■「もっと走りたい!」4代目レガシィが見せる走りの良さ
「なるほど、これがスバル本来のツーリングテイストだ」。筆者(桃田健史)は第4世代の「レガシィツーリングワゴン」を走らせながら、そんな思いを抱きました。
スバル新型「レヴォーグ」世界初公開! 1.8Lターボと新世代アイサイト搭載で2020年後半発売
スバルは現在、歴代「レガシィツーリングワゴン」を広報車として配備しています。新型「レヴォーグ」の登場が2020年後半に迫るなか、第4世代のレガシィツーリングワゴンはどんな走りを見せるモデルだったのか、振り返ります。
スバル本社は新型レヴォーグ発表に向けたマーケティング活動の一環として、歴代レガシィツーリングワゴンをフルレストアし、2019年9月から広報車としてメディア向けに貸し出しを始めました。
2020年3月からは、第3世代と第4世代のレガシィツーリングワゴンが広報車ラインアップに加わったということで、今回は第4世代に乗ってみました。
試乗した仕様は「2.0R 50周年アニバーサリー」で初期登録は2004年、走行距離は8万4000km。内外装ともにしっかりとレストアされた、キレイな状態です。
都内の市街地を抜け、首都高速から東京湾アクアラインを通り、房総半島でのツーリングへ。スパークイエローマイカという珍しい外装色のため、通行人が2度見することもありました。
走りながらもっとも強く感じたことは、水平対向エンジンによる低重心を活かした走りの良さです。
なにをいまさら、と思う人が多いかもしれません。低重心化を実現したシンメトリカルAWDはスバルの真骨頂であり、いまも昔も変わないからです。
とはいえ、最近のクルマは水平対向エンジンでなくても、車体構造に優れ、剛性がありボディは軽量。また、サスペンションやパワーステアリングなど操縦安定性に関わる機器の性能が上がったことで、乗り心地とハンドリングが良いのは当たり前になりました。
結果的に、スバル車の走りの良さがユーザーに伝わりにくくなっていると、今回の試乗で改めて感じたのです。
そのほかで感じたことは、車内で確認できる装備品についてです。
まずは、アイサイトが搭載されていないのでルームミラー周りがスッキリ。カーナビの表示がレトロ。また、USBポートがない代わりに、シガーライター付きの灰皿があるなど、いわゆる“スマホ前夜”な雰囲気を感じました。
ただし、そうした先進技術アイテムがなくても、第4世代レガシィツーリングワゴンに対して、退屈だとか、満足できないといったネガティブな印象はありません。「もっと走りたい」と思う素直な気持ちが、走れば走るほど強くなっていきました。
■レヴォーグは第4世代レガシィツーリングワゴンの後継か?
第4世代のレガシィツーリングワゴンの走りは第5世代、さらにはレヴォーグへと継承されていきます。
ですが、第5世代に対しては発売当時、自動車雑誌などで「これはもう、レガシィではない」といった厳しい評価を数多く目にしました。
ユーザーからはそれほど強い声ではなく、販売が一気に落ち込んだわけではありません。ただ、自動車メディア関係者には、スバルへの愛が強い人が多く、大柄化してしまった第5世代を素直に受け入れられなかったのだと思います。
第5世代の商品企画で重要視されたのがアメリカ市場でした。スバル上層部は2000年代前半に、事業戦略としてアメリカ重視策を決定。2007年の第3世代「インプレッサ」と第3世代「フォレスター」に次いで、2009年に第5世代レガシィが登場します。
そうしたなか、スバルが水面下で進めていたプロジェクトがありました。レガシィの仕向け地別化です。
その結果、日本市場の専用車として、第4世代ツーリングワゴンの後継車とも呼べるようなクルマを仕立てました。それが、レヴォーグです。
ですから、レヴォーグに第4世代レガシィツーリングワゴンの面影を感じるのは、当然だといえます。レヴォーグは、日本人好みのツーリングワゴンが進化したグランドツアラーです。
2020年3月末時点で、「今年後半発売」(スバル広報部)とされる、第2世代のレヴォーグ。
誰が乗っても走り出してほんの数秒で、走りの進化がはっきりと分かるはずです。
プロトタイプを試乗していなくても、そういい切れるのは、SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用した、インプレッサ、「XV」、フォレスターそれぞれで、そのように感じたからです。
SGPを最初に採用したインプレッサでは、プロトタイプの試乗会で新旧モデルの乗り比べをしましたが、あまりに差が大きく、心底驚きました。走る・曲がる・止まる、という走り全体で質感が2段階以上というイメージでレベルアップしていました。
この驚きが、第2世代レヴォーグでも必ず起こります。さらに、SGP採用第4弾として、スバルがフルインナーフレーム構造と呼ぶ、第2世代SGPへさらなる進化を遂げます。スバルがいう「動的質感」の向上です。
具体的には、車両応答性の速さ、車両応答の正確性、直進性の高さのレベルが上がるのです。
こうしたクルマの骨格という基盤があるからこそ、新開発の直噴1.8リッターターボエンジンの潜在能力が引き出され、さらにドライブセレクトモードを含めた新開発サスペンションが活きるのだと思います。
もちろん、アイサイトも進化します。スバルが2020年1月20日、同社本社で報道陣向けに実施した「技術ミーティング」では、アイサイト技術進化の将来像が提示されています。新型レヴォーグは、そうした進化したアイサイトの第1弾となります。
新型レヴォーグには、レガシィツーリングワゴンで培ったスバルらしさの進化を、大いに期待したいと思います。
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みんなのコメント
エンジン一つとっても、3Lの6気筒が選べ、変速機もAT、MTが選べたのが大きな差かな。
選択と集中とやらで、とにかく選択肢を絞る傾向の今、一つのモデルくらい内外装やエンジン、変速機の組み合わせの豊富さをウリにするモデルがあってもいいのではと思う。