2018年1月も、売れているクルマは売れまくってます。
ホンダN-BOXは1万9309台、日産デイズは1万4843台、ダイハツタントは1万2125台。発売したてのスズキスペーシアも受注1万5000台を超えたようです。いやーめでたい。
ウーンとたくさんバキュームカーを学ぼう その奥深き世界に迫る
しかしそのいっぽうで、年明け早々苦戦しているクルマもあります。どれも企画された当初は「売れるはず」と期待され、発売直後は「新型車登場」と騒がれ、メーカーもメディアもユーザーも喜んだモデルです。みんないいクルマです。
売れていないと目にする機会が減り、目にする機会が減るとますます売れなくなる。そんな悪い流れを堰き止めるべく(売れるクルマのいいところはいろんなところで目にすることだし)、売れてないクルマのいいところをご紹介してゆきます!
文:片岡英明
■トヨタ アベンシスワゴン 2018年1月販売台数40台
アベンシスワゴンはトヨタのイギリス工場で生産されている世界戦略車だ。海外には4ドアセダンもある。が、日本市場はワゴンだけと割り切り、現行モデルはセダンを輸入していない。
デビューしたのは6年半も前だが、2015年に大掛かりなマイナーチェンジを行い、フロントマスクは精悍なキーンマスクとなっている。
エクステリアは、カローラフィールダーよりはるかにカッコいいし、見栄えもいいと思う。また、1クラス上のワゴンだからインテリアや装備もカネがかかっている。
走りの実力も一級だ。2Lの直列4気筒エンジンは実用域のトルクが太く、扱いやすい。クルージング時は静粛性も高いレベルにある。パワーユニット以上に魅力的なのが乗り味だ。欧州直伝のサスペンションは、骨太で、剛性感あふれる走りを披露する。接地フィールはいいし、コントロールできる領域も広い。
パッケージングも優秀だ。キャビンは広いし、ラゲッジルームも大容量で、荷物を積みやすい。価格も300万円を切るから買い得感はすこぶる高いのだ。
■レクサス RC 2018年1月販売台数96台
日本はクーペブームが去り、デートカーにもビッグキャビンのクルマを好む人が多くなっている。
また、身内に似た性格のトヨタ86があり、価格も安いから86に流れる人が多い。RCの価格はボトムでも500万円以上だから、買えるユーザーは限られる。
が、ISをベースにしているから走りのポテンシャルは高いのだ。
エンジンは4気筒のターボから上質でパワフルなV型8気筒まで4機種を揃え、いずれも個性的である。環境に優しいハイブリッド車も実力は高い。
特筆したいのは、切れ味鋭いハンドリングだ。ISよりホイールベースを70mm短くしているから応答レスポンスは鋭いし、気持ちいいコーナリングを楽しめる。意のままの気持ちいいハンドリングは大きな魅力だ。
ドライバーズシートはセダンより後方にあり、着座位置も低いから、FRならではのリアの動きもよく分かる。
インテリアも上質だ。メーターも時計も、自慢できる手の込んだものを配している。内容を考えると、もっと売れてもいいクルマだ。
■マツダ アクセラハイブリッド 2018年1月販売台数46台
アクセラは、マツダ期待の世界戦略車だ。多くの国で販売しており、高く評価されている。
日本で人気が高いのは、ハッチゲートを装備したアクセラスポーツだ。セダンは3割ほどのシェアにとどまっている。
ハイブリッド車は、そのセダンのなかで10分の1の不人気車だから街中で見かけることはほとんどない。が、ペースがいいだけに、ハイブリッド車の実力は非凡だ。
発売された直後の自動車専門誌のインプレッション記事を読み返してみれば、その評判の高さが分かるはずである。多くのメディアや評論家が絶賛していた。
パワートレーンは2Lの4気筒エンジンにモーターの組み合わせだ。トヨタ方式のハイブリッドシステムだが、200cc大きいエンジンを積んでいることもあり、力強い走りを見せる。本家のプリウスよりパンチ力があり、ブレーキのフィーリングも悪くない。
しかもリーズナブルな価格設定だ。
驚いたことに、(同門であるアクセラの)2.2Lディーゼルターボより安く設定している。人気は今ひとつだが、満足度はかなり大きいと思う。
■日産 シーマ 2018年1月販売台数18台
日産のフラッグシップセダンで、初代モデルは爆発的に売れ、シーマ現象を引き起こした。
現行型である5代目は、フーガをベースにしているが、風格と押しの強さは大きく違う。フーガよりホイールベースは150mmも長く、全長は5mを越えているから堂々とした体軀だ。
フロントマスクはきらびやかだし、後席のスペースを広げたVIP仕様だから存在感も際立っている。大柄な人でもゆったりと座れるし、後席はイージークローザー付きだから半ドアの心配もない。
パワートレーンは3.5LのV型6気筒エンジンに1モーターデュアルクラッチ方式のハイブリッドだ。2tに迫る重量ボディを軽々と加速させ、静粛性も高いレベルにある。モーター走行も可能。
また、リムジン感覚の上質な乗り心地を実現しながらスポーティなハンドリングを実現した。銀粉本牧目の化粧パネルや後席ヘッドレストモニターや電動リクライニング機構など、装備も至れり尽くせりだ。レクサスLSと比べても買い得感は群を抜いて高い。
■ホンダ ジェイド 2018年1月販売台数77台
中国東風本田汽車で先行発売し、日本には2年遅れで上陸したジェイド。
まず1.5Lエンジンにモーターを組み合わせたi-DCDハイブリッドがデビューし、それから3カ月遅れて1.5Lのターボ搭載車が加わっている。
スタイリッシュで走りもよかったので売れると思った。が、意外にも販売は低迷し、不人気車のレッテルを貼られている。
その理由はいくつか考えられるが、3列目シートとラゲッジルームが狭く、乗車定員も6人乗りとなっていることが大きいようだ。販売価格も、この車格だと少し割高と感じられる。
だが、立体駐車場に入れることができる背の高さだから、ワゴン感覚で使いたい人にはいい選択になるだろう。
パワーユニットも魅力的だ。ハイブリッド車でも瞬発力は鋭いし、ドライバビリティも優れている。ターボは気持ちいい加速を楽しめ、ハンドリングもスポーティだ。ボディの大きさと高さを意識させない軽快な身のこなしを見せ、運転するのが楽しい。
クルマだけでなく人も見分けられる衝突軽減ブレーキを採用するなど、先進安全装備も抜かりはない。
■スズキ バレーノ 2018年1月販売台数130台
インドのマルチスズキで生産し、東南アジアやヨーロッパで販売しているスズキ期待のコンパクトファミリーカーだ。だが、知名度は低いし、同じクラスにはスイフトとイグニスがあるから目立たないし、売れない。
また、ターボはプレミアムガソリンが指定だし、デザインも地味だから購入の決め手に欠ける。先進安全装備も一世代前のものだ。が、クルマの素性はよく、走りの実力も高いレベルにある。トヨタや日産ならそれなりに売れるクルマになったはずだ。
全幅は広いが、全長は4mを切っている。取り回し性はスイフトと大差ない。キャビンも満足できる広さだ。
ロングルーフだから後席の頭上空間も余裕がある。運転席にはチルト機構に加え、テレスコピック機構が付く。また、シートリフターに加え、見栄えのいいレザーシート仕様を設定するのも魅力だ。
走りの実力も非凡である。1.2Lのデュアルジェットエンジンは軽快だし、実用燃費もいい。ターボはパワフルだ。剛性感たっぷりの冴えた走りにも惹かれる。
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