最高出力646psの最強モデル
text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
【画像】アウディeトロンGT【スポーツバックやタイカンと写真で比較】 全161枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
アウディは、新型RS eトロンGTの詳細を公開した。同社史上もっともパワフルな電動スーパーサルーンとなる。正式デビューは来年初頭の予定だ。
eトロンGTの最上位モデルであり、2基のモーターから最大646psを発生させる予定だ。これは、5.2L V10のR8より約26ps多い。
ただし、この数値は、ローンチコントロールを使用した発進時など、特定の場合にのみ発揮される。通常の走行条件では、238psのフロントモーターと455psのリアモーターを組み合わせ、システム全体で598ps、84.6kg-mのトルクを発揮する。
0-100km/hのタイムは公開されていないが、RS eトロンGTの技術責任者であるデニス・シュミッツは、「3.5秒よりもかなり速い」と述べている。
最高速度は250km/hに制限される。プラットフォームは、ポルシェ・タイカンと共有。
タイカンと同様に、前後アクスル間に配置された83.7kWh(正味容量)のリチウムイオンバッテリーを使用している。
シュミッツによると、アウディはWLTPサイクルで航続距離400kmを見込んでいるという。350kWの急速充電器に接続すると、わずか22.5分で80%まで充電することができる。
電動グランドツアラーの魅力
ポルシェと多くを共有しているが、シュミッツはeトロンGTには独自のアイデンティティーがあると述べている。
「コンポーネントは共有していますが、アウディらしさを求めて工夫を重ねています。これは本当に重要なことです」
「わたし達にとってグランツーリスモと呼べるものを作っています。ダイナミックモードでのスポーティ性だけでなく、日常的な使い勝手の良さも兼ね備えることが重要でした。だから、4ドアの静かなクルマにしたんです」
「コンフォートモードではエモーショナルなサウンドを抑え、ロードノイズがあまり聞こえないようにしたかったんです」
「ステアリングも同じです。スポーティなフィーリングを得るためには、手先の感覚にばかり頼らなくてもいいと考えています。シートやクルマ全体から伝わるフィーリングを重視しながら、低速でのコントロール性を向上する後輪ステアリングも備え、快適なものにしたいと思っていました。すべてをGTのような形に仕上げたかったのです」
シュミッツは、快適な長距離ツアラーとしての能力と、EVならではの瞬間的なパフォーマンスとレスポンスを両立することで、従来のハイパフォーマンスモデルに慣れている人々にとって大きな魅力になるだろうと考えている。
「最大の変化は、低回転からの瞬間的なトルクです。走るのがとても楽しくて、ギャップやラグがないので、クルマをコントロールするのがとても簡単です。ペダルを踏み込んだ瞬間、モーターが瞬時に反応してくれます」
「ちょっとしたアンダーステアやオーバーステアでも、ペダルを踏み込んだ瞬間にすぐに立て直せるんです。それが電動パフォーマンスの醍醐味だと思います」
さらなる高性能モデルも登場か
RS eトロンGTは、同じ基本コンポーネントを共有しているにもかかわらず、タイカン・ターボやターボSほどのパワーを持たない。その理由について、シュミッツは次のように語っている。
「アウディのラインナップを見ると、加速の面でも馬力の面でも、kWの面でも、これまでで最もパワフルなRSなのです」
「これは、アウディの電動化の象徴として重要なことでした。それが、このポジションを選んだ理由です。グランツーリスモの思想にも合っています。乗ってみれば、十分以上のパフォーマンスがあることがわかるでしょう。同社のポートフォリオにぴったりです」
さらにパワフルなRSパフォーマンス仕様があるかどうかについて尋ねると、シュミッツは否定しなかった。
「可能性はありますが、今のところはRSと標準モデルの2種類とします」
標準のeトロンGTのパフォーマンスはまだ公開されていないが、英国では2021年春に発売され、価格は10万ポンド前後になると予想される。一方、RS eトロンGTは13万ポンド以上になる見込みだ。
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