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【ランチア デルタ インテグラーレ物語】世紀の名車? それともトラブルメーカー? 歌姫か悪女か 伝説のラリーカーの真実とは?

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【ランチア デルタ インテグラーレ物語】世紀の名車? それともトラブルメーカー? 歌姫か悪女か 伝説のラリーカーの真実とは?

ランチア デルタ インテグラーレ。Dalli Dalli(急げ、急げ)。6度のWRC世界選手権タイトルを獲得したことによって、ランチア デルタ インテグラーレは真の名ラリーマシンとなった。そして現在、歌姫はコレクターズアイテムとしてのキャリアをスタートさせている。それとも、そうではないのだろうか?

いや、サーキットツールでは決してない。例えば、長いレーストラックでヒートアップすることは、決して「デルタ インテグラーレ」が好むことではない。そしてなにより、楽しく走った後に、無造作に駐車することに「デルタ インテグラーレ」は耐えられない。もしそんなことを頻繁にすれば、ターボチャージャー内にオイルカーボンがこびりついて、ストライキを起こすことになるだろう。歌姫である「ランチア デルタ」は偉大なるエモーションの母国、そしてさりげない職人技の母国からやってきたのだ。

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「デルタ インテグラーレ」は、トリッキーな全輪駆動技術、ハイパワーターボ技術、そのすべてを箱型のコンパクトなボディに詰め込んだ、怪しげな仕上がりの悪魔のようなクルマなのだ。「全部ゴミです」と、ヘッセン州エルツ出身のヴェルナー ブレッテル(59)は言う。この建築家は根っからのインテグラーレファンだ:「これまで7、8台のデルタ インテグラーレを所有してきたが、残っているのは一台もない(笑)」。

アシャッフェンブルク近郊のゴールドバッハに住むラルフ ザウアー(53)は言う。彼はランチアで学び、1992年にコル デュ トゥリーニで雪の中を舞うデルタ インテグラーレを見て惚れ込んだ。そして、惨めに飢えたライバルたちにも・・・。それは「長いナイフの夜」、マリタイム アルプスのモンテカルロラリーの伝説的なステージだった。ザウアーと彼のワークショップは15年間、お行儀の良いコンパクトカーにカモフラージュされたイタリア製の「全輪駆動弾丸」の世話をしてきた。そして彼は言う。「手入れをしないデルタ インテグラーレだけが問題を引き起こす」と。必要な部品は彼が見つける。しかし、悪い評判はどこから来るのだろう?すべて偏見なのだろうか?昔は3万km走っただけでエンジンにダメージがあった。ラルフ ザウアーは言う、「デルタ インテグラーレのオーナーは50代が多く、若かりし頃の夢を実現している。もはやメンテナンスは安くはない」。

ランチア デルタの価格は2005年から倍増&今も上昇中

2005年以降、「デルタ インテグラーレ」の価格は倍増し、一部の希少な特別モデルでは、クレイジーな要求が6桁の大台(1,600万円超)に乗ることさえある!しかし、まともに走行可能な初代「デルタ インテグラーレ」は、今でも3万ユーロ(約480万円)の手前あたりからスタートする。ヴェルナー ブレッテルは言う。「当初は減価償却が激しかったので、本当に安くなったときには、あちこちに出回っていました」。その結果、知識のあるドライバーも、知識のあるメカニックもほとんどいなくなった。

ランチア デルタ インテグラーレとの暮らし

ここだけの話、まともに走る「デルタ インテグラーレ」なら、アクセルペダルを踏み込めば、ものすごい勢いでダッシュする。同時に、「デルタ インテグラーレ」はカーブを水を得た魚のように元気に駆け抜ける。ドライバーがステアリングホイールを握ってさえいれば「デルタ インテグラーレ」にはそれが可能なのだ。さらに「デルタ インテグラーレ」は、走りと同様にブレーキも鋭い。4ドアで日常的な資質を備えているが、後部ドアを使う人はほとんどいない。

「デルタ インテグラーレ」は幼稚園の送迎車には向かない。もちろん、お迎えまでの時間が空いていれば別だが・・・。そして、ガレージの前にはちょっとした山道がある。このように年間数千kmを走り、メンテナンス間隔を守り、常にアクセルを全開にしなければ、楽しさを満喫できる。熱くなったら、ターボが快適な温度まで冷めるまで数分間エンジンをアイドリングさせることさえ忘れなければ・・・。知っている人は、それをするのが好きだ。今日では、ほとんどの人がそれを知っている。そして、そうそう、「デルタ」の電気系統はアースの接続不良に悩まされている。イタリア車だから、それは問題ない。一回やればいいのだから。サビだって大した問題じゃない。「デルタ インテグラーレ」には、フロントガラスのフレームやルーフの端など、錆びやすい場所がある。ホイールアーチやドア下部の縁に当たるところもだ。

ランチア デルタ インテグラーレ:専門家と愛好家のための車

コレクターは1991年以降に改良された「Evo」モデルを好むが、予算に余裕のない人は初期のややソフトなモデルにも楽しみを見出すだろう。「デルタ インテグラーレ」は決して安くはない。ガソリンの使用量にもよるが、リッターあたり10km以下が常識だ。そんな中、ゴールドバッハに住むラルフ ザウアーは、ときどき彼の子供たちを連れてドライブに出る。少年たちはクールな帽子をかぶり、プレイステーションの画面で「デルタ インテグラーレ」を知っている。失礼な質問。「ラルフ、インテグラーレのどこがそんなにいいの?「少年たちには、常にエキサイティングなおもちゃが必要だ」。本当に幸せな奴だ(笑)。

ヒストリー:

ランチアは1979年のフランクフルトモーターショーで新型「デルタ」を発表した。ジョルジェット ジウジアーロがデザインしたその角張ったボディの下には、「フィアット リトモ」の技術とランチアのスピリットが詰まっていた。1.3リッターと1.5リッターのエンジン(75馬力と85馬力)でスタートし、1982年には「GT(1.6リッター、105馬力)」、1年後には「HFターボ(1.6リッター、131馬力)」が追加された。「デルタS4(200台)」はグループBラリーカーのベースとなった。1986年には、「インテグラーレ」シリーズの幕開けとなる「デルタHF 4WD(2.0リッター、165馬力)」が登場したが、これはそれほど過激なものではなかった。名前自体は1987年の「デルタHFインテグラーレ(185馬力)」で初めて登場した。その2年後、ランチアは「デルタHFインテグラーレ16V(200馬力)」をリリースし、1991年に大きな一歩を踏み出した。第2段階は、大幅に改良された「デルタHFインテグラーレ エボルツィオーネ(デルトーネ、ビッグデルタとも呼ばれる)」で始まった。1993年には、触媒コンバーター付きの「16V」が導入された。1994年に生産が終了したときには、すでにカルトモデルとなっていた。

テクニカルデータ: ランチア デルタ インテグラーレ Evo 16V パワーユニット: 直列4気筒、ターボ、フロント横置き、2本のオーバーヘッドカムシャフト、ベルト駆動、シリンダーあたり4バルブ、インテークマニホールドインジェクション、排気量: 1995cc、出力: 210PS@5750rpm、最大トルク: 298Nm@3500rpm – 駆動システム: 5速マニュアル・ギアボックス - フルタイム4輪駆動、トルセン式リアディファレンシャル - 前後独立サスペンション、ウィッシュボーンとマクファーソンストラット - タイヤ: 205/50 R 15 - ホイールベース: 2480 mm - 全長/全幅/全高: 3900/1770/1365mm - 車両重量: 1300kg - 0-100km/h加速: 5.7秒 - 最高速度: 220km/h - 1992年当時新車価格: 66,000マルク(約526万円)

プラス/マイナス:

最大のプラス: 信じられないほどのドライビングプレジャー。 最大のマイナス:信じられないほどのドライビングプレジャー。公道で楽しもうとすれば、永久に運転免許証が危険にさらされるからだ。あるいはそれ以上。しかし、低速では、「デルタ インテグラーレ」はむしろ刺激に欠け、理性は退屈に満たされる - 典型的なスーパースポーツカーのそれである。そして、チューニングされた個体やモータースポーツに出場した過去を持つ個体に永続的な喜びを見出せるのは、筋金入りのマニアだけだろう。たまにしか乗らない人にとって「デルタ インテグラーレ」にはリスクが多すぎるのだ。

市場の状況: 一般的な価格水準は高いが、少なくとも今のところ安定しているようだ。走行距離が少なく、良好な履歴を持つデルタ インテグラーレは依然として市場に出回っている。価格が適正であれば、すぐに買い手が見つかると専門家のヴェルナー ブレッテルは言う。一方で、偽物の特別モデルに警告を発する。

推奨: 「デルタ インテグラーレ」は、まだ大規模に修復されていない、オリジナルのクルマを手に入れるには、根気よく探す必要がある。ドライブが目的なら、しっかりとしたメンテナンスが施されたEvoモデル(45,000ユーロ=約720万円~)を。コレクターは、もちろん完全で履歴が確認できる特別モデルを探す(60,000ユーロ=約960万円~)。1991年までのインテグラーレは、すぐに運転でき、健康で修理歴のない車両が30,000ユーロ(約480万円)前後から購入できる。

大林晃平: 子どものなぞなぞで、「世界で一番壊れる自動車はなぁに?」と言うのがあった場合、僕の脳裏に浮かぶのは、マセラティ ビタルボ(と言うか、その時代のマセラティ全般)か、シトロエンCX、そしてこのデルタ インテグラーレあたりだろうか。というのは冗談にしても、とにかく維持するのが大変なことには間違いないだろう。特に登場からずいぶん時間がたった今となってはより一層の努力と経済力が必要だと思う。

それにしても昨今の、ランチア デルタ インテグラーレ中古車市場における価格高騰事件に関してはアウトビルトのコンテンツ(https://autobild.jp/8410/)でも記したが、まだまだこの車のエピソードに関しては続きがあるので、ここに再度、どうでもいい個人的な体験談を中心にアップしていきたい。

言うまでもなくデルタ インテグラーレの場合、もともとはノーブルで端正な5ドアハッチバックであったオリジナルのデルタを、かなり無理矢理ラリー出場車に仕立てがゆえに生じた不具合というものが多く、それはどうしようもない本当の事実なのである。だが逆説的に言えば、それこそがインテグラーレの魅力であり、人を惹きつけてやまないアンビバレントかつチャーミングな部分なのである(そもそも、オリジナルのランチア デルタそのものも、丈夫で信頼性抜群なお洒落イタリアンハッチバックカーといえばそんなことあろうはずもなく、それなりの信頼性で、極めて当時のイタリア車らしい品質の自動車であったことは言うまでもない)。

私の知人にはランチア デルタのインテグラーレをかなりの期間、所有していた知人が数人いた。いずれのオーナーにも共通していたのは信頼性に関しての話題を楽しそうに語ることで、嬉しそうに故障や壊れた武勇伝を語る彼らを見ていると、手がかかるからこそ可愛いんだろうなぁ、と微笑ましくなってしまう。彼らが楽しそうに語ってくれた話の中を一部抜粋してお届けすると、「路面のキャッツアイをうっかり踏んだらアルミホイールが曲がった」「エンジンルームはぎちぎちなので、ベルトの交換などちょっとした整備にもエンジンを下ろさなくてはいけない」(これに関しては、エンジンを下さなくてもタイミングを交換することはできるが、知恵の輪のように大変な作業、というのが本当らしい。ちなみにタイミングベルトは消耗品で、4年に一度は必ず交換というのが鉄則だそうである)。「ドアハンドルをひくときはゆっくり、無理をしないように」というもので、特に解説が必要と思われる最後の一言は、「ドアハンドルが壊れやすく、しかも入手しにくいプラスチックパーツなので、無理に操作してはいけない、というものである。とにかくドアハンドルに限らず、多くのプラスチックパーツは入手困難になっているので、いたわって乗らなくてはいけない」ということらしい。

特に、そういうプラスチックパーツ事件の中でも、僕の知っている話で強烈だったのは、アシストグリップ破損事件である。それはあの伝説的なルマンウイナーであり世界的に著名なモータージャーナリストであったポール フレール氏が日本に来日し、「まだ乗ったことがなかったから」という理由で、ランチア デルタ インテグラーレに試乗し、箱根ターンパイクを疾走している時に発生した事件だ。

決して程度極上でないインテグラーレの助手席にオーナーを乗せ、楽しそうに箱根を走り始めたポールおじいさんはだんだんペースを上げ、かなりの速度でコーナーをクリアし始めたらしい。さすがは元ルマンウイナー、80代後半ということを微塵も感じさせないドライビングテクニックだ!!とオーナーは感銘しきりだったというが、いくつかのコーナーを抜け、結構な速度でややきつい曲がり角に突入し、オーナーは天井のアシストグリップ握った途端、アシストグリップが破損して脱落し、手の中にはプラスチックパーツのアシストグリップが残っていたのだという。

そしてそれを見ていたポール氏は一言「oh!」といつものようにエレガントに笑ったのだそうだ。決して程度の良くなかった年代物のインテグラーレのプラスチックパーツが劣化していたことが原因なのか、ポールフレール先生の華麗なるテクニックによる横Gがあまりにも強烈だったことが原因であったのか、今になっては検証しようもない。だが僕はこの話が大好きだ。

そんなデルタ インテグラーレも、もはや4桁万円が当たり前の時代になってしまった。もし、デルタ インテグラーレをお持ちの際には、大切にお乗りいただきたい。これからも名車であり続けることは間違いないのだから・・・。

Text: Thomas Wirth Photo: autobild.de

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みんなのコメント

11件
  • son********
    エボⅡを通勤、買物と普通に使ってるが路上立ち往生は無いね。
    事前にトラブルの兆候が出るからわかる。
    ちなみに今の日本在住デルタが一番状態が良い物が多い。
    専門店、対策パーツなどが充実してるから。
    高騰前に購入出来て良かった。
  • エガちゃんねらー
    近所の人が乗ってたけど
    割とすぐに手放したのはそういう事か
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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