電気の力だけで最長77km走れるPHEV
欧州市場では、ちょっと上級なファミリーカーは4ドアサルーンやステーションワゴンから、SUVやクロスオーバーへ置き換わっている。パワートレインも、ディーゼルエンジンではなくプラグイン・ハイブリッド(PHEV)が有力だ。
【画像】システムの能力向上 ボルボXC60 リチャージT6 欧州で競合するPHEV SUVと比較 全108枚
この変化へ同調するように、持続可能性を掲げる北欧のブランド、ボルボはPHEVのXC60 リチャージT6へマイナーチェンジを加えた。競争力を維持する、理にかなった決定だといえる。
今回の変更の中心にあるのは、ハイブリッド・システムのアップデート。駆動用バッテリーは11.6kWhから18.8kWhへ容量が増やされ、リアの駆動用モーターは147psへパワーアップしている。
その結果、リチャージT6の最高出力はシステム総合で350psへ向上。電気の力だけで走るEVモードでの走行可能距離は、53kmから77kmへ伸びている。アクセルペダルだけで発進から停止までまかなえる、ワンペダルドライブも可能となった。
高効率化により、CO2の排出量も24g/kmへ減少。マイナーチェンジ前は55g/kmだったから、カタログ値とはいえ半分以下になっている。
リチャージT6の上にはT8も存在するが、こちらはシステム総合で455psを獲得。ボルボの量産車としては過去最強を誇示する。英国の場合、PHEVのXC60で主力になるのはT6の方で、XC60全体で見ても40%と支持率は高い。
エコで上質な車内 知的なハイブリッド制御
環境負荷へ配慮するボルボにとって難しい課題といえるのが、一般的に高級だと感じる皮革や石油由来の素材を減らして、ラグジュアリーなインテリアをデザインすることだろう。実際、リチャージT6の内装にレザーは用いられていない。
質感の高いエコ・ファブリックを採用し、不満のない上質感を実現している。装飾トリムには、クリア塗装が施されない無垢のウッドが用いられ、マット仕上げの金属のアクセントと組み合わされている。
車内空間はライバルのジャガーEペイスより広く、荷室容量でも有利。ステーションワゴンで名を馳せたボルボらしい。
ダッシュボードの中央には、縦に長い巨大なタッチモニターが据えられる。ボルボはインターネットの巨人、グーグルと提携しており、便利なグーグルマップがインフォテインメント・システム内で稼働する。
ナビゲーションで目的地を設定すると、XC60自ら計画的にハイブリッド・パワートレインを制御してくれる。駆動用バッテリーの電気とタンク内のガソリンを、最も効率的に用いるために。
実際に試してみたが、目的地に到着したタイミングでバッテリーの残量がちょうど0になった。その巧妙さが、少し不思議な印象ですらあった。
目的地を設定しなくても、EVモードでの走行可能距離は、メーター用モニターに表示される数字と実際の距離が極めて近いようだ。音声認識システムの賢さも素晴らしい。
ブランドに共感する人には強い魅力
走行中、駆動用モーターから内燃エンジンへの切り替えはシーレス。低回転域から滑らかに回るが、アクセルペダルを踏み込むと若干荒っぽいノイズが聞こえてくる。
モーターの即時的なトルクの立ち上がりと相まって、2.0L 4気筒ガソリンターボから想像する以上にダッシュ力がある。車重は2011kgもあるが、0-100km/h加速を5.7秒でこなす。マイナーチェンジ前のリチャージT6から0.2秒縮めた。
XC60の操縦性は洗練されている。コーナリングスピードも驚くほど速い。だが、ジャガーEペイス P300eで味わえるような軽快さまでは得ていない。
クルマ全体の性格としては、角の取れた優しい印象。シートは座り心地がよく、サスペンションは硬すぎず、舗装の小さな凹凸を吸収し柔らかく路面へ追従する。高速道路の速度域では、静かな車内空間で穏やかに移動できる。
カーブが続く区間では、シャシーの有能ぶりを確かめられる。思わず夢中になってしまう気持ちの高ぶりではなく、安心で安全という印象で。それでも、高速コーナーを滑らかに確実に通過していくマナーは、運転する喜びにもつながる。
ドライバーに対する魅力度でいえば、Eペイス P300eやBMW X3 xドライブ30eなどの方が勝ることは間違いない。それは、各ブランドが狙った性格付けといえる。
ボルボというブランドに共感する人なら、XC60 リチャージT6の個性へ強い魅力を感じるはず。マイナーチェンジで、訴求力は増したといっていいだろう。
ボルボXC60 リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT6 AWD プラス(英国仕様)のスペック
英国価格:−
全長:4708mm
全幅:1902mm
全高:1902mm
最高速度:−
0-100km/h加速:10.4秒
燃費:76.8-99.8km/L
CO2排出量:24g/km
車両重量:2011kg
パワートレイン:直列4気筒1969ccターボチャージャー+同期モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:14.9kWh(実容量)
最高出力:350ps/5500rpm(システム総合)
最大トルク:35.6kg-m/3280rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
あっても買えないが、、、
完全EVメーカーになる2030年の時点での仕上がりがどうなってるか楽しみです。