昔は新型車の発表と発売開始はほぼセットになっていたが、今は新型車の発表と発売時期が大きくズレるケースが多くなっている。
2020年上半期で最もクルマ界で注目されたクルマである新型ハリアーは、4月にプロトタイプ公開→5月に事前予約開始→6月に正式発表&発売開始となり、デビュー1か月後の時点で4万5000台を受注した。
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今回取り上げるスバルの最新ワゴンのレヴォーグは、11月下旬の発売開始の約3カ月前に事前予約の受け付けを開始。
これは初期受注を多く稼ぎたい、というのが理由だと思われるが、新型レヴォーグは新型ハリアーのように大量オーダーを獲得できるのか?
かなり長期間にわたり実車がない状態での商談になるレヴォーグの販売について、渡辺陽一郎氏が考察する。
文:渡辺陽一郎/写真:SUBARU、TOYOTA、奥隅圭之、池之平昌信
【画像ギャラリー】事前予約の段階で最も人気が高い最上級グレードのSTIスポーツ大研究!!
日本の新車販売におけるワゴン比率はわすか2~3%
スバル期待のワゴンである新型レヴォーグは2020年10月15日に正式発表となるが、すでに8月20日から事前予約の受け付けを開始している
SUVが好調に売れて車種を増やすいっぽうで、大幅に減ったのがワゴン(正確にはステーションワゴン)だ。
人気の高かったトヨタカルディナ&マークIIブリット、日産アベニール&ステージア、ホンダアコードツアラー、三菱レグナムなどは、すべて廃止された。
現存する国産ワゴンは、レヴォーグ、カローラツーリング&フィールダー、マツダ6ワゴン、シャトル程度に限られる。
しかもマツダ6ワゴン、シャトル、カローラフィールダーは、発売から5年以上を経過した。注目される人気のワゴンは、実質的にレヴォーグとカローラツーリングのみになる。
その結果、ワゴン市場の売れ行きは下がり、今では国内の新車販売台数に占めるワゴン比率は2~3%だ。
ワゴン受難の時代にあってカローラツーリングは販売面で大健闘。新しいワゴンはカローラツーリングと新型レヴォーグの2車種のみ
実車を見てから商談を開始すれば早期納車は無理
そこで期待されるのが新型レヴォーグになる。2020年8月20日に先行予約が開始され、10月15日に正式な報道発表を行う。スバルの販売店によると、納車を伴う「発売」は11月27日になるという。
このスケジュールは、ユーザーにとってわかりにくい。販売店では8月20日には価格を明らかにして受注を開始したが、メーカーなどのホームページには、9月上旬時点でも価格が掲載されていない。そして販売店では、展示車もない状態で商談と契約をしている。
新型レヴォーグは東京モーターショー2019でほぼ市販モデルに近いプロトタイプを初公開したこともあり、市販モデルは大きくイメージは変わらない
ワゴンはミニバンやSUVに比べて天井が低く、重心も下がるから走行安定性と乗り心地を向上させやすい。ワゴンにとって走りは大切な機能だから、試乗を行い、納得してから購入したい顧客も多い。
従来型レヴォーグのユーザーは、なおさらだろう。ボディサイズなどは同等だから、新型の気になる違いは、走行性能、乗り心地、運転支援機能などだ。そこは実際に運転しないとわからない。
スバルの販売店では、「試乗車が入る日程は不明ですが、11月27日の発売以降です。先行予約は8月20日に開始したので、試乗した後で契約すると、納期は2021年の春頃になる可能性が高いです」という。
要は実車を見ずに契約するリスクを負うか、これを避けて納期遅れを我慢するか、という選択になる。
マスコミ向けにプロトタイプの試乗会が開催され、そのハンドリングを絶賛する人多数。従来型のレヴォーグから大きく進化している
事前予約の初期段階ではレヴォーグオーナーが中心
レヴォーグのような予約受注の前倒しは、今ではどこのメーカーも実施している。生産開始前に大量の注文を集めておけば、売れ筋のグレードやオプション装備が早期にわかり、下請メーカーへの発注も含めて生産計画を立てやすいからだ。
生産開始後は、納車を迅速に開始できる。要はメーカーの都合により、クルマのない状態で商談が進められている。
新型レヴォーグは、従来型のレヴォーグのイメージを踏襲しながらも細部が変更されて質感大幅アップ。真横からのアングルが美しい
この点を販売店に尋ねると、「セールスマンは予め(プロトタイプに)試乗しており、ある程度はお客様の質問に応じられます。今ではこの(予約受注を前倒しする)売り方にも慣れましたが、実車がないと戸惑う場面はあります」とコメントした。
新型レヴォーグに対するユーザーの反応はどうか。販売店では以下のように返答した。
「新型レヴォーグの予約状況を見ると、現時点では従来型のお客様が中心です。最終型レガシィツーリングワゴンのお客様もおられます。実車を確認できないので、今までスバル車に乗ってきて、信頼を置いているお客様が多いです。従って現時点で注文が急増した印象はありません」
従来型のレヴォーグはワゴンとして販売面で成功していることもあり、新型への代替えはかなり期待できる
新型レヴォーグのグレード構成と最新の人気状況
売れ筋のグレードも尋ねると、受注開始直後なので、上級グレードが人気だという。
「特に目立つのが、最上級のSTIスポーツ(価格は370万7000円)と、アイサイトXや11.6インチセンターインフォメーションディスプレイなどを加えたSTIスポーツ・EX(409万2000円)です。これに次ぐのが中級グレードのGT-H(332万2000円)と、アイサイトXなどを備えるGT-H・EX(370万7000円)になります」
初期受注の初期段階では、最上級グレードのSTIスポーツの人気が高いようだ。最も高いSTIスポーツEXは409万2000円
そしてさらに以下のように続けた。
「従来型から新型に乗り替えるお客様の多くは、1.6Lターボに乗っています。2Lターボのお客様は、動力性能の低下を心配して、様子を見ている印象です。発売後に試乗して、乗り替えるかどうかを判断されるのでしょう」
ちなみにレヴォーグのグレード構成は、以下のようになっている。
従来型のレヴォーグは1.6Lターボと2Lターボをラインナップしていたが、新型レヴォーグは1.8Lターボのみの設定となっている
■新型レヴォーグの価格(販売店調べ)
GT:310万2000円
GT・EX:348万7000円
GT-H:332万2000円
GT-H・EX:370万7000円
STIスポーツ:370万7000円
STIスポーツ・EX:409万2000円
※エンジンはすべて1.8Lターボで、駆動方式は全車がAWD(4WD)になる
※トランスミッションは全車がリニアトロニック(CVT)を備える
グレードはベーシックなGT、運転席の電動調節機能+ハンズフリーパワーリアゲート+18インチタイヤなどを加えた中級のGT-H、ショックアブソーバーの可変機能などを備えるドライブモードセレクトや本革シートを装着したSTIに大別される。
STIスポーツのインテリアは本革シートでほかのグレードと差別化して質感アップ。価格は高くなるが、魅力が増すのは間違いない
そして末尾にEXが付くグレードには、渋滞時のハンズオフアシストなどを可能にしたアイサイトXに加えて、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ+ドライバーモニタリングシステム+コネクティッドサービスなどのセットオプションも標準装着される。
EXの価格上昇は38万5000円だが、27万5000円セットオプションも含まれるから、アイサイトXの正味価格は11万円だ。
以上の点を考えると、アイサイトXを含めたEXは割安だ。機能と価格のバランスが最も優れているのはGT・EX(348万7000円)で、必要に応じて受注台数の多いGT-H・EX(370万7000円)、STIスポーツ・EX(409万2000円)も検討したい。
アイサイトXは待望のハンズオフアシストも装備されている。あと、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイにも注目だ
レヴォーグのライバルは何になる?
最近登場した人気の新型車としては、レヴォーグの価格帯はハリアーともバッティングするグレードがある。
レヴォーグGT・EXの価格は、ハリアー2WD・G(341万円)に近く、レヴォーグSTIスポーツ・EXは、ハリアーハイブリッド2WD・G(400万円)に相当する。
価格的に新型ハリアーはレヴォーグとバッティングするグレードもある。さてレヴォーグはこの魅力に打ち勝つことができるか!?
レヴォーグの属する340万~400万円前後の価格帯には、ハリアーに加えて、アルファード&ヴェルファイア、CX-8なども含まれ、堅調に売れる国産車の上限価格帯を構成している。
輸入車については、メルセデスベンツCクラスワゴン、BMW3シリーズツーリング、アウディA4アバントなどの売れ筋グレードは、いずれも500万円を超えてしまう。
フォルクスワーゲンゴルフヴァリアントの売れ筋価格帯はレヴォーグと同程度だが、エンジンは1.2Lターボと1.4Lターボだから、動力性能はレヴォーグが勝る。
ドイツの人気ワゴンはクラスを同じにすれば価格が大幅アップし、価格見ると性能面で劣るということで、レヴォーグのアドバンテージは大きい
運転支援機能のアイサイトXも同様だ。しかもゴルフはフルモデルチェンジを控えているから、今では購入可能なグレードが限られてしまう。
このように見てくると、最高出力が170馬力、最大トルクも30kgmを超える走りに余裕のあるミドルサイズワゴンを探した時、最も買い得な車種がレヴォーグだ。
新型レヴォーグは着実に売れるはず
国内で展開されるスバルの店舗数は約460箇所だから、ハリアーを扱うトヨタ全店の約4600箇所に比べると、約10%に留まる。
従ってレヴォーグがハリアーの2020年7月のように、1カ月で1万台近くを登録することは不可能だが、ユーザーの共感を得ながら着実に売れていくだろう。
それだけに実車のない状態で商談を進める売り方は、レヴォーグには似合わない。
走りを中心に優れた商品だから、そのよさを満喫して、納得したうえで気持ちよく買いたい。
購入する時からスバルのクルマ造りに共感して、おおいに楽しめるのもスバル車の大切な魅力だと思う。
新型レヴォーグは従来型同様に走りの気持ちよさ、質感の高さが売りだから、実車を見て買いたい。しかし実車を見て商談開始だと納期が長期化。これは痛しかゆし
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みんなのコメント
話はそこから、スタイルも大事だが乗ってる時は外見なんて見えないし。
もともと「レガシー」のボディ拡大批判の中で国内(5ナンバー枠)向けにスバルの走破性能をウリにしたのだから「ハリアー」のラグジュアリーSUVとはコンセプトが違うと思うのだが。