現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 発売の約3カ月前から事前予約開始 レヴォーグはワゴン界のハリアーになれるのか

ここから本文です

発売の約3カ月前から事前予約開始 レヴォーグはワゴン界のハリアーになれるのか

掲載 更新 36
発売の約3カ月前から事前予約開始 レヴォーグはワゴン界のハリアーになれるのか

 昔は新型車の発表と発売開始はほぼセットになっていたが、今は新型車の発表と発売時期が大きくズレるケースが多くなっている。

 2020年上半期で最もクルマ界で注目されたクルマである新型ハリアーは、4月にプロトタイプ公開→5月に事前予約開始→6月に正式発表&発売開始となり、デビュー1か月後の時点で4万5000台を受注した。

新型スバルXV 4年目の大幅改良! デザイン刷新 走りも熟成!

 今回取り上げるスバルの最新ワゴンのレヴォーグは、11月下旬の発売開始の約3カ月前に事前予約の受け付けを開始。

 これは初期受注を多く稼ぎたい、というのが理由だと思われるが、新型レヴォーグは新型ハリアーのように大量オーダーを獲得できるのか?

 かなり長期間にわたり実車がない状態での商談になるレヴォーグの販売について、渡辺陽一郎氏が考察する。

文:渡辺陽一郎/写真:SUBARU、TOYOTA、奥隅圭之、池之平昌信

【画像ギャラリー】事前予約の段階で最も人気が高い最上級グレードのSTIスポーツ大研究!!

日本の新車販売におけるワゴン比率はわすか2~3%

スバル期待のワゴンである新型レヴォーグは2020年10月15日に正式発表となるが、すでに8月20日から事前予約の受け付けを開始している

 SUVが好調に売れて車種を増やすいっぽうで、大幅に減ったのがワゴン(正確にはステーションワゴン)だ。

 人気の高かったトヨタカルディナ&マークIIブリット、日産アベニール&ステージア、ホンダアコードツアラー、三菱レグナムなどは、すべて廃止された。

 現存する国産ワゴンは、レヴォーグ、カローラツーリング&フィールダー、マツダ6ワゴン、シャトル程度に限られる。

 しかもマツダ6ワゴン、シャトル、カローラフィールダーは、発売から5年以上を経過した。注目される人気のワゴンは、実質的にレヴォーグとカローラツーリングのみになる。 

 その結果、ワゴン市場の売れ行きは下がり、今では国内の新車販売台数に占めるワゴン比率は2~3%だ。

ワゴン受難の時代にあってカローラツーリングは販売面で大健闘。新しいワゴンはカローラツーリングと新型レヴォーグの2車種のみ

実車を見てから商談を開始すれば早期納車は無理

 そこで期待されるのが新型レヴォーグになる。2020年8月20日に先行予約が開始され、10月15日に正式な報道発表を行う。スバルの販売店によると、納車を伴う「発売」は11月27日になるという。

 このスケジュールは、ユーザーにとってわかりにくい。販売店では8月20日には価格を明らかにして受注を開始したが、メーカーなどのホームページには、9月上旬時点でも価格が掲載されていない。そして販売店では、展示車もない状態で商談と契約をしている。

新型レヴォーグは東京モーターショー2019でほぼ市販モデルに近いプロトタイプを初公開したこともあり、市販モデルは大きくイメージは変わらない

 ワゴンはミニバンやSUVに比べて天井が低く、重心も下がるから走行安定性と乗り心地を向上させやすい。ワゴンにとって走りは大切な機能だから、試乗を行い、納得してから購入したい顧客も多い。

 従来型レヴォーグのユーザーは、なおさらだろう。ボディサイズなどは同等だから、新型の気になる違いは、走行性能、乗り心地、運転支援機能などだ。そこは実際に運転しないとわからない。

 スバルの販売店では、「試乗車が入る日程は不明ですが、11月27日の発売以降です。先行予約は8月20日に開始したので、試乗した後で契約すると、納期は2021年の春頃になる可能性が高いです」という。

 要は実車を見ずに契約するリスクを負うか、これを避けて納期遅れを我慢するか、という選択になる。

マスコミ向けにプロトタイプの試乗会が開催され、そのハンドリングを絶賛する人多数。従来型のレヴォーグから大きく進化している

事前予約の初期段階ではレヴォーグオーナーが中心

 レヴォーグのような予約受注の前倒しは、今ではどこのメーカーも実施している。生産開始前に大量の注文を集めておけば、売れ筋のグレードやオプション装備が早期にわかり、下請メーカーへの発注も含めて生産計画を立てやすいからだ。

 生産開始後は、納車を迅速に開始できる。要はメーカーの都合により、クルマのない状態で商談が進められている。

新型レヴォーグは、従来型のレヴォーグのイメージを踏襲しながらも細部が変更されて質感大幅アップ。真横からのアングルが美しい

 この点を販売店に尋ねると、「セールスマンは予め(プロトタイプに)試乗しており、ある程度はお客様の質問に応じられます。今ではこの(予約受注を前倒しする)売り方にも慣れましたが、実車がないと戸惑う場面はあります」とコメントした。

 新型レヴォーグに対するユーザーの反応はどうか。販売店では以下のように返答した。

「新型レヴォーグの予約状況を見ると、現時点では従来型のお客様が中心です。最終型レガシィツーリングワゴンのお客様もおられます。実車を確認できないので、今までスバル車に乗ってきて、信頼を置いているお客様が多いです。従って現時点で注文が急増した印象はありません」

従来型のレヴォーグはワゴンとして販売面で成功していることもあり、新型への代替えはかなり期待できる

新型レヴォーグのグレード構成と最新の人気状況

 売れ筋のグレードも尋ねると、受注開始直後なので、上級グレードが人気だという。

「特に目立つのが、最上級のSTIスポーツ(価格は370万7000円)と、アイサイトXや11.6インチセンターインフォメーションディスプレイなどを加えたSTIスポーツ・EX(409万2000円)です。これに次ぐのが中級グレードのGT-H(332万2000円)と、アイサイトXなどを備えるGT-H・EX(370万7000円)になります」

初期受注の初期段階では、最上級グレードのSTIスポーツの人気が高いようだ。最も高いSTIスポーツEXは409万2000円

 そしてさらに以下のように続けた。

「従来型から新型に乗り替えるお客様の多くは、1.6Lターボに乗っています。2Lターボのお客様は、動力性能の低下を心配して、様子を見ている印象です。発売後に試乗して、乗り替えるかどうかを判断されるのでしょう」

 ちなみにレヴォーグのグレード構成は、以下のようになっている。

従来型のレヴォーグは1.6Lターボと2Lターボをラインナップしていたが、新型レヴォーグは1.8Lターボのみの設定となっている

■新型レヴォーグの価格(販売店調べ)
GT:310万2000円
GT・EX:348万7000円
GT-H:332万2000円
GT-H・EX:370万7000円
STIスポーツ:370万7000円
STIスポーツ・EX:409万2000円
※エンジンはすべて1.8Lターボで、駆動方式は全車がAWD(4WD)になる
※トランスミッションは全車がリニアトロニック(CVT)を備える

 グレードはベーシックなGT、運転席の電動調節機能+ハンズフリーパワーリアゲート+18インチタイヤなどを加えた中級のGT-H、ショックアブソーバーの可変機能などを備えるドライブモードセレクトや本革シートを装着したSTIに大別される。

STIスポーツのインテリアは本革シートでほかのグレードと差別化して質感アップ。価格は高くなるが、魅力が増すのは間違いない

 そして末尾にEXが付くグレードには、渋滞時のハンズオフアシストなどを可能にしたアイサイトXに加えて、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ+ドライバーモニタリングシステム+コネクティッドサービスなどのセットオプションも標準装着される。

 EXの価格上昇は38万5000円だが、27万5000円セットオプションも含まれるから、アイサイトXの正味価格は11万円だ。

 以上の点を考えると、アイサイトXを含めたEXは割安だ。機能と価格のバランスが最も優れているのはGT・EX(348万7000円)で、必要に応じて受注台数の多いGT-H・EX(370万7000円)、STIスポーツ・EX(409万2000円)も検討したい。

アイサイトXは待望のハンズオフアシストも装備されている。あと、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイにも注目だ

レヴォーグのライバルは何になる?

 最近登場した人気の新型車としては、レヴォーグの価格帯はハリアーともバッティングするグレードがある。

 レヴォーグGT・EXの価格は、ハリアー2WD・G(341万円)に近く、レヴォーグSTIスポーツ・EXは、ハリアーハイブリッド2WD・G(400万円)に相当する。

価格的に新型ハリアーはレヴォーグとバッティングするグレードもある。さてレヴォーグはこの魅力に打ち勝つことができるか!?

 レヴォーグの属する340万~400万円前後の価格帯には、ハリアーに加えて、アルファード&ヴェルファイア、CX-8なども含まれ、堅調に売れる国産車の上限価格帯を構成している。

 輸入車については、メルセデスベンツCクラスワゴン、BMW3シリーズツーリング、アウディA4アバントなどの売れ筋グレードは、いずれも500万円を超えてしまう。

 フォルクスワーゲンゴルフヴァリアントの売れ筋価格帯はレヴォーグと同程度だが、エンジンは1.2Lターボと1.4Lターボだから、動力性能はレヴォーグが勝る。

ドイツの人気ワゴンはクラスを同じにすれば価格が大幅アップし、価格見ると性能面で劣るということで、レヴォーグのアドバンテージは大きい

 運転支援機能のアイサイトXも同様だ。しかもゴルフはフルモデルチェンジを控えているから、今では購入可能なグレードが限られてしまう。

 このように見てくると、最高出力が170馬力、最大トルクも30kgmを超える走りに余裕のあるミドルサイズワゴンを探した時、最も買い得な車種がレヴォーグだ。

新型レヴォーグは着実に売れるはず

 国内で展開されるスバルの店舗数は約460箇所だから、ハリアーを扱うトヨタ全店の約4600箇所に比べると、約10%に留まる。

 従ってレヴォーグがハリアーの2020年7月のように、1カ月で1万台近くを登録することは不可能だが、ユーザーの共感を得ながら着実に売れていくだろう。

 それだけに実車のない状態で商談を進める売り方は、レヴォーグには似合わない。

 走りを中心に優れた商品だから、そのよさを満喫して、納得したうえで気持ちよく買いたい。

 購入する時からスバルのクルマ造りに共感して、おおいに楽しめるのもスバル車の大切な魅力だと思う。

新型レヴォーグは従来型同様に走りの気持ちよさ、質感の高さが売りだから、実車を見て買いたい。しかし実車を見て商談開始だと納期が長期化。これは痛しかゆし

【画像ギャラリー】事前予約の段階で最も人気が高い最上級グレードのSTIスポーツ大研究!!

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ヒョンデに続いて韓国のKIAも日本に上陸! どんなクルマが揃っているのかチェックしたらデザインも中身も結構ヤバい!!
ヒョンデに続いて韓国のKIAも日本に上陸! どんなクルマが揃っているのかチェックしたらデザインも中身も結構ヤバい!!
WEB CARTOP
なぜ12気筒エンジンは魂を揺さぶるのか? アストンマーティン新型「ヴァンキッシュ」は快感以外のなにものでもない。【試乗レビュー】
なぜ12気筒エンジンは魂を揺さぶるのか? アストンマーティン新型「ヴァンキッシュ」は快感以外のなにものでもない。【試乗レビュー】
くるくら
ミツオカ、創業55周年記念車『M55』の市販モデルを正式発表。ローンチ仕様を100台限定で発売へ
ミツオカ、創業55周年記念車『M55』の市販モデルを正式発表。ローンチ仕様を100台限定で発売へ
AUTOSPORT web
初代NSXに存在した「やりすぎ」モデル! たった14台しか売れなかった「タイプS Zero」のストイックさに脱帽
初代NSXに存在した「やりすぎ」モデル! たった14台しか売れなかった「タイプS Zero」のストイックさに脱帽
WEB CARTOP
一体何が!? シーズン終盤のF1レースディレクター交代劇にドライバーたちも驚き「ちょっと奇妙だよね……」
一体何が!? シーズン終盤のF1レースディレクター交代劇にドライバーたちも驚き「ちょっと奇妙だよね……」
motorsport.com 日本版
VW、新型SUV「ティグアン」を発売 価格は487万1000~653万2000円
VW、新型SUV「ティグアン」を発売 価格は487万1000~653万2000円
日刊自動車新聞
“300馬力”V6搭載! ニッサン爆速「最上級ミニバン」とは? 超豪華内装×専用装備マシマシな“走り屋仕様”の「エルグランド」に熱視線!
“300馬力”V6搭載! ニッサン爆速「最上級ミニバン」とは? 超豪華内装×専用装備マシマシな“走り屋仕様”の「エルグランド」に熱視線!
くるまのニュース
家族のおでかけマンネリ解消へ、日産が新プロジェクト 全国の「奥名所」を発掘
家族のおでかけマンネリ解消へ、日産が新プロジェクト 全国の「奥名所」を発掘
レスポンス
メルセデスAMGから「CLE53カブリオレ」発売!専用のパワフルなルックスと先進・洗練のインテリア
メルセデスAMGから「CLE53カブリオレ」発売!専用のパワフルなルックスと先進・洗練のインテリア
LE VOLANT CARSMEET WEB
平凡な男が突如、何百万人もの夢の中に現れる!?『ドリーム・シナリオ』
平凡な男が突如、何百万人もの夢の中に現れる!?『ドリーム・シナリオ』
バイクのニュース
「悪くはないが、良くもない」勝田貴元、シェイクダウンは入念に走行。改善のカギと戦略は/ラリージャパン
「悪くはないが、良くもない」勝田貴元、シェイクダウンは入念に走行。改善のカギと戦略は/ラリージャパン
AUTOSPORT web
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
THE EV TIMES
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
レスポンス
ロゴスと「ファイナルファンタジーXIV」コラボのアウトドアグッズの予約受付がスタート!
ロゴスと「ファイナルファンタジーXIV」コラボのアウトドアグッズの予約受付がスタート!
バイクブロス
インディカー初体験の角田裕毅、インディ500への挑戦に現状関心ナシも「もう少し歳をとって考えが変われば……」
インディカー初体験の角田裕毅、インディ500への挑戦に現状関心ナシも「もう少し歳をとって考えが変われば……」
motorsport.com 日本版
ベントレーCEOの旧私邸を改装。ベントレー本社近隣の特別な顧客体験スペース「The Mews」を発表
ベントレーCEOの旧私邸を改装。ベントレー本社近隣の特別な顧客体験スペース「The Mews」を発表
LE VOLANT CARSMEET WEB
スズキ「最上級SUV」新発表! トヨタ「ヤリスクロス」サイズの“豪華仕様”! 精悍顔もカッコイイ「グランドビターラ ドミニオンE」印国に登場
スズキ「最上級SUV」新発表! トヨタ「ヤリスクロス」サイズの“豪華仕様”! 精悍顔もカッコイイ「グランドビターラ ドミニオンE」印国に登場
くるまのニュース
アドベンチャースタイルの“軽二輪スクーター”ホンダ「ADV160」に2025年モデル登場! ふたつの新色をプラスした「全3色のカラバリがスポーティ」
アドベンチャースタイルの“軽二輪スクーター”ホンダ「ADV160」に2025年モデル登場! ふたつの新色をプラスした「全3色のカラバリがスポーティ」
VAGUE

みんなのコメント

36件
  • とりあえず、試乗して乗り味を確認したい。
    話はそこから、スタイルも大事だが乗ってる時は外見なんて見えないし。
  • レヴォーグは、どこまで行ってもレヴォーグでしょ?

    もともと「レガシー」のボディ拡大批判の中で国内(5ナンバー枠)向けにスバルの走破性能をウリにしたのだから「ハリアー」のラグジュアリーSUVとはコンセプトが違うと思うのだが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

310.2576.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

59.8638.0万円

中古車を検索
レヴォーグの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

310.2576.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

59.8638.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村