ここ数年、どうにも迷走している感の強いホンダだが、今はまさに、今後の新時代に向かうための試練の真っただ中にいるのではないだろうか。
北米で突如復活が発表されたインテグラに対する反響の大きさを見ても、ホンダに寄せる期待の大きさを実感する。
ホンダ シャトルまさかの廃止?? ほかノア/ヴォク アルファード RAV4 アリア… 人気車&注目車の最新動向取って出し
ホンダが生まれ変わる20年のロードマップを検証! 「ホンダモータースポーツの今後」も掲載!!
●ホンダが表明している今後の計画
・2050年に完全カーボンニュートラルを目指す
・水素燃料の積極的活用
・先進国全体でのEV、FCVの販売比率2030年に40%、2035年に80%そしてグローバルで2040年に100%とする
・国内市場では、2030年にハイブリッドを含めて完全電動化
・2024年に軽EV国内投入
・北米で2024年にGMとの共同開発プラットフォームによる大型EVを投入
・2022年代後半からホンダ独自開発EVプラットフォーム「e:アーキテクチャ」モデルを投入
※本稿は2021年9月のものです
文/ベストカー編集部、段 純恵 写真/HONDA、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年10月10日号
【画像ギャラリー】新たなホンダの時代を担う!? ニューモデルの予想CGをギャラリーでチェック!
■今は「痛みの時期」
“北米で”とはいえ、2007年以降その歴史が途絶えていたインテグラの名が復活するというニュースは、ここ最近、暗いニュースが続くホンダにおいて、この先に向けての意欲を感じさせる、明るく、期待できるニュースである。
北米に続き、日本国内でのインテグラ復活にも期待が高まる。
日本導入への期待も否が応でも高まるホンダ インテグラ(画像はベストカー編集部による予想CG)
そう、まさにホンダは今車種ラインナップの再構築に着手したさなかなのだ。
昨年7月にはグレイス、そしてシビックセダンの国内販売を終了した。ジェイドもすでにラインナップから消滅している。
シビックは8月5日にフルモデルチェンジして新型の発売を開始したが、日本仕様は5ドアハッチバックのみで4ドアセダンは設定されない。
今年3月にはS660の来年3月での販売終了が発表された。この発表の直後に、S660の生産枠はすべて埋まってしまい、すでに受注を終えている。オデッセイ、レジェンドも狭山工場の操業終了とともに本年末その歴史に終止符を打つ。
さらにNSXも、8月30日に発表されたタイプSをもって生産を終了する。タイプSはグローバルで350台、そのうち国内向けは30台。この350台を生産すると、NSXの名称は再び消滅することになる。
NSXはこのタイプSをもって終了…第二世代として2016年に発表されたNSXは、今回発表されたタイプSのグローバル350台生産をもって終了となる
このように、昨年から現在にかけてホンダは次々と車種を整理している。ヴェゼルなどのニューモデル投入もあるが、そのペースよりも消滅するモデルの数が多いので、ホンダの車種ラインナップは数を減らしている。本誌でもおなじみ、販売店情報に詳しい遠藤徹氏によれば、来年シビックにハイブリッドが追加されることに関連して、インサイトが統合されて廃止されるという情報もあるという。
■本当に必要な車種をしっかりと投入する
ホンダ内部の関係者に話を聞くと、車種再構築のための〝痛みの時期〟だという。
4月に就任した三部敏宏社長は、4月23日の社長就任会見の場で大胆な中期的計画を明らかにしている。その骨子は以下のとおり。
●2050年に完全なカーボンニュートラルの実現を目指す。
●先進国全体でのEV、FCVの販売比率を2030年には40%に、2035年には80%とする。
●2040年にはグローバルで新車販売を100%EV、FCVとする。
●日本国内では、2030年にハイブリッドを含めて新車販売を100%電動車とする。
つまり、日本国内の車種ラインナップでは、10年以内に全モデルEVかハイブリッド、FCVになる、ということで、軽自動車を含めて純内燃機関車は存在しないことになる。が、一方でハイブリッドということは、内燃機関も併用されるということでもある。
グローバルに目を向ければ、10年以内にEV、FCV比率を40%、15年以内に80%に高めるとしているが、ここにはハイブリッドは含まれていない。さらに約20年後の2040年にはこれを100%にすると目標を定めている。しかし、裏を返せば2035年時点でも20%は内燃機関が残るということだ。
シビックタイプR(2022年6月登場予定)…前輪を2Lガソリンターボで駆動し、後輪をモーター駆動とするハイブリッドが有力な新型シビックタイプR(画像はベストカー編集部による予想CG)
とはいえホンダはこの先15年、さらに20年を見据えて完全電動化へと舵を切っている。2040年には内燃機関を搭載した自動車はすべてなくなるという計画だ。FCVは駆動部分はEVそのものだ。EVに発電装置である燃料電池を搭載すればFCVとなる。
EVに関しては、4月に開催された上海ショーで公開されたピュアEVのSUVモデル「e:prototype」を来年春に市販を開始予定。さらに5年以内に10機種のホンダブランドEVを中国市場に投入する計画を進める。
4月の上海ショーでワールドプレミアされたピュアEVのSUVモデル「e:prototype」。来春に市販開始の計画だ
また、GMとの共同で開発が進められている大型SUV「PROLOGUE」を2024年にホンダブランド、アキュラブランドそれぞれで北米市場に投入する。現時点では車名のみが明らかにされているに過ぎないが、積極的にEVのラインナップを拡大する動きだ。
■開発が進められるEV専用スポーツ
これと並行してホンダ独自のEVプラットフォーム「e:アーキテクチャ」の開発が進行しており、2025年以降、グローバルに複数モデルに展開されることになる。当然、日本国内に向けたEVモデルも複数計画されている。
来年にはS660、そしてNSXが相次いで販売を終了することでホンダからスポーツモデルが消滅することになる。しかし、開発現場に近い関係者は「新開発中のEV専用プラットフォームでのスポーツモデルに向けた研究は進んでいる」と証言する。
2025年登場ピュアEVスポーツモデル…2025年以降、新開発EV専用プラットフォームを活用したEVスポーツモデルが計画されている。新時代のスポーツを提案する(画像はベストカー編集部による予想CG)
これより前の2024年には、日本国内に向けた軽規格のEVが投入される。いよいよ軽自動車もEV化されることとなる。
こうした、10年後、20年後のカーボンニュートラルに向けた目標を実現するため、ホンダは開発資源を「電動化」に集中させている。
一方で来年前半に登場するニューモデルは急速に進められた電動化計画が立ち上がる前に開発がスタートしていたモデルたち。ここまで解説してきた電動化計画とはやや矛盾してしまう「内燃機関車」も計画されているが、まさに過渡期の苦しさだ。
本年末で消滅するオデッセイと入れ替わるように新規モデルとして開発が進行中の上級ミニバンは2Lエンジンを搭載したe:HEV。
2022年秋~冬登場オデッセイ後継上級ミニバン…本年いっぱいで狭山工場の閉鎖とともにオデッセイは生産を終了するが、ホンダは来年秋から冬にかけて、オデッセイよりも上級となるミニバンを投入する計画。2L、e:HEVを搭載する(画像はベストカー編集部による予想CG)
また、やはり来年にフルモデルチェンジが計画されるシャトルは、複数の情報があるのだが、最新の情報では、現行型のようなコンパクトワゴンではなく、フィットの基本プラットフォームを活かした小型SUVに生まれ変わるというものがある。
これまで本誌スクープ班がその存在をお伝えしてきた直3、1Lターボエンジンを搭載する小型SUVが、シャトル後継車となる可能性が高いということだ。その一方で、あくまでも小型ワゴンを継承するという情報もあり、並行して開発が進められている模様。
2022年6月登場シャトル後継小型SUV…現在のシャトルは1世代前のフィットをベースとしたコンパクトワゴンだが、モデルチェンジを機に小型SUVに生まれ変わるという情報も。1L直3ターボを搭載(画像はベストカー編集部による予想CG)
来年前半にはシビックタイプRの登場や、ステップワゴンのフルモデルチェンジも予定されている。シビックタイプRは従来型同様、2Lターボエンジンを搭載しながら、後輪をモーター駆動する、スポーツ型ハイブリッドに進化。
ステップワゴンはキープコンセプトのモデルチェンジだが、ミニバンとしての使い勝手を徹底追及。パワートレーンは2Lエンジンを使うe:HEVを踏襲する。
2022年4月登場次期ステップワゴン…ステップワゴンのモデルチェンジは基本的にはキープコンセプト。ガソリンエンジンは廃止し、e:HEVのみの可能性も(画像はベストカー編集部による予想CG)
エンジンを主に発電に使い、モーター駆動を主としながら、低負荷時にはエンジンが駆動に参加するe:HEV
現行モデルの生産終了という暗い話題が相次ぐホンダだが、来年以降、今後5年、さらに10年後に向けた新たな動きがいよいよ始まる!
【番外コラム】F1撤退後のホンダモータースポーツの今後
三部敏宏社長の「カーボンニュートラル&EV化宣言」はセンセーショナルな話題となりましたが、後日、三部社長は「ホンダは10年後もガソリンエンジンを製造している」と話しています。
これをベースに話を進めると、まず二輪ですが、世界一のオートバイメーカーのプライドと責任感で、ホンダが5年後も国内外MSのリーダーであることは間違いありません。
NSXが2022年12月に生産終了すると、パイクスピークの花形が不在になる。FCVはその役を埋める可能性が高い
次に国内の四輪MSのスーパーフォーミュラ、スーパーGTとも活動継続。辞める理由もないし辞めても各方面から恨まれるだけです。アメホン主導のインディカーも継続確実ですが、それだけでは何か物足りない。
最高峰カテゴリーが統合されるデイトナ&ル・マンふたつの24時間レースにハイブリッドマシンで参戦するとか、GMと共同開発している燃料電池車FCVでパイクスピークに登るとか、今後5年で何か新しい挑戦をしてもいいかも。
最後にF1ですが、レッドブルは2022年以降もホンダPUの継続使用契約を結んでいます。つまりホンダの完全撤退はすでに有名無実化しているのです。
体制縮小は避けられませんが、どんな形であれ継続することで技術の継承は守られます。ホンダにおいて朝令暮改はある種の常識。
収益が改善されMSが技術者を鍛える場として社内で見直された結果、5年後のF1で『HONDA』のロゴが復活しているといいですね。
来季まではパワーユニットの技術提供でホンダがかかわるF1。そのあとも水面下で関係は続くことになるだろう
(TEXT/段 純恵)
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HVや水素に拘っていたら世界はどんどん先に行ってしまいます。
キモッ