新車がデビューすると、自動車評論家や自動車雑誌編集部員がその新車に試乗し、インプレッション記事を書いて、雑誌やWebに掲載されます。
いろんな雑誌やweb媒体に掲載している新車のインプレッション記事を読んでいると、アレ?誉めすぎじゃない? と思うことはありませんか?
日本で唯一、カーデザインの専門職大学が2019年4月開学予定で、説明会を実施
この記事、ほんとに正しい評価をしているのでしょうか? 誉めすぎのクルマ、絶賛されたクルマに短所はないのでしょうか?
いいクルマなんですが、無理やり短所を渡辺陽一郎さんに探してもらいました。もちろん、自動車メーカーのしがらみ抜きです!
文/渡辺陽一郎 写真/ベストカー編集部
■ハスラー→設計古く、乗り心地が少し固い!
ハスラーは先代ワゴンRを基本に開発された。そのために現行ワゴンRに比べると世代が古く、ボディは少し重い。
現行ワゴンRスティングレーの車両重量は、ターボを装着しないノーマルエンジンを搭載したハイブリッドXが790kgだが、ハスラーXは800kgになる。
JC08モード燃費もワゴンRスティングレーの33.4km/Lに対して、ハスラーXは32km/Lだ。若干ではあるが、ハスラーに設計の古さが見られる(数値はいずれも2WD)。
そしてハスラーは最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)が前輪駆動の2WDで180mm、4WDは175mmに高められ、高重心でも走行安定性を確保するために乗り心地が少し固い。路上の細かなデコボコを拾いやすい。
車内は前後席ともに頭上と足元の空間が広くて快適だが、ファブリックのシート生地は少し滑りやすい。カーブを曲がる時など、体をもう少し安定させて欲しいと感じる。
安全装備は緊急自動ブレーキなどを用意するが、サイド&カーテンエアバッグはオプションでも装着できない。側面衝突に対する備えに改善の余地を残す。
■スイフトスポーツ→斜め後方の視界が悪く後席が窮屈
ベース車のスイフトにも当てはまる欠点だが、サイドウインドウの下端を後ろに向けて持ち上げた。しかも後席側はサイドウインドウの面積を狭めたから、斜め後方の視界が悪い。小回り性能に不満はないが、縦列駐車は行いにくい。
居住性は、前席は快適だが、後席は窮屈に感じる。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ1つ半だ。フィットは同じ測り方で握りコブシ2つ半だから、スイフトスポーツはコンパクトカーのなかでも足元が狭い部類に入る。
しかも後席は背もたれの角度が立っていて、リラックス感覚も乏しい。後席が窮屈になったのは荷室容量を考慮した結果で、欧州製のコンパクトカーに多いパターンだ。
インパネ周辺は上質だがATレバーの操作感は気になる。もう少しメリハリを利かせて欲しい。
燃費についてはアイドリングストップが装着されない。1.4Lのターボエンジンも動力性能を重視した設定だから、JC08モード燃費は6速ATが16.2km/L、6速MTが16.4km/Lとなる。
2.3Lのノーマルエンジンに匹敵する動力性能を考えれば悪い数値ではないが、燃費をさらに節約することを考えて欲しい。
■N-BOX→NAエンジンが非力、操舵に対する反応が鈍い
先代N-BOXに比べると軽量化され、車両重量はG・Lホンダセンシングが890kgだが、それでもターボを装着しないNAエンジンは動力性能が不足気味だ。
発進するとエンジン回転が3000回転付近まで一気に高まり、この後で速度が上昇する。4500回転付近から加速が活発化するが、もう少し実用回転域の駆動力を高めたい。
最大トルクは6.6kgm(4800回転)だが、このトルクが4000回転付近で発生すると好ましい。
パワー不足を感じたら、ターボを検討したい。
実用面の加速性能を大きく左右する最大トルクは10.6kgm(2600回転)だから、ノーマルエンジンの1.6倍だ。1Lエンジンを積んでいる感覚で運転できる。
しかも燃費数値はNAエンジンと比べて5~7%しか悪化しない。ターボの価格は、装備の違いを補正すると7万円前後だから求めやすい。
走行安定性は、全高が1700mmを超える軽自動車では優れた部類に入るが、高重心だから操舵に対する車両の反応は鈍い。峠道などでは曲がりにくく感じる。
インパネは上質だが、メーターパネルが高く奥まった位置に装着されるから、小柄なドライバーが運転すると圧迫感が生じる場合もある。トレイを豊富に装着したが、フタの付いた収納設備は少ない。
荷室は天井が高めで床が低く、自転車などを積みやすいが、その分だけリアゲートの上下寸法が長い。開閉時にはリアゲートが後方へ大きく張り出すから、縦列駐車をしているような状態では、荷物の出し入れがしにくい。日産セレナのように、リアウインドウの部分だけを開閉できる機能が欲しい。
■マツダCX-5→2.5Lガソリン車の走行安定性が悪い、2Lガソリン車はパワー不足!
先代型の足回りは基本的に海外仕様と共通だったが、現行型は日本仕様として開発された。しがたって、乗り心地は柔軟で快適だが、直列4気筒2.5Lガソリンエンジン搭載車は、走行安定性に不満がある。
操舵角に応じて回り込むが、カーブを曲がっている最中に危険を回避する目的でアクセルペダルを戻したりすると、後輪の安定性を損ないやすい。この課題は開発者も認識しており、今後改良される可能性が高い。
車両重量は最も軽い仕様でも1500kgを超えるから、2Lガソリンエンジンではパワー不足だ。実用的に問題なくても、CX-5の特徴とされる運転の楽しさは味わいにくい。
しかも2Lガソリンエンジンの価格は、基本的に2.5Lと同じ設定になる。クリーンディーゼルターボを搭載するXDでは、同じエンジンを搭載して、4WDの価格は2WDに比べて22万6800円高い。
ガソリンの場合は、2WD・20S(2Lエンジン)と4WD・25S(2.5L)ではエンジン排気量に500ccの差があるのに、価格差は同じ22万6800円だ。
つまりガソリンエンジンの4WDを選ぶと、2WDに比べて22万6800円の上乗せで、排気量も500cc増量される。ガソリンエンジンでは4WDの2.5Lは割安、2WDの2Lはパワーが不足して価格も割高になる。
取り回し性にも注意したい。全長は4545mmに収まるが、全幅は1840mmとワイドだ。最小回転半径も5.5mだから、小回り性能はよくない。
サイドウインドウの下端は少し高く、ボディ後端のピラー(柱)も太いから、斜め後方の視界を遮る。さらに真後ろのウインドウも少し狭く感じられ、ワイドなボディと相まって縦列駐車や車庫入れがしにくい。
荷室容量はSUVでは充分に確保したが、リアゲートを開けた時の荷室床面が少し高い。使い方によっては、重い荷物を高い位置まで持ち上げる必要が生じるから、荷室も確認したい。
■ジムニーシエラ→4速AT、燃費が悪い、後席の足元空間が狭い
軽自動車のジムニーに比べるとボディは少し大きいが、オーバーフェンダーなどの外装パーツを装着しただけなので、車内の広さに変わりはない。
後席に大人が座ることは可能だが、足元空間は狭めだ。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は、握りコブシの半分程度にとどまる。床と座面の間隔も足りず、膝が大きく持ち上がった着座姿勢になる。
後席の背もたれを倒せば荷室を拡大できるが、大した広さにはならない。居住性、積載性、乗降性は3ドアクーペに近い。
操舵に対する車両の曲がり方は、20年前に発売された先代型に比べれば正確になった。それでもステアリングシステムは、悪路向きのボール&ナット式だから、ヴェゼルのようなシティ派SUVに比べると操舵感は鈍めになる。あくまでも悪路で真価を発揮するクルマだ。
4WDはパートタイム式で、カーブを曲がる時に前後輪の回転数を調節するセンターデフなどを備えない。したがって舗装路は基本的に後輪駆動の2WDで走り、4WDのメリットが得られるのは雪道や悪路になる。舗装路の上だけで使うと、宝の持ち腐れになってしまう。
エンジンは直列4気筒1.5Lで、ATはいまどきトルクコンバーター式の4速だ。アイドリングストップも装着されない。これらのメカニズムは高い信頼性を備えるが、燃費数値はよくない。
WLTCモード燃費では、4速ATが13.6km/L、5速MTが15km/Lだから、2~2.5Lエンジンを搭載するSUVと同等だ。
■ボルボXC60→全幅が1900mmと広すぎ、斜め後方が見にくい
全長は4690mmだからミドルサイズだが、全幅は1900mmとワイドだ。ホルボで最上級のSUVとなるXC90が1930~1960mmだから、XC60でも全幅はあまり変わらない。混雑した街中や道幅の狭い裏道では持て余す。最小回転半径も5.7mと大回りだ。前方と側方の視界は良いが、斜め後方は見にくい。
内装の作りは丁寧だが、白っぽいベージュの本木目パネルなど、ユーザーによって好みが分かれる。
前席は快適だが、後席の居住性は平均的だ。ボディが大柄でホイールベース(前輪と後輪の間隔)も2865mmと長いが、その割に足元のゆったり感が乏しい。空間効率はあまり高くない。
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