングは、俊敏な中にもどっしりとした安定感が認められるもので、安心感は強い。そして前述のiコックピットがクルマの「手の内感」を見事に生み出していて、ストレスを感じさせないドライビングフィールを実現している。

インテリアの質感も驚くほど高い。ダッシュボード、ハンドル、シートのどれをとっても手触りは上質で、作り込みもていねい。そして近未来感あふれるデザインも見事なものだ。往年のフランス車ファンのなかにはもっとソフトなタッチを求める方もいるかもしれないが、そのいっぽうでアバンギャルドがフランスの重要な価値観だったことも事実。

また、旧PSAグループのなかで、プジョーは「高級感とハイテク感を持ち合わせたブランド」と位置づけられていることも、こうしたデザインが採用された一因といえる。

直列3気筒ユニットの弱点を感じさせないスムーズ感
ガソリンエンジンを積んだアリュールは、ディーゼルのGTよりもさらに静かで滑らかなエンジンフィールが楽しめる。「それは当然でしょう」と思われるかもしれないが、この1.2Lターボエンジンが3気筒であることを思い起こせば、その印象も驚きに変わるはず。実際、このエンジンは3気筒特有のざらついた感触を一切伝えず、スムーズで静かな印象を乗員に与える優れたパワーユニットだ。

ただし、マイルドハイブリッドを持たない小排気量エンジンゆえに低回転域のトルク感はとりたてて強力とはいえない。もっとも、「もうちょっと力があればなあ」と思うのは上り坂のワインディングロードを軽快に走ろうとするときくらいで、日常的な走り方であれば一般道から高速道路まで不満を覚えることはないはず。ちなみにWLTCモードで17.9km/Lを記録する省燃費性も、この3気筒エンジンの長所だ。

足まわりは、GTと違ってストロークのごく初期から弾むような感触があり、これがGT以上にスポーティで軽快な走りに寄与している。だからといって快適性が大きく損なわれているということは決してない。アリュールというグレード名から受ける印象とは多少異なるかもしれないが、完成度の高い足まわりの仕様だといえる。

質感の高い内外装やソリッド感の利いた足まわりはドイツ車にも通ずるものだが、GTのインテリアに見られる薄緑色のステッチなど、新型308にはフランスのエスプリが随所に息づいている。

その弱点の見当たらない完成度と戦略的な価格設定により、かつての306を彷彿とするヒット作になりそうな気配が、この308には濃厚に漂っていた。(文:大谷達也/写真:井上雅行、佐藤正巳)

Check:最新のプジョーエンブレム ─── 次世代への進歩を象徴
プジョー308モデルラインナップ
アリュール(1.2Lガソリンターボ):305万3000円
アリュール ブルーHDi(1.5Lディーゼルターボ):327万7000円
GTブルーHDi(1.5Lディーゼルターボ):396万9000円
GTハイブリッド(1.6Lガソリンターボ+モーター):490万6000円
SWアリュール(1.2Lガソリンターボ):325万3000円
SWアリュール ブルーHDi(1.5Lディーゼルターボ):347万7000円
SWGTブルーHDi(1.5Lディーゼルターボ):436万9000円
SW GTハイブリッド(1.6Lガソリンターボ+モーター):530万6000円

プジョー308アリュール主要諸元
●全長×全幅×全高:4420×1850×1475mm
●ホイールベース:2680mm
●車両重量:1350kg
●エンジン:直3DOHCターボ
●総排気量:1199c
●最高出力:96kW(130ps)/5500rpm
●最大トルク:230Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量: プレミアム・52L
●WLTCモード燃費:17.9km/L
●タイヤサイズ:225/45R17
●車両価格(税込):305万3000円

プジョー308GT ブルーHDi主要諸元
●ホイールベース:2680mm
●車両重量:1420kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1495cc
●最高出力:96kW(130ps)/3750rpm
●最大トルク:300Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量: 軽油・53L
●WLTCモード燃費:21.6km/L
●タイヤサイズ:225/40R18
●車両価格(税込):396万9000円

[ アルバム : 新世代へと生まれ変わったプジョー308 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

7件
  • カローラスポーツもナビ付けたら300万超えるからお買い得といえる内容。
  • 2018年式の2000cc GTブルーHDiを所有してます。180ps有りましたが今は時代の流れか1500ccの130psなんですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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