現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > レクサスRZで大進化を魅せる! スピンドルグリルという選択は正解だったのか!?

ここから本文です

レクサスRZで大進化を魅せる! スピンドルグリルという選択は正解だったのか!?

掲載 65
レクサスRZで大進化を魅せる! スピンドルグリルという選択は正解だったのか!?

 レクサスは新型EV「RZ」で、スピンドルグリルをさらに進化させたスピンドルボディを採用した。

 2012年、初めてスピンドルグリルをレクサスGSに採用してから10年。改良ごとにデザインが煮詰められ、当初は取ってつけた感が……という声のあったスピンドルグリルも、かなり消費者に浸透したと言えるだろう。

レクサスRZで大進化を魅せる! スピンドルグリルという選択は正解だったのか!?

 近年販売も好調のレクサスだが、スピンドルグリルを選択したことは、現在の実績から見て正解だったのか? 考察していきたい。

文/清水草一
写真/LEXUS

■当初不評だったスピンドルグリルを大切に育てたレクサスの覚悟

 トヨタ初の量産EVである「bZ4X」に続き、そのレクサス版の「RZ」が公開された。

 RZは、レクサス販売の中心を担うSUV、RXクラスのEV。デザインもRXの相似形だが、レクサスの象徴であるスピンドルグリルがグリルレス化され、グリルだった部分は、ボディのようにのっぺりしている。

レクサスの新型EV「RZ」。EVなので冷却用の空気取り入れ口は最小限となっている。そのためこれまでのスピンドルグリルとは違った造形が必要になった

 ただし、スピンドル形状の周囲にフィンを付けたり、周囲のボディカラーを変えたりすることで、スピンドルの輪郭は明確に残され、誰でも一目でレクサスであることがわかるようになっている。

 レクサスはこれを「スピンドルボディ」と呼んでいるが、これまでのスピンドルグリルに比べて斬新だしカッコいい! のではないだろうか。

 従来のスピンドルグリルは、巨大な面積のすべてが空気取り入れ口ではなく、デザインアイデンティティのための装飾的意味合いが大きかった。

 一方RZのグリルレスは、空気を吸い込まないEVのあるべき姿。つまりスピンドルボディは、スピンドルグリルよりも、機能とイメージ作りを両立させている。

 そもそもスピンドルとは「糸車」のこと。糸車を横から見た形をイメージしたのがスピンドルグリルだ。

 スピンドルグリル採用以前のレクサスは、「L-FINESSE」をデザイン哲学として掲げていた。それは、奇を衒った造形ではなく、シンプルでありながら先進的かつ深みのあるデザインを目指すというコンセプトだった。

 L-FINESSE当時のレクサス車は、パネル面の微妙なうねりや、質の高い繊細な造形を目指していたが、繊細すぎて強さがなかった。走りも、ドイツ御三家に比べると全体に穏やかだったから、「レクサス=自己主張の弱い曖昧な高級車」という、漠然としたイメージができあがってしまった。

 「このままでは、レクサスは真の高級車ブランドになれない」と危機感を抱いたトヨタは、アウディのシングルフレームグリルの成功に倣い、それまでの控え目路線を捨て、スピンドグリルを導入。最初の採用は2012年登場のレクサスGSだった。

 当初は「エグイ」とか「浮いてる」と、どちらかと言えば不評だったが、アウディのシングルフレームグリルも、最初から好評だったわけではない。こういった統一デザインは、こうと決めたら継続しないと意味がなく、コロコロ変えるようでは逆にマイナスになる。

 トヨタの覚悟は本物だった。当初の不評をものともせず、スピンドルグリルを大切に育て、徐々に巨大化させつつ、フォムル全体になじませて行った。

■わずか10年でシングルフレームグリルに追いついた認知度

 レクサスのスピンドルグリル採用は成功だったのか? と問われれば、「大成功だった」と私は答える。それによってレクサスのイメージが形状として記憶されるようになり、以前に比べてはるかに明確になったからだ。

 今やレクサスと聞けば、誰もがスピンドルグリルを連想する。採用からわずか10年で、アウディのシングルフレームグリルに追いついたと言えるのではないか。いや、形状がよりアグレッシブな分、シングフレームグリルを超えたとも言える。

 現在のシングルフレームグリルには、デザイン的な行き詰りが感じられる。当初の強烈さや斬新さはとっくに失われたし、もともと形状が「単純なデカ口」に近かったため、巨大化はこれ以上ムリ! となると、発展させるのが難しくなったのだ。

 これ以上大きくできない点はスピンドルグリルも同様だが、もともとの形状がよりアグレッシブでわかりやすいので、刺激やアイコン性を継続させるのは簡単だし、LXではグリルの縁をなくして桟を太くすることで、新鮮さを獲得している。

これ以上は大きくできないが、よりアグレッシブでわかりやすい形状であり、グリルの縁をなくして桟を太くすることで新鮮さを獲得している

 しかもレクサスは、近い将来主力となるEVに、スピンドルグリルから発展させたスピンドルボディを採用し、アウディを出し抜いた格好だ。

 アウディも、EVのe-tronシリーズに、「穴のないシングルフレームグリル」を採用しているが、「スピンドルグリルの裏返し技」であるスピンドルボディに比べると常識的でインパクトは弱い。レクサスの勝利である。

 レクサスのスピンドルボディは、メルセデスやBMWのEVに対しても、デザイン的に優位に立っている。シンプルでカッコいいし、斬新さ、強烈さも持ち合わせているのだから素晴らしいじゃないか!

 エンジン車はスピンドルグリル、EVはそれを裏返したスピンドルボディというレクサスのデザイン戦略は、コロンブスの卵。誰でも思い付きそうで、誰も思い付かなかった。お見事としか言いようがない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

65件
  • RZもRXもカッコが良いとは思えない。
    根本的にデザインを変えないと御三家には離されっぱなし。NXのデザインが歴代最高で天井と言うのが現実。
  • レクサスも、見た目がダサくてカッコ悪いよ。乗ってて恥ずかしいだろ、こんなダサい車。何故、今はカッコいい車が生まれなくなったのかな? 昔の高級車は、シーマにしてもセルシオにしてもマジェスタにしても、威圧感の中にも風格と品があってカッコ良かったもの。それに比べ今の高級車は、いかつく下品なだけ・・。高級車らしい風格が全くないもの。かつては世界一優秀だと言われた日本人も、安倍になって、今や中国はもとよりあの韓国にさえ学力で追い抜かれてしまった。その悪影響が車の世界にも出てきている。今のダサくてカッコ悪い下品な高級車群を見ても分かる様に、カーデザイナーの質や美的センスが、昔に比べ大幅に劣化してるよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

588.8800.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

28.0528.0万円

中古車を検索
GSの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

588.8800.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

28.0528.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村