廉価グレードのスーパールーセントに注目だ!
生産期間はわずか2年!貴重な純正5速MTモデルに試乗!
「実は100系クレスタにも存在した5速MTモデル!」ATしかないと思ったら大間違い【ManiaxCars】
マークII三兄弟の1モデルとして1996年9月に登場した100系クレスタ。先代90系から大きく変わったのは、マークIIやチェイサーに対して、全高プラス20mmでの居住性向上やプレスドアの採用など上級志向を強めたことがひとつ。それからマークII、チェイサーでは2.5L直6の1JZ-GTE/GEを搭載するスポーティグレードがツアラーV/Sだったけど、クレスタではルラーンG/ルラーンと名称を変更。ルラーンGは4速ATのみの設定とされたのも大きな違いだ。
そんなこともあって100系クレスタには5速MT車が存在しない…と思われてるようだけど、実はあるんです! 98年8月までの前期型に限るけど、廉価グレードのスーパールーセントに。ちなみに、後期型ではエンジンがVVT-i仕様に変わり、ミッションも4速ATだけとなった。
コンパクトなシリンダーヘッドを持つハイメカツインカム仕様の1G-FE型エンジン。80/90系マークII兄弟に搭載されてた従来型をベースに2ウェイエキゾーストコントロールシステムなどを採用することで、パワーで5ps、トルクで0.5kgmの向上を果たしている。ちなみに、トヨタでは1G-FEをツインカムと呼ばず、単に24バルブとしている。
生産期間が2年と短かったことに加え、廉価グレードの5速MT車ってこともあって新車はほとんど売れなかった、つまり世の中に現存するのはごくわずかと考えられる1台が目の前に(笑)。しかも、初代クレスタが出た時、スーパールーセントは最上級グレードだったハズなのに気づけばまさかの廉価グレード…という事実を突き付けられ、ちょっと悲しい気持ちになった。
とはいえ、やわらかな曲線と曲面で構成されたダッシュボードは質感の高さを感じさせてくれる。センターコンソールに並ぶのは2DINサイズのAM/FMチューナー付きCD/カセットデッキとオートエアコンの操作パネルだ。メーターは照度切り替えスイッチを持つオプティトロン式を採用。スピード&タコメーターの他、水温計と燃料計が配置される。
廉価グレードとはいっても、そこはクレスタ。シートは表皮に彫りの深いキルティングを採用してラグジュアリー感が演出され、運転席には8ウェイマルチアジャスタブルパワーシートが備わる。ヘッドレストも前後、上下それぞれの調整が可能だ。
3名分の3点式シートベルトが用意された後席。同じ1G-FEを載せるひとつ上のグレード、エクシードではヘッドレストが調整式となり、センターアームレストにもボックスが備わるけど、スーパールーセントではいずれも省かれる。
さて、細部をチェックしたら試乗だ。そこにセレクターレバーでなくシフトレバーがあることで、運転席に座るとクレスタには存在しないツアラーV気分をまず味わえる。が、次の瞬間、レッドゾーンが6000rpmからのタコメーターが目に飛び込んできて即、現実に引き戻される(笑)。そう、これは決してツアラーVでなくスーパールーセントなのだ!
1G-FE型エンジンは3000rpmあたりまでセンの細さを感じるけど、それでも同じツインカムの1G-GEU型よりはだいぶマシ。街乗りメインの日常ユースでも、これなら大きな不満を覚えることはなさそうだ。
シフトは適度なストロークでコクコク…と気持ちよくチェンジが決まるから操作が楽しいし、ちょっと心許ない低中速トルクを補うって意味でも、1G-FEとのマッチングは4速ATよりいいと思う。おそらく動力性能面でストレスを感じることも少ないだろうし。
中高回転域もスムーズに吹け上がるけど、パワーの盛り上がりがすごく希薄。結局1G-FEはよく回る実用エンジンって印象だから、スポーティな一面は期待しない方がいいかもしれない。
■SPECIFICATIONS
車両型式:GX100
全長×全幅×全高4750×1755×1420mm
ホイールベース:2730mm
トレッド(F/R):1485/1495mm
車両重量:1330kg
エンジン型式:1G-FE
エンジン形式:直6DOHC
ボア×ストローク:φ75.0×75.0mm
排気量:1988cc 圧縮比:9.6:1
最高出力:140ps/5600rpm
最大トルク:18.5kgm/4400rpm
サスペンション形式:FRダブルウィッシュボーン
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR195/65R15
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:SKT 東京都あきる野市横沢欠ノ上43-1 TEL:042-519-9826
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