現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > M4カブリオレ/M8クーペ/M550i:「M」はBMWのスポーツイメージを象徴するマジックレター【特集BMWのiとMとX(4)】

ここから本文です

M4カブリオレ/M8クーペ/M550i:「M」はBMWのスポーツイメージを象徴するマジックレター【特集BMWのiとMとX(4)】

掲載 更新 1
M4カブリオレ/M8クーペ/M550i:「M」はBMWのスポーツイメージを象徴するマジックレター【特集BMWのiとMとX(4)】

今回は「BMWパワーの新展開」を紐解く企画を特集しているが、「i:電動化」に続くキーワードは「M:スポーツドライビング」。Mと電動化との結び付きは現時点ではまだなく、これまでの路線が引き継がれている。今回はMの最新モデルであるM4カブリオレを中心に、3モデルからいまの「M」のコンセプトについて掘り下げる。(Motor Magazine 2022年4月号より)

際立つ走りのポテンシャル。時代の変遷が表現されたM
BMWの製品にとって「M」というのは特別な記号。とくにBMW社の100%子会社で、前身がBMWモータースポーツ社であるM社がプロデュースした、車名にひと桁の数字、もしくはBMWが「SAV=スポーツアクティビティビークル」と紹介する、頭にXの文字とひと桁の数字を組み合わせた、モデル名に「M」の記号をプラスした各車というのは、それぞれのバリエーション中にあってもサーキットでの本格的なスポーツ走行まで視野に入れて開発された「Mモデルの頂に立つ」と言える存在だ。

BMW iX xDrive50:ニュージェネレーションの大いなる挑戦【特集BMWのiとMとX(1)】

こうした「Mハイパフォーマンス」モデルは、間もなくの世代交代が確実視されているM2をエントリーモデルとしてM3、M4、M5、M8、さらにスポーツアクティビティビークルとカテゴライズされるX3M、X4M、そしてX5MにX6Mと、現在これだけの種類が用意されている。

その中にあっても、そもそもは1986年に当時のグループAレース出場のためのホモロゲーション取得用に開発されて「戦うクルマ」として生を受けて以来、歴代モデルで「究極のドライバーズカー」としてのキャラクターが強く演じられているのがM3だ。

長い歴史の中で、数あるMモデル中でもイメージリーダー的な雰囲気の強いM3、そして当初はその2ドアクーペ版として存在しながら後に独立したネーミングを与えられて現在へと至るM4という、ふたつのモデルである。

「サーキット走行までを視野に入れた」と紹介したが、それでいながらも、基本的には日常の使い勝手に影響を及ぼすほど過度に走りの性能のみにフォーカスをしたわけではないというのは、基本的にはMハイパフォーマンスモデルに共通するひとつの特徴である。

そうした多彩なキャラクターを象徴する典型的な1台とも言えそうなのが、今回ここに紹介する新しい「M4カブリオレ」という存在である。

現行の4シリーズカブリオレは、従来型のリトラクタブルハードトップ方式を改め、オーソドックスなソフトトップ方式にいわば「原点回帰」したルーフシステムを採用する。そのモデルをベースに、新しいM4カブリオレが日本で発表されたのは2021年9月のこと。仕様は、M4カブリオレコンペティションM xDriveのみで、フロントフード下には、3Lから510psという最高出力と650Nmという最大トルクを発する直列6気筒ツインターボエンジンが収められている。

トランスミッションは、シフトノブ上のスイッチで任意に変速プログラムを選択できるドライブロジック機能が与えられた「Mステップトロニック」と称する8速ATに限定される。長きにわたり、「MTに拘る」という印象の強かったMハイパフォーマンスモデルも、今や2ペダル式のトランスミッションが主流という時代。すでにすべてのMハイパフォーマンスモデルのエンジンがターボ付きとなり、自然吸気のユニットが姿を消していることと共に、このあたり変化はまさに時代の変遷そのものということだろう。

同様に、やはり長きにわたって「FRレイアウト」というイメージが強かったMハイパフォーマンスモデルに「M xDrive」を謳う4WDシステムの採用車が増えつつある点も興味深い。これには、エンジンにターボチャージャーがアドオンされたことにより、パワー以上にトルクが一気に増大されたことでトラクション性能に対する要求値が高まったという点が大きく影響を及ぼしているはずだ。

実際、M4カブリオレに乗ると、わずかなアクセルペダルの踏み込みに対してもトルクの盛り上がり感は大きく、カブリオレという贅沢さも大きな売りもののボディにとっては、さらなる重量増というデメリットを受け入れながら、ゆとりあるトラクション性能を確保することでトリッキーな走りの挙動を回避する、という考え方には整合性が大きいと納得が行く。

一方、4WDシステムの持ち主でありながら後輪側にエンジントルク配分のバイアスが掛けられていたり、「RWDモード」まで用意されている点には、Mモデルらしさが際立っていると言える。通常の4WDモードを選択している段階でも、そのドライビングのテイストはFRの風味が強く、「4WDだから曲がりにくい」といった感覚は微塵も抱かないのだ。

加えれば、オープンモデルではあってもボディの剛性感は十分に高く、ルーフトップ部分も硬質な仕上がりで、静粛性もクーペボディへの引け目を感じさせない。

車両重量は1930kgと重量級で、クーペモデル比では140kg重い。理屈上ではその分、動力性能にも影響があり、0→100km/h加速タイムは0.2秒の遅れを取る。だが、それでもわずかに3.7秒で、4秒を切るデータは文句なしのスーパーカー級。際立つ走りのポテンシャルにフルオープンボディによるオープンエアドライビングも手にしたこのモデルは、ある面でMハイパフォーマンスシリーズの頂点に位置する存在と言えることにもなる。

圧倒的なパフォーマンスはフラッグシップゆえの余裕
さて、M4カブリオレの実力を知った後でも、改めて特筆に値するゴージャスな雰囲気とさらなる走りのパフォーマンスに圧倒されるのが、日本には2019年末から導入が行われている「M8クーペコンペティション」。Mハイパフォーマンスモデルのフラッグシップであることは、まずその佇まいにも表現されている。

4870×1905mmという全長と全幅に対して、全高は1360mm。そんな堂々たるサイズのボディにもかかわらず、キャビン空間は完全に前席2人のためだけに割り切られたことで、ベースの8シリーズともどもそのプロポーションの流麗さは数あるBMW車の中にあっても圧倒的。もちろん、インテリアのゴージャスさも群を抜いている。取材車は「フルレザーメリノインテリア」や「アッシュブラックウッドトリム」といったオプション装着で、なおさらだ。

一方、Mハイパフォーマンスモデルならではと思えたのが、8シリーズには「インテグレイテッドアクティブステアリング」という名称で設定される4WSシステムがM8には用意されていないこと。開発者から直接の回答を聞き出せたわけではないが、ベースのBMW車がランフラットタイヤを採用しながらMハイパフォーマンスモデルではそれを採用しないという例があることからすると、こちらも重量の増加を抑えたいという狙いはもとより、最小回転半径が5.2mから5.7mに拡大してしまうという点を受け入れながらも、わずかにでもより自然な走りのフィーリングを獲得するために敢えて不採用を決断したという可能性は十分にあるように思う。

実際、大柄なボディを持て余さずに済む舞台が用意されれば、このモデルは見た目から受ける印象以上に機敏で、軽快に走ってくれる。実に625psの最高出力と750Nmの最大トルクを発するという2基のツインターボ付きV8エンジンの実力を解放しようとすれば、たちまちとんでもない速度に達してしまうため、ことのほか強い自制心が必要なモデルである点は否めないが、そのはるか手前の領域でゆったりと走っていても、類まれに優雅な走りのテイストの豊かさを享受できる。

大人がリラックスして長時間を過ごすことは望めないタイトな後席の空間も、サーキット以外では解放することが許されないほどの動力性能も、無駄と考えれば確かに無駄な存在だ。しかし、だからこそ現実的にも精神的にもリザーブされた絶大なポテンシャルを備え、シリーズのフラッグシップとして相応しい立ち居振る舞いを提供してくれる点に、他の追随を許さないこのモデルならではの価値が読み取れると言っても良い。

Mパフォーマンスも凄さ十分。BMWをさらに引き立てる
MそうしたMハイパフォーマンスモデルに対して、一歩引いたポジションに身を置くのが、ベーシックなBMW車と前出のMハイパフォーマンスモデルとの中間に位置する「Mパフォーマンス」モデルのラインナップだ。

連れ出した「M550i xDrive」もそうした1台で、日本には2020年秋に新型M5シリーズと共に導入されている。その立ち位置を表すように、ベーシックな5シリーズとしては卓越してダイナミックな走りのポテンシャルを備える一方で、Mモデルの一員という視点では比較的穏やかで「普通の5シリーズ」と受け取っても何ひとつ気を遣わされる部分がない。

それでも生粋のスポーツサルーンと呼びたくなる実力の持ち主であることは事実。「サーキットの香り」こそ控え目だが、秘めたポテンシャルを解放すれば、こちらも動力性能は凄まじい。シリンダーバンク内にレイアウトされた2基のターボチャージャーを備える4.4L V8ツインターボエンジンが発する最高出力/最大トルクは、530ps/750Nm。そんな怒涛とも言える出力が4WDシステムを介して4輪から地面へと伝達されるのだから、それも当然だろう。

このモデルはランフラット構造のタイヤを装着するものの、数あるBMW車の中にあってもそれを「履きこなしている」印象が強く感じられるのもポイント。路面の凹凸を拾った際の振動波形こそややシャープだが、その先では電子制御式のアクティブスタビライザーを備えた「アダプティブMサスペンション」が、しなやかな乗り味を提供してくれるのである。

そもそもブランドそのものがスポーティなイメージに満ちているのがBMWの特徴。そうした固有のキャラクターを一層引き立てることになっているのが、「M」の文字によってイメージングが行われているさまざまな手法なのだ。

ルーツがサーキットに宿る歴史あるM3を筆頭とする「Mハイパフォーマンス」がトップに役付けられ、それが性能的にも価格的にも敷居が高いというユーザーに向けては、ベーシックなBMW車との中間的存在として「Mパフォーマンス」モデルを幅広く新設。

さらに、そうした「M」モデルに対して、専用デザインのボディキットやローダウンサスペンションを組み込むことなどで、とくに見た目に特化したスポーツテイストの演出を図った、いわゆる「Mスポーツ」グレードの存在も見逃せない。

BMWにとって「M」という文字は、まさにマジックレターだと言える。そしてそれは、この先電動化が進展して行っても、変わることはないのだろう。(文:河村康彦/写真:永元秀和、井上雅行)

BMW M550i xDrive 主要諸元
●全長×全幅×全高:4975×1870×1465mm
●ホイールベース:2975mm
●車両重量:1950kg(*)
●エンジン:V8 DOHCツインターボ
●総排気量:4394cc
●最高出力:390kW(530ps)/5500rpm
●最大トルク:750Nm/1800-4800rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・68L
●WLTCモード燃費:8.3km/L
●タイヤサイズ:前245/35R20、後275/30R20
●車両価格(税込):1362万円
*取材車はオプションのアダプティブMサスペンションプロフェッショナル装備のため1980kg

BMW M8クーペ コンペティション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4870×1905×1360mm
●ホイールベース:2825mm
●車両重量:1910kg
●エンジン:V8 DOHCツインターボ
●総排気量:4394cc
●最高出力:460kW(625ps)/6000rpm
●最大トルク:750Nm/1800-5860rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・68L
●WLTCモード燃費:-
●タイヤサイズ:前275/30R20、後285/35R20
●車両価格(税込):2474万円

BMW M4カブリオレ コンペティションM xDrive 主要諸元
●全長×全幅×全高:4805×1885×1395mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:1930kg
●エンジン:直6 DOHCツインターボ
●総排気量:2992cc
●最高出力:375kW(510ps)/6250rpm
●最大トルク:650Nm/2750-5500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・59L
●WLTCモード燃費:9.6km/L
●タイヤサイズ:前275/35R19、後285/305R20
●車両価格(税込):1462万円

[ アルバム : BMW M4カブリオレ コンペティションM xDrive、M8クーペ コンペティション、M550i xDrive はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【インドネシア】ヤマハ「WR155R」発表! 17馬力のハイパワーエンジン搭載! 軽量「オフロードバイク」が凄い! “カラーフレーム”に新グラフィックを採用して登場!
【インドネシア】ヤマハ「WR155R」発表! 17馬力のハイパワーエンジン搭載! 軽量「オフロードバイク」が凄い! “カラーフレーム”に新グラフィックを採用して登場!
くるまのニュース
2025年の新人ドライバーがカーナンバーを選択。『12』や『7』などかつてチャンピオンの使用したナンバーが復活
2025年の新人ドライバーがカーナンバーを選択。『12』や『7』などかつてチャンピオンの使用したナンバーが復活
AUTOSPORT web
スズキ『スイフト』新型のツートンカラーが「オートカラーアウォード2024」特別賞に
スズキ『スイフト』新型のツートンカラーが「オートカラーアウォード2024」特別賞に
レスポンス
おじさんになったら運転は「目」に注意! 視力低下と防ぐ方法
おじさんになったら運転は「目」に注意! 視力低下と防ぐ方法
ベストカーWeb
[アルファード]なのに4人乗りだと!? えらいさんたちも大満足の[超~VIP仕様]誕生!! 
[アルファード]なのに4人乗りだと!? えらいさんたちも大満足の[超~VIP仕様]誕生!! 
ベストカーWeb
免許取得前の娘のために日産「フィガロ」を購入!「オリジナル状態の車体を選べるうちに手に入れました」…今後入手困難になるのは必至!?
免許取得前の娘のために日産「フィガロ」を購入!「オリジナル状態の車体を選べるうちに手に入れました」…今後入手困難になるのは必至!?
Auto Messe Web
よく見ると「道路標識」の支柱に貼ってある謎の番号! じつは超有能なヤツだった
よく見ると「道路標識」の支柱に貼ってある謎の番号! じつは超有能なヤツだった
WEB CARTOP
【パガーニ創業者も来日】ウアイラ、ゾンダにウトピアも展示 明治記念館でプライベートパーティー開催
【パガーニ創業者も来日】ウアイラ、ゾンダにウトピアも展示 明治記念館でプライベートパーティー開催
AUTOCAR JAPAN
マツダ『ロードスター』リコール情報…障害物検知が正常に働かない
マツダ『ロードスター』リコール情報…障害物検知が正常に働かない
レスポンス
【累計生産100万台を達成】三菱 インドネシアの生産拠点 2017年4月から生産開始で約50カ国へ輸出
【累計生産100万台を達成】三菱 インドネシアの生産拠点 2017年4月から生産開始で約50カ国へ輸出
AUTOCAR JAPAN
あの“マールボロ・マクラーレン”よりはるかに長い43年のスポンサーシップに幕。IMPUL星野一義総監督「カルソニックは俺の人生そのもの」
あの“マールボロ・マクラーレン”よりはるかに長い43年のスポンサーシップに幕。IMPUL星野一義総監督「カルソニックは俺の人生そのもの」
motorsport.com 日本版
【アメリカ】トヨタの「小型SUVコンセプト」がスゴかった! 全長4.3m級ボディに“ゴツ顔”採用! “次期FJクルーザー”ともいわれた「FT-4X」とは?
【アメリカ】トヨタの「小型SUVコンセプト」がスゴかった! 全長4.3m級ボディに“ゴツ顔”採用! “次期FJクルーザー”ともいわれた「FT-4X」とは?
くるまのニュース
チェックするタイミングはいつ!? バイクのチェーンとスプロケの点検頻度は?
チェックするタイミングはいつ!? バイクのチェーンとスプロケの点検頻度は?
バイクのニュース
【スポーティグレード追加】ノート・オーラに「オーテック・スポーツ・スペック」 走りをチューン
【スポーティグレード追加】ノート・オーラに「オーテック・スポーツ・スペック」 走りをチューン
AUTOCAR JAPAN
疲労を軽減する「インテリシート」オペルが開発、新型SUV2車種に採用へ
疲労を軽減する「インテリシート」オペルが開発、新型SUV2車種に採用へ
レスポンス
ヤマハの電動アシスト自転車『PAS』、2025年モデル「11車種の特徴と違い」を比較チェック!
ヤマハの電動アシスト自転車『PAS』、2025年モデル「11車種の特徴と違い」を比較チェック!
レスポンス
トヨタ アルファード、ヴェルファイアに6人乗りPHEVを新設定
トヨタ アルファード、ヴェルファイアに6人乗りPHEVを新設定
Auto Prove
BYD、佐賀県初の正規ディーラーをオープン
BYD、佐賀県初の正規ディーラーをオープン
レスポンス

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1548.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

678.81358.0万円

中古車を検索
M4 カブリオレの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1548.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

678.81358.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村