MotoGPレジェンドのジャコモ・アゴスチーニは、現代のロードレースについて技術が進みすぎたと感じているものの、安全性がより担保されるようになったことについては感慨深く思っている様子だ。
現在80歳のジャコモ・アゴスチーニは1960年代から1970年代にかけて活躍。350ccと500ccクラスで、合わせて15回のタイトルを獲得しており、この最多記録は現在も破られていない。
■マン島TTでライダーの死亡事故が発生。計21戦出場の実力派マルティネスが命を落とす……昨年度には6名の死者が
MotoGPは今季第5戦フランスGPで、創設から通算1000GPの大台を突破。アゴスチーニの現役時代からは隔世の感すらある。motorsport.comはそのフランスGPで、アゴスチーニにインタビューを実施。MotoGP最多王者に、今日のレース環境などについて意見を聞いた。
「今日の素晴らしいところは、(自分の現役時と)変わらぬ緊張を保ちながらも、そこに加えて“死”というものについて考えているところがある」
アゴスチーニはそう口を開いた。
「残念なことに、我々の時代は転倒してしまうと、より深刻なダメージを負っていた。今では嬉しいことに転倒しても起き上がり、またスタートを切ることができる。これは安全性の大きな進化だ」
「マン島でのレースにも私は出場して、そこで10勝を収めている。しかしそれまでに、266人が死亡している。残念なことだが、それが現実だった。コースがそういうモノだったため、レースをしたければ、そういった場所でもレースをしなくてはならなかった」
そう語るアゴスチーニ。彼は1972年のマン島で友人のジルベルト・パロッティが事故死すると、以降はマン島レースには参加しないことを決断し、ライダー側のボイコットの先鞭をつけた。結局、世界選手権創設時からカレンダーに組み込まれ重要視されてきたマン島TTレースは、1976年を最後にカレンダーからは外されることになった。
アゴスチーニの活躍した1960年代、1970年代のライダーにとって、レースにおけるリスクは、より現実的かつ常に存在するモノだったのだ。
「我々は“死”というものについて更に考えていた。ある友人が亡くなったその1時間後にスタートするというのも、何度も経験している。そういったことが、彼らの痕跡となっている」
前述のようにMotoGPは通算1000GPと、アゴスチーニの現役時代からは数えられないほどのレースを重ねてきた。彼は改めて、安全性の向上を好意的に捉えていると語った。
「進歩は止まらないし、前進している。多くのことが変わってきたが、特に安全性が変わっている」
「トラック、グラベルトラップ、レーススーツそしてフルフェイスヘルメットなどのおかげで、今では安全性が大きく向上している。そして、私の友人でもあるリノ・ダイネーゼの発明したエアバッグは、ライダーにとって、素晴らしい安全補助装置となっている」
ただその一方でアゴスチーニは、現在のMotoGPの進んだ電子制御に関しては苦言を呈している。
「バイクはかなり変わった。個人的にはテクノロジーが多すぎるのはあまり好みではない」
「今では電子制御を取り外してしまったら、ライダーは誰もバイクを乗りこなせないだろう。私は勝利の責任と勇気の全てがライダーのモノとなって欲しいと思っているため、少しそれら(電子制御)を立ち止まらせたいと考えたりもする」
「私が言いたいのは、勝つのはそのバイクを走らせるライダーであるということだ。今は多くの電子制御が搭載されていて、ライダーが行なうたくさんのことを補助している」
「それと同時に、今の(バイクの)パワーは、役に立っていないとも考えている」
「我々はショーとバトルを望んでいるが、電子制御はその目的にとって役立たない。今のバイクは巨大なパワーを備えているが……昔、マイク・ヘイルウッドやフィル・リード、私、そしてケニー・ロバーツやバレンティーノ・ロッシの頃は120~150馬力しかなかった。しかしショーがそこにはあった」
「より多くのパワーがあるからといって、もっとショーが良くなるということではないんだ。逆にパワーが大きければ、タイヤやブレーキ、シャシー、チェーンなどを限界まで追い込むことになり、危険も伴うんだ」
アゴスチーニは、こうした発展はファンにとっても求めているものではないのではないかと指摘している。
「今はテクノロジーに助けられて何もかもがギリギリになっている。そうした技術を100%機能させられなければ、最も才能あるライダーでさえ、何もできないんだ。だからそういったものを思い切って減らして、よりショーを増加させるのが良いんじゃないかと思っている」
「ファンにとっても、彼らのアイドル、つまり誰もできないようなことをするライダー達に会いに行って、そして勝つことができない彼らを見るというのは、少しガッカリすることだろう」
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みんなのコメント
同意します。
自らのテクニックのみでマシンをコントロールするライダー達を観るのが好きでした。
WGPの頃の方が断然、観ていて面白かったです。