現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 実用性と速さを兼ね備えた新生ラージワゴン! 日産初代「ステージア」を振り返る

ここから本文です

実用性と速さを兼ね備えた新生ラージワゴン! 日産初代「ステージア」を振り返る

掲載 7
実用性と速さを兼ね備えた新生ラージワゴン! 日産初代「ステージア」を振り返る

■国産プレステージワゴンの先駆けだった「ステージア」を振り返る

 現在、新車で購入できる国産ステーションワゴン(以下、ワゴン)は、選択肢は極めて少なくなっています。少数精鋭といえば聞こえはいいですが、すべてのジャンルのなかでも存在感が薄くなった印象は拭えません。

ドキッ…惚れるほどキレイ!? 美しすぎるステーションワゴン5選

 しかし、そんなワゴンが現在のSUVのように多くの人から選ばれていた時代がありました。今から30年ほど前、ワゴンが国産新車市場を賑わせていたのです。

 そんな時代に登場した1台が、次世代国産ラージサイズワゴンの先駆けだった日産初代「ステージア」です。そこで、一時代を築いたステージアを振り返ります。

※ ※ ※

 空前絶後のワゴンブームが起こるきっかけとなったのは、いわずもがな1989年に発売されたスバル初代「レガシィ ツーリングワゴン」です。レガシィ ツーリングワゴンが、それまで商用車の延長と揶揄されていたワゴンを人気ジャンルへと押し上げたこと、倒産の危機に瀕していたスバルの経営をV字回復させたことは、今も語り草となっています。

 レガシィ ツーリングワゴンの成功。さらに平成初期にキャンプやスキー、アウトドアスポーツが流行していたことも相まって、自動車メーカー各社はワゴンの開発に注力し、市場には雨後のタケノコのごとくワゴンが登場しました。“老いも若きも”、“猫も杓子も” ワゴンといった風潮や販売面での勢いは、現在のSUVと比べても遜色ないものだったといえるでしょう。

 そんなか、日産から初代ステージアが登場したのは、ワゴンブーム真っ只中の1996年でした。同年10月に発売された初代ステージアは、レガシィ ツーリングワゴンを追従した他車とは趣が異なっていたことが注目されました。

 カタログの冒頭で、「あなたとあなた自身の生活をステージアップするプレステージツーリングワゴンです」と謳っていることからもわかるように、上級路線を強調することでそれまでのワゴンとは一線を画していました。

 ボディの大きさや、上質感にあふれた内外装といった特徴が与えられたのは、ステージアが登場する以前にラインナップされていた「Y30型 セドリックワゴン&グロリアワゴン」や「R31型 スカイラインワゴン」の実質的な後継車だったからということは想像に難くありません。

 またステージアは、それまでの日産製ワゴンとも違いました。先述したY30型 セドリックワゴン&グロリアワゴンやR31型 スカイラインワゴンがセダンの派生車で、なおかつ商用バン的な趣だったのに対し、ステージアはステーションワゴンとして専用に設計されていたのです。

 ただし、すべて新規開発とまではいかず、主要なコンポーネンツは「R33型 スカイライン」や「C34型 ローレル」と共用していました。

 ボディサイズは全長4800mm×全幅1755mm×全高1490mm(2WD車)で、ホイールベースが2720mmです。3ナンバーサイズボディ、直線基調のフォルムや長めに設定されたリアのオーバーハングによって、堂々とした佇まいが演出されています。

 車内はボディサイズを生かしてゆったりとくつろげるスペースが確保され、ワゴンの要である荷室も広く、実用的でした。上質で快適な室内、多彩な用途に対応する使い勝手のよさは、ワゴンを求めるユーザーにとって買いの根拠になったわけです。

 初代ステージアがラージワゴンクラスで確たる地位を築いたもうひとつの要因として、走りのよさが挙げられます。搭載されるエンジンは3種類用意されており、いずれも直列6気筒となります。

 エントリーグレードに搭載されたのが排気量2リッターのRB20E型で、最高出力130馬力、最大トルクは17.5kg-mを発生。

 主力となる2.5リッターエンジンは自然吸気の「RB25DE型」が最高出力190馬力/最大トルク23.5kg-mと、よりパワフルな特性を持ち味とする2.5リッターターボの「RB25DET型」は最高出力235馬力/最大トルク28.0kg-mを誇りました。

 トランスミッションは4速ATを基本に、一部グレードには5速MTが設定され、駆動方式は後輪駆動で、2.5リッターエンジン車には「アテーサE-TS」と呼ばれる、電子制御トルクスプリット型の4WDシステムが採用されました。

 足まわりは2WDのフロントがストラット、リアはマルチリンクで、4WDが前後マルチリンクを採用。ツーリングワゴンにふさわしいチューニングが施されており、ボディ剛性の高さも相まってダイレクトな操舵感を実現し、気持ちのいい走りが味わえました。もちろん、人を乗せる機会が多いクルマらしく快適でフラットな乗り味も大きなセールスポイントでした。

 そして、1997年10月に発売された「オーテックバージョン 260RS」は、日産の関連会社で特殊車メーカーであるオーテックジャパンが手掛けたスペシャルモデルです。

 R33型 スカイラインGT-Rに採用されたメカニズムがそのまま移植されたことが大きな話題となりました。

 とくに、スカイラインGT-R以外で「RB26DETT型」エンジンを搭載したのは後にも先にもこの260RSだけ。最高出力280馬力、最大トルク37.5kg-mという高出力を武器に、「GT-Rワゴン」という異名のとおり本格スポーツカーに匹敵するパフォーマンスを見せつけました。

 その後、2001年に初代ステージアは生産を終了。初代のコンセプトを継承した2代目へとフルモデルチェンジを果たしました。

※ ※ ※

 初代ステージアはワゴンブームに迎合することなく上級路線を貫くことで、プレステージワゴンという独自の価値を提供しました。

 そのうえ、単なる実用車ではなく走行性能でも他車と一線を画したことも人気を支えた要因だったといえるでしょう。

 しかし、ミニバンやSUVと実用系の車種を求めるユーザーの選択肢が拡大したことで、ワゴンブームは長くは続きませんでした。

 ステージアは2世代で歴史に幕を下ろしましたが、それでも日本初の本格的なラージサイズワゴンとして高い評価を得て、初代ステージアは今もなお多くのファンから支持されています。

こんな記事も読まれています

レッドブル&HRC密着:首位浮上でタイヤ選択の異なるノリスに対し有利な立場に。最速マシンでなくとも勝利を掴んだ王者
レッドブル&HRC密着:首位浮上でタイヤ選択の異なるノリスに対し有利な立場に。最速マシンでなくとも勝利を掴んだ王者
AUTOSPORT web
スズキ「“スゴイ”後席」の軽ワゴン実車公開へ! 大人気「N-BOX」を超えた!? 軽スーパーハイト「スペーシア」アウトドアイベントで登場
スズキ「“スゴイ”後席」の軽ワゴン実車公開へ! 大人気「N-BOX」を超えた!? 軽スーパーハイト「スペーシア」アウトドアイベントで登場
くるまのニュース
50年前クルマの主役はトラックだった! 昭和30~40年代 日本の経済成長を支えたトラックたち
50年前クルマの主役はトラックだった! 昭和30~40年代 日本の経済成長を支えたトラックたち
ベストカーWeb
なんとフォード「シエラRS500コスワース」が約3780万円で落札! 高額の理由はノンレストア、低走行、温度管理されたガレージ保管だったから
なんとフォード「シエラRS500コスワース」が約3780万円で落札! 高額の理由はノンレストア、低走行、温度管理されたガレージ保管だったから
Auto Messe Web
ケータハム初期の「スーパーセブン」を再現 ケータハム スーパー セブン 600 & 2000登場!
ケータハム初期の「スーパーセブン」を再現 ケータハム スーパー セブン 600 & 2000登場!
AutoBild Japan
【充電体験でEVのストレス軽減へ】 レクサス充電ステーションの予約を一般へも開放
【充電体験でEVのストレス軽減へ】 レクサス充電ステーションの予約を一般へも開放
AUTOCAR JAPAN
スズキ、東京アウトドアショー 2024に新型車出品へ…親子でアウトドアや料理を
スズキ、東京アウトドアショー 2024に新型車出品へ…親子でアウトドアや料理を
レスポンス
アルピーヌ・ジャポンが初の電動モデル「A290」の日本導入を検討へ!
アルピーヌ・ジャポンが初の電動モデル「A290」の日本導入を検討へ!
月刊自家用車WEB
価格以上の高性能が満喫できる、抜群のコスパに脱帽! BYD・SEAL 試乗インプレッション
価格以上の高性能が満喫できる、抜群のコスパに脱帽! BYD・SEAL 試乗インプレッション
月刊自家用車WEB
【MotoGP】ヨハン・ザルコのプロ精神、LCRチェッキネロ代表が称賛。ストイックさは”アーティスト”レベル
【MotoGP】ヨハン・ザルコのプロ精神、LCRチェッキネロ代表が称賛。ストイックさは”アーティスト”レベル
motorsport.com 日本版
キャンプギア収納問題をトランクルームで解決!「CAMP HACK」×「ストレージ王」のコラボ動画が公開(動画あり)
キャンプギア収納問題をトランクルームで解決!「CAMP HACK」×「ストレージ王」のコラボ動画が公開(動画あり)
バイクブロス
“200万円台”から! ホンダ最新型「ヴェゼル」月々いくらで買える? 大人気SUVの「最も安い&高いモデル」とは
“200万円台”から! ホンダ最新型「ヴェゼル」月々いくらで買える? 大人気SUVの「最も安い&高いモデル」とは
くるまのニュース
SHOEIヘルメットにB+COMを美しく装着できるNEWアイテム! サインハウスが「B+COM SHOEIアタッチメント3」を発売
SHOEIヘルメットにB+COMを美しく装着できるNEWアイテム! サインハウスが「B+COM SHOEIアタッチメント3」を発売
バイクのニュース
フェラーリが僅差でトヨタを破り2連覇! 今年のル・マン、24時間走ってもなぜ大接戦に?
フェラーリが僅差でトヨタを破り2連覇! 今年のル・マン、24時間走ってもなぜ大接戦に?
くるくら
VWの小型セダン『ジェッタ』に改良新型、6月25日に米国デビューへ
VWの小型セダン『ジェッタ』に改良新型、6月25日に米国デビューへ
レスポンス
ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
【日本限定30台】メルセデス・マイバッハ特別限定モデル「S 580ナイトエディション」登場! 価格は4400万円。メルセデス ミーで展示中です
【日本限定30台】メルセデス・マイバッハ特別限定モデル「S 580ナイトエディション」登場! 価格は4400万円。メルセデス ミーで展示中です
Auto Messe Web
アルファロメオ ジュニアのハイパフォーマンス バージョン「ヴェローチェ」は最高出力280ps!
アルファロメオ ジュニアのハイパフォーマンス バージョン「ヴェローチェ」は最高出力280ps!
Webモーターマガジン

みんなのコメント

7件
  • 走りのステーションワゴンでたら売れると思う!

    同じデザインばかりのSUVは見飽きた。

  • 今、たまに見ても『オッ、いいね』って思うもんね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

281.4360.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.8850.0万円

中古車を検索
ステージアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

281.4360.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.8850.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村