11月6日、スーパーGT第8戦『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』が開催されている栃木県のモビリティリゾートもてぎで、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表がGTA定例記者会見に臨み、このなかでフルコースイエロー(FCY)の現状と、今後の改善点についてコメントした。
2021年からスーパーGTで導入されたFCYは、レース中のアクシデントなどによりコース上に車両がストップしていたときや、マーシャルの作業が必要になるなどの必要が応じた際、レースの進行や有利、不利がないように全車が80km/hにスピードを落とすシステム。日本では電波に関する問題もあり、さまざまなトライを繰り返しながら2021年から導入された。
予選を終えてさらに警戒し合うニッサンZのタイトル候補2台。12号車と3号車の決勝への手応え/第8戦もてぎGT500予選
そんなFCYについては、これまで多くの場合でうまく作動しているが、導入、解除のタイミングなどでアクシデントやトラブルもあった。そして前戦の第7戦オートポリスでは、SUPER GT Video Onlineに優勝したAstemo NSX-GTのオンボードが公開されているが、そのなかで16周目にマッハ車検 エアバスター MC86マッハ号のストップで導入されたFCYの際、Astemo NSX-GTと、その前を走っていたWedsSport ADVAN GR Supraが、FCY導入のカウントダウン時にラップダウンのアールキューズ AMG GT3を抜いているように見えるシーンがあった。
これについて、日本モータースポーツ記者会(JMS)からの質問として「レース毎で試行錯誤が繰り返され、細かなところが改善されているように見られるが、サーキットによっては、FCY導入・解除時の違反に対する各ポストからの報告や対応スピードに違いがあったり、違反の見落としなどもあるという話が聞こえてくる」という質問が投げかけられた。
この問いに対し坂東代表は「Youtubeの動画について指摘があったが、基本的に動画はレースが終わってから確認するもの」と語った。今回の質問に関する第7戦オートポリスの決勝については、レース後の抗議もなく正式結果が出ており、今から結果を覆すことはできない。またレース中のオンボード映像については、坂東代表が言うとおり、レース中やレース直後にチェックすることは現状不可能だ。だが、今後の安全面や公平性などレースのクオリティを高めるために、GTAとしても改めてFCY運用についての理解の浸透と、システム、ハード面での改善を続けている。
「FCYはあくまで黄旗連動で行うものだが、早く戻すために安全な状態を作り、レースに戻すためにフラッグが出る。ドライバーたちがポスト間で安全をキープし、順位変動がないようにするためにFCYを出しているので、速度を落としてくれれば良いが、みんなが競争をしているので、イエローフラッグが出ているところまでは全開でいき、そこから速度を落とす。それだと、片付けているところが危険にもなりかねない」
「あくまでFCYはポストのオフィシャルのフラッグ提示の補助としてある。オフィシャルの旗が優先で、コクピットのモニターはあくまで補助となる。だから旗を見なければならない。だろう運転をレーシングドライバーがいつまでもしていてはいけない」と坂東代表、
なおAstemo NSX-GTの車内にあるFCYカウントダウン表示のとおりならば、この2台についてはスポーティングレギュレーションに照らすとペナルティの対象になる。ただ坂東代表が言うように、FCY時の車内のモニター表示はあくまでも補助であり、コースサイドのポストでの表示で判断されるものだ。ただ、この時はすでにボードは提示されていたものの、ポストから追い抜きの報告が上がっていなかったという。
またFCYのマーシャリングシステムについては、GTAがシステムをサーキットに持ち込み運用しており、FCY中に追い越しがあった場合、コーションのアラームが出ることになっている。F1でも使用されているシステムだが、前戦オートポリスの時点では2クラス混走を想定したシステムではなかったため、同一クラス(今回の例ならばGT500同士)の追い抜きならばアラートが出るが、17号車、19号車の件は違うクラスであるGT300車両を抜いていたためアラートが出なかったのだという。
システムについては、今回の第8戦もてぎまでの間に改良が行われ、2クラス混走に対応。また追い抜きについてはオフィシャルのウォッチが大切になるが、GTAとしてその認知度向上を目指していくという。さらに、FCYボード提示からの10秒カウントダウンの間の追い抜きはペナルティ対象だが、「10秒間の追い抜きはできる」という誤認があったとして、第8戦もてぎのレースウイーク中に行われたドライバーブリーフィングでは改めて説明がされた。GTAとしては、再発防止に向けてブラッシュアップを目指していく。
「信号が出なかったり、オフィシャルのフラッグが出なかったりならば問題だが、認識の問題もある。またサーキット内の設備についてもそうだが、変えなければクオリティは変わらない。100パーセント完全な状態の実現は難しいのかもしれないが、あくまでオフィシャルのフラッグが大事だと認識して欲しい」と坂東代表は語った。
【FULL ONBOARD Astemo NSX-GT 2022 AUTOBACS SUPER GT Round7】
https://youtu.be/1LodO9E9_dw?t=1597
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