昨今ではSUVなどに押され、姿を消しつつあるクーペ。しかし、長年クーペを作り続けてきたBMWとメルセデスにとって、今も重要なモデルであることに変わりはない。ここでは両社のミドルサイズクーペを取り上げ、その性格を比較したい。
各ブランドの性格を色濃く反映するクーペ
【海外試乗】スポーティネスとエレガンスが宿る、新種のカブリオレとクーペ現る「メルセデス・ベンツ CLEカブリオレ/クーペ」
メルセデス・ベンツもBMWも半世紀以上にわたってクーペを作り続けてきた長い伝統を有するが、モデルのキャラクターはブランドの立ち位置を反映して大きく異なっていた。すなわち、メルセデスのクーペは豪華で快適性重視、いっぽうのBMWは高性能版を用意するなどスポーツ志向が強い傾向が見られたのである。
そうした伝統や誇りが関係しているのか、クーペ不毛の時代と言われる現代でも、両ブランドは少なくない数のクーペモデルをラインナップしている。たとえば、両社のオフィシャルサイトに掲載されている2ドアクーペ(除くコンバーチブル)を数えると、BMWは8、4、2シリーズの3モデル、メルセデスはEクラス、新登場のCLE、AMG GTとこちらも3モデルが揃っている。
もっとも、Eクラスクーペの販売は間もなく終了し、すでにカタログから落ちているCクラスクーペともどもCLEに集約される見通し。つまり、2ドアクーペの伝統が、またひとつ消え去ろうとしているのだ。
ところで、1台で2台分の役割を担うことになったCLEには、従来型Eクラスとほぼ同じボディサイズが与えられた。そして日本に導入されるのは、当面2Lエンジンを積むCLE200クーペ・スポーツのみ。価格は850万円で、E200クーペの925万円に比べてかなり「お手頃価格」となっている。
そんなCLE200の比較対象として選んだのはBMW 420iクーペMスポーツ。すでに発売から4年が経過しているものの、その実力はいまも第一線級と見込んで登場を願った次第である。
とはいえ、本来4シリーズのライバルといえばCクラスクーペ。このため420iの全長はCLEより75mmも短い。いっぽうで全幅、全高、ホイールベースはほぼ互角。それよりも特徴的なのが車重で、CLE200の1800kgに対して、420iは1580kgと220kgも軽い。この辺がクルマの印象にどう影響しているのか、順に解き明かしていきたい。
先にステアリングを握った420iクーペでまず印象に残ったのは、ボディ剛性の高さ。それも、単に「ボディが頑丈」という以上に、ソリッドさというかダンピングのよさが明確に感じられる。また、強力な減衰力のダンパーで支えられた足回りはボディをフラットに保ち、どっしりとした乗り味を生み出す。さらにいえば、ライン装着されていたミシュラン・パイロットスポーツ4 ZPはランフラットタイヤなので、路面から「ゴツゴツ」や「ドスンッ」というショックが伝わってきてもおかしくないのだが、ダンピングの効いたボディがその衝撃を見事に受けとめて、まったく不快な印象を与えない。この辺は、長年ランフラットタイヤを履きこなすために多大な努力を重ねてきたBMWらしい“骨太さ”といえる。
いっぽう、フラット感の強い420iの乗り心地はどっしりとした感触を伝えるもの。さらにいえばステアリングもやや重めで、あたかも重いクルマを操っているような感触を抱く。ただし、実際の車重は、前述のとおり420iのほうが軽いので、これは足回りとパワステの味付けで演出された重量感といって間違いないだろう。
その証拠に、コーナリング時の反応は俊敏で、ハンドリングも正確そのもの。さらにいえばスタビリティ感も高く、ワインディングロードでは意のままに操る感覚を味わえる。しかもタイヤのグリップ力が高いので、本来であれば十分な184psのパワーがむしろ物足りなく感じられるほど。その意味では、シャシーがエンジンに優っている典型的な例といえる。
期待のニューフェイス、CLEクーペの実力は?
対するCLE200クーペは、420iとは様々な面で対照的な印象だった。
まず、エンジン始動はISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を搭載している関係で滑らかそのもの。続いて走り始めれば、ソフトなスプリングと減衰力の穏やかなダンパーを組み合わせたサスペンションが、軽い上下動を残しつつも路面から伝わるショックを軽やかに受け流してくれるので快適性は良好。しかもパワステの設定が軽めなため、実際の車重とは裏腹に実に軽々と軽快に走ってくれるように感じられる。前述したISGが極低回転でしっかりとトルクを生み出してくれることも、CLEの軽快感に拍車をかけているように思える。
いっぽうで、柔らかめの足回りゆえ、コーナーでステアリグを切り込んでから姿勢が落ち着くまでにやや時間を有するのは事実。それ自体は構わないのだが、ペースをさらに上げるとタイヤのグリップ限界に近づいてしまう関係でスタビリティが低下し、何度もステアリングを修正しながらコーナリングしているような感覚に襲われる。コーナーの入り口で一度ステアリングを切ると、そのままの舵角でコーナーを曲がりきれる420iとは大きく異なる印象だ。
もうひとつ、CLEで個人的に苦手と感じたのが、路面から大入力が加わったとき、サスペンションブッシュの一部かなにかにかすかな振動が残ってしまう点。これは品質感を損なうという面でも、メルセデスらしくないという面でも不利なことだ。
というわけでスポーティ派には420iクーペが、快適性重視派にはCLE200がお勧めというありきたりの結論になるのだが、個人的には足回りに微振動が残らず、コーナリングでは高いスタビリティを発揮する420iにより強く惹かれたことを最後にお伝えしておきたい。
【SPECIFICATION】BMW 420i COUPE M SPORT
■車両本体価格(税込)=6,940,000円
■全長×全幅×全高=4775×1850×1395mm
■ホイールベース=2850mm
■車両重量=1580kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ
■排気量=1998cc
■最高出力=184ps(135kW)/5000rpm
■最大トルク=300Nm(30.6kg-m)/1350-4000rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション形式=前:ストラット、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前:225/45R18、後:255/40R18
問い合わせ先=BMWジャパン TEL0120-269-437
【SPECIFICATION】MERCEDES-BENZ CLE 200 COUPE SPORTS
■車両本体価格(税込)=8,500,000円
■全長×全幅×全高=4850×1860×1420mm
■ホイールベース=2865mm
■車両重量=1800kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ+モーター
■排気量=1997cc
■最高出力=204ps(150kW)/5800rpm
■最大トルク=320Nm(32.6kg-m)/1600-4000rpm
■トランスミッション=9速AT
■モーター最高出力=20.4ps(15kW)/1500-3000rpm
■モーター最大トルク=205Nm(20.9kg-m)/0-750rpm
■サスペンション形式=前:4リンク、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前:245/35R20、後:275/30ZR20
問い合わせ先=メルセデス・ベンツ日本 TEL0120-190-610
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みんなのコメント
前は好みの問題かな
CLEはその逆