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フラッグシップSUVの頂上対決! BMW X7とメルセデス・ベンツ GLS を項目別に検証

掲載 更新 18
フラッグシップSUVの頂上対決! BMW X7とメルセデス・ベンツ GLS を項目別に検証

BMW X7 xDrive35d × Mercedes-Benz GLS 400 d 4MATIC

BMW X7 xDrive35d × メルセデス・ベンツ GLS 400 d 4マティック

フラッグシップSUVの頂上対決! BMW X7とメルセデス・ベンツ GLS を項目別に検証

ブランドの威信が込められたフラッグシップSUV

ミニバンブームの後にSUVブームが到来し、その後クーペSUVやクロスオーバーが登場し、果てはオープンSUVまで出てきた。SUVがブームから定番への昇格を果たて細分化し始めたということだ。SUVの中にミニバン、クーペ、クロカンといったカテゴリーができつつある。メルセデス・ベンツとBMWはSUVだけでフルラインナップを形成しつつあり、車名に「S」と「7」が含まれることからわかるように、今回の2車種は両ブランドのSUVの頂点に君臨する。つまり両車はSクラスと7シリーズの代理戦争をしているのだ。いくつかの項目に分けてそれぞれの印象を述べてみたい。

GLSの力強いパフォーマンスが印象的

いずれも3.0リッター直6ディーゼルターボエンジンを搭載し、GLSが9速、X7が8速のATを組み合わせる。エンジン形式が同じなので振動の少なさや特性も近い。静粛性は非常に高いレベルでいい勝負だが、GLSが徹底的に静かさを目指しているのに対し、X7は踏み込んだ際に澄んだ、ディーゼルらしからぬグッドサウンドを聴かせようとしているように思える。

あくまで今回走行したルートでの印象だが、GLSのほうがやや力強く思えた。GLSが最高出力330ps、最大トルク700Nm、X7が同265ps、同620Nmとデータ上はGLSのほうがパワフルだが、その分車両重量はGLSが2590kg、X7が2420kgと、GLSのほうが170kgも重い。もう少し高速域で試乗すればまた違った印象が得られるかもしれない。

共通して重いクルマを大パワーで無理やり動かしている感があり、ここまでの車内スペースが必要なく、ストップ&ゴーの多い市街地で痛痒なく走らせたいのであれば、GLEやX5を選んだほうがよいのではないかと感じた。

X7の高い路面追従性が快適なドライブを実現

快適性についてはX7に軍配を上げたい。原因はよくわからなかったものの、GLSは低速で舗装の継ぎ目などの不整部分で結構バタついた。対するX7は路面追従性がよく不整路面をうまくいなし、乗員を不快にさせない。

高速巡航における乗り心地は甲乙つけがたし。というよりも両社を凌ぐ乗り心地のSUVは存在しないのではないか。ロングドライブが多いことが想定されるプレミアムSUVにとって、高速巡航時の快適性は最重要項目だ。その点、両車は安くない金を出す価値がある。

両モデルともワインディングを楽しめる

この点も甲乙つけがたい。両車ともにロールの量、速さともに適切で自然。腰高感もない。ワインディングロードを走らせても楽しめる。いずれも全長5000mmを優に超え、全幅はGLSが1956mm、X7が2000mmに達するため、狭い路地などでの取り回しに絶望する。購入前に自分の行動範囲や用途を思い浮かべることが大事。

ともに不満のない室内空間と最先端のADASを装備

GLS、X7ともに室内の広さに不満はない。X7の2列目が独立したキャプテンシートだったので、その分だけ、よりラグジュアリーな雰囲気を感じられた。どちらもじゃんけんで負けて3列目に2人で長時間陣取ることになってもがっかりする必要はない。2列目に比べて閉塞感があるのは否めないが、膝を丸めて座らされるような緊急シートではなく、その辺のSUVの後席より快適に過ごせる。

どちらもドイツのプレミアムブランドだけあって、ADAS系は最先端にある。X7の3眼カメラを駆使した一定条件下のハンズオフドライブは慣れるまでは体験すること自体がエンターテインメント。混み合った高速道路でも頑なに加減速と操舵を自分でコントロールし、1分でも速く目的地へたどり着こうとせかせかしていたことが前時代的に思える。慣れてくるとハンズオフ機能がすごいのではなく、安定した先行車追従機能と車線認識機能こそが価値なのだとわかってくる。GLSにはハンズオフ機能は付かないが、先行車追従機能と車線認識機能については最高レベルのものが備わる。

両車とも走行中360度どの方向からの車両その他の接近をも(完璧ではないが)検知できるので、安心感がある。

年単位で馴染んでいく独特のデザイン

発表されたばかりのBMW 4シリーズクーペで話題を集めたように、最新世代のBMWのフロントグリルは巨大だ。X7もしかり。しかし別におかしいとは思わない。デザイナーの計算通りなのだろうが、すっかり見慣れた。レクサスをはじめ、グリルの大きなブランドは他にもあるが、なぜBMWだけ巨大化すると賛否両論が巻き起こるのだろうか。左右二分割だから? きっと1年もたてば4シリーズクーペの顔つきにも皆慣れているはずだ。

よく見てほしいのだが、むしろ初見でギョッとるのはGLSの未確認飛行物体フェイスだ。絞り込みの強いキャビンがもたらす台形シルエットとあいまって、ルームミラー越しにGLSを見るとなかなかエグい。決して否定しているわけではない。引っかかりのないデザインがよいわけではない。引っかかりのないデザインとは気に入る人がいないデザインだ。

GLS、X7ともにブランドの頂点に鎮座するモデルに対して、見た瞬間にすんなり受け入れられるようなデザインではなく、人々が年単位で理解、あるいは消化するようなデザインを採用しているのだろう。

REPORT/塩見 智(Satoshi SHIOMI)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)

【SPECIFICATIONS】

メルセデス・ベンツGLS 400 d 4マティック

ボディスペック:全長5220 全幅2030 全高1825mm
ホイールベース:3135mm
車両重量:2590kg
エンジンタイプ:直列6気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量:2924cc
最高出力:243kW(330ps)/3600-4200rpm
最大トルク:700Nm(71.4kgm)/1200-3200rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前275/50R20 後275/50R20
燃料消費率(WLTCモード):10.9km/L
車両本体価格:1263万円

BMW X7 xドライブ35d デザインピュアエクセレンス

ボディスペック:全長5165 全幅2000 全高1835mm
ホイールベース:3105mm
車両重量:2420kg
エンジンタイプ:直列6気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量:2992cc
最高出力:195kW(265ps)/4000rpm
最大トルク:620Nm(63.2kgm)/2000-2500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前285/45R21 後285/45R21
燃料消費率(WLTCモード):11.4km/L
車両本体価格:1229万円

【問い合わせ】
メルセデス・コール
TEL 0120-190-610

BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-269-437

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みんなのコメント

18件
  • 最近は、ベンツの方が内装は高級感感じる。
  • ダッヂ・デュランゴのプラットフォームを使用しているGLSと、ロールスロイス・カリナンのプラットフォームを使用しているX7
    数字だけでは語れない部分がありますね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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