一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表している軽自動車、輸入車を除いた登録車の2018年(暦年)による新車販売台数を見ると、日産ノートが13万6324台で総合トップ。そして9万9865台で日産セレナがミニバンNo.1に輝いた。
この数字だけ見るとe-POWERを搭載した2モデルの人気はスゴイ! と思えるだろう。
しかし、実は真の販売台数No.1カーは他にある。
【無茶振りで燃費過当競争勃発!??】迫る新基準で軽自動車が危機に
そのクルマが、5ナンバーサイズミニバンのトヨタヴォクシー/ノア/エスクァイア3兄弟である。2018年の年間販売台数はヴォクシーが9万4048台、ノアが5万6719台、エスクァイアは4万217台で合計すると、19万984台となりトップのノートを約5万台もリードしている計算になる。
共通のボディを持ち、フロントマスクと車名、細かい装備と取り扱い販売店だけが違う(写真左から)ヴォクシー/ノア/エスクァイア3兄弟。新車市場では圧倒的な人気を誇るこの3台だが、では中古車市場ではどうか?
ヴォクシー/ノア/エスクァイア3兄弟は基本的なシャシーやパワートレインは共通で、それぞれのモデルの個性にあわせて、内外装のデザインが異なっている。
また、2019年4月より、東京都はこれまで4つにわかれていた販売チャネルが「トヨタモビリティ東京」に統合されたが、そのほかのエリアではヴォクシーはネッツ店、ノアはカローラ店、エスクァイアはトヨタ店、トヨペット店と取り扱う販売店が違うのも特徴と言える。
本稿ではそんな、隠れたNo.1モデルであるヴォクシー/ノア/エスクァイア3兄弟の中古車事情に迫ってみたい。
文:萩原文博
■「強さ」には理由がある
現行型のヴォクシー/ノアは2014年1月に登場。そしてエスクァイアは2台から遅れて2014年10月に登場した。同じクラスに属する日産セレナが2016年8月、ホンダステップワゴンは2015年4月登場となっている。したがって同じカテゴリーの中では最も古いモデルとなるのだが、販売台数は一向に衰えない。これは単に販売ネットワークが強いというだけでは片付けられない。やはり浮遊層の多いクラスで安定したセールスを続けるにはキチンとした理由があるだろう。
ヴォクシーはネッツトヨタ店扱い車種
ヴォクシー/ノア/エスクァイアに搭載するパワートレインは最高出力99ps、最大トルク142Nmを発生する1.8L直列4気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステム、そして最高出力152ps、最大トルク193Nmを発生する2L直列4気筒エンジンの2種類。駆動方式はハイブリッド車が2WD(FF)のみだが、ガソリンエンジン車は2WDに加えて、4WDを用意。
乗車定員もハイブリッド車の7人乗りのみに対して、ガソリンエンジン車はグレードによって7人乗りと8人乗りを用意するなど差別化を図っている。
車種によっても微妙に差別化は計られており、ヴォクシー/ノアは5ナンバーサイズモデルに加えて、エアロパーツを装着した3ナンバーサイズモデルも設定されているが、エスクァイアは全車5ナンバーサイズとなっている。
2014年の登場以降、ヴォクシー/ノア/エスクァイアは商品力に磨きをかけ続けており、2016年1月の一部改良では衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスC」を採用し、安全性を向上。同時にヴォクシー/ノアのガソリンンエンジン車のみに設定されていた3ナンバーのエアロ仕様がハイブリッド車にも拡大設定された。
ノアはカローラ店扱い
そして、2017年7月にマイナーチェンジを行い、それぞれの個性を際立たせたエクステリアデザインの採用をはじめ、操縦安定性、静粛性の向上。そして室内装備を充実させ、利便性を向上させている。
また2019年1月の一部改良では、衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンス」の機能性を向上。プリクラッシュセーフティの検知対象に昼間の歩行者が加わった。
そして、駐車場などのアクセルとブレーキペダルの踏み間違いによる衝突を抑制するインテリジェントクリアランスソナー(パーキングブレーキ・静止物)を新たに設定し、安全性を向上させている。
こうして見るとヴォクシー/ノア/エスクァイアはモデルライフは長いが、ユーザーにニーズに対応しているからベストセラーモデルとなっているのだ。それでは、ヴォクシー/ノア/エスクァイアの中古車事情を見てみよう。
■現行型の中古車はまさに「いま」が狙い目!!
新車の販売台数に比例していて、現行型の中古車が最も多いのはヴォクシーの約2890台、続いて、ノアの約1790台、そしてエスクァイアの約1090台となっている。
ちなみにヴォクシーとノアの旧型の流通台数は、ヴォクシーが約2070台、ノアが約1060台と現行型以上にヴォクシーの流通台数が多いのが特徴だ。
[usedcar-search carname="ヴォクシー" limit="2"]
続いては平均相場の推移を見てみる。
まずは現行型からだ。最も流通台数が多いヴォクシーは3カ月前が約238万円で現在は約228万円と約10万円の値落ち、ノアは3カ月前が約224万円で、今月は約212万円と約12万円の値落ち。そしてエスクァイアは3カ月前が約253万円、今月は約245万円と約8万円と3モデルの中で最も小幅な値落ちとなっている。
[usedcar-search-2 carname="ノア" limit="2"]
値落ち幅はマチマチながら、値落ち傾向で、流通台数も右肩上がりで増えているので、中古車はまさに買いとタイミングとなっている。
一方の旧型ヴォクシー/ノアの平均価格の推移はというと、ヴォクシーの3カ月前が約94万円、そして現在は約88万円と約6万円の値落ち。ノアの3カ月前は88万円で、今月は83万円と約5万円の値落ちとなっている。
[usedcar-search-3 carname="エスクァイア" limit="2"]
■狙い目は2016~2017年式
先ほども書いたが、現行型のヴォクシー/ノア/エスクァイアは内外装のデザインは異なるが、基本的なコンポーネンツは共通。しかも平均走行距離もそれほど変わらないのに、中古車特有の人気という要素によってこのような価格差が生じてしまうのだ。調べた結果、ヴォクシー/ノア/エスクァイアの中古車を購入するならば、ノアが最もお得ということがわかった。
写真はエスクァイア。こちらはトヨタ店、トヨペット店の扱いで、(ノアとヴォクシーに比べて)やや装備が豪華なぶん価格が高いという特徴がある
デザインがイヤ! という見た目にこだわる人は別だが、人気の5ナンバーサイズミニバンが欲しいという人にはノアが狙い目。グレードは最近になってハイブリッド車も増えているが、エアロパーツを装着したガソリンンエンジン車の2.0Siがベストバイと言える。
加えて、現在では不可欠な安全装備のトヨタセーフティセンスCが装着された2016年から2017年7月のマイナーチェンジ前までの前期型に割安感があり、予算200万円以下で、走行距離2万km以下という物件も容易に見つかる。
ヴォクシー/ノア/エスクァイア3兄弟のライバルはセレナやステップワゴンではなく、身内にいるのだ。
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