生産開始から50年 歴代モデル振り返り
フォルクスワーゲン・ゴルフは3月29日、小型ハッチバック「ゴルフ」の生産開始から50周年を迎えたと発表した。
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ゴルフの初代モデルは1974年3月29日に生産が開始され、最新の第8世代に至るまで累計3700万台以上が販売された。ハッチバックからカブリオレ、セダンまで、さまざまなボディタイプが登場している。
今回はゴルフ誕生50周年を記念し、歴代モデルをざっと振り返ってみたい。
わずか2年半で100万台達成
かの有名なジョルジェット・ジウジアーロ氏がデザインした初代ゴルフは、それまでのビートルに代わる、新世代のフォルクスワーゲンの主力となるモデルである。
弊誌は1975年1月に試乗した際、「ゴルフとビートルは比較にならない。より速く、より広く、より安定性が高い。ハンドリングも良く、経済的である」と高く評価した。
しかし、完璧というわけではなかった。ドライビング・ポジションに問題があり、高負荷時のブレーキ・フィーリングも悪く、乗り心地は厳しいものだと当時の弊誌記者は指摘している。
それでも、「ゴルフは確かに非常に強い競争力を持つ。もう少し控えめな価格設定であれば、なおさらそうであったろうが、それでもフォルクスワーゲンの市場シェア拡大とベストセラー化は明らかだ」と、評価は概ね好意的なものであった。
ゴルフは1976年10月、累計生産台数100万台を達成した。発売からわずか2年半での快挙である。
伝説的なホットハッチ「GTI」の登場
同年、今では名高い「GTI」がラインナップに加わった。1.6Lのガソリンエンジンはキャブレターから機械式フューエル・インジェクションに変更され、最高出力は110psに向上。シャシーには剛性の高いアンチロールバー、ビルシュタイン製ダンパーが装着され、車高も20mm下げられた。フェンダー・エクステンション、レッドのストライプ、そして(当初は)レッドかメタリックシルバーの2色のボディカラーが選択可能だった。
ゴルフGTIの弊誌のファースト・インプレッションは、「スロットル操作に気を使わなければならない」ほどパワフルで、ハンドリングは「最も印象的」というものだ。
しばしばゴルフGTIは世界初の “ホットハッチ” と紹介されることもあるが、シムカ1100tiが最初だったとする見方が一般的だ。いずれにせよ、ゴルフGTIがホットハッチのブームを巻き起こしたことは間違いない。
時系列が前後してしまうが、1982年、オーストリアのヴェルターゼー湖でGTIオーナーのカーミーティングが初めて開催された。その後、ヴェルターゼー(Worthersee)はGTIファンのメッカとなり、2006年にはフォルクスワーゲンが公式スポンサーとなった。しかし昨年、環境上の理由により現地当局から開催反対を受け、今年はドイツ・ヴォルフスブルクで開催されることになっている。
1976年にディーゼルエンジンがゴルフのラインナップに加わり、3年後にはカブリオレとセダン(後者はジェッタと命名)のボディが追加された。不思議なことに、初代ゴルフは南アフリカで人気があり、生産が終了したのは2009年のことだった。
進化した第2世代 快適性がアップ
1983年に登場した第2世代ゴルフは、燃費と室内空間の広さを優先し、ボディが大型化したほか、やや曲線的な形状となった。弊誌の記者は、乗り心地、ハンドリング、実用性を兼ね備えたヴォグゾール・アストラに次ぐ「僅差」で2番手だとしている。
GTIは1986年に1.6L 16バルブエンジンを搭載し、最高出力140psにパワーアップ。その4年後、160psを発生するスーパーチャージャー付きモデル「G60」が登場した。
また、車高120mmリフトアップ、シャシー補強、山岳モチーフのグラフィックを備えたオーストリアのシュタイア・プフ(Steyr-Puch)による「カントリー」など、さまざまな特別仕様車が生まれた。
今日のゴルフRの “精神的祖先” と言えるゴルフG60リミテッドもあった。モータースポーツ部門が製作した71台限定の特別仕様車で、従来のG60より40ps高いパワーを持つ四輪駆動車である。しかし、その外観は普通のゴルフGTIとほぼ同じで、ブルーのグリルとグラファイトグレーの外装だけが特徴だ。
希少な「VR6エンジン」導入 第3~4世代
第3世代ゴルフは1991年に登場し、V6エンジン(狭角VR6)とステーションワゴン(ヴァリアント、またはエステートと命名)が追加された。VR6は、1991年11月の弊誌テストでBMW 325iを破り、高級車ブランドと対等以上に競えるものとして注目された。
1997年に発売された第4世代では質感と洗練性を重視し、インテリアはアウディA3よりも優れていた。しかし、GTIは先代モデルよりもターンインが鈍く、ステアリングも曖昧だった。
2002年のゴルフR32(初のRモデル)では、この問題が多少改善されていた。アップグレードされた3.2L VR6と四輪駆動が組み合わされ、あらゆるコンディションでセンセーショナルなパフォーマンスを発揮した。より硬く、より低いサスペンションとワイドボディにより、先代VR6には欠けていた、パフォーマンスモデルらしいルックスも手に入れた。
さらに走りに磨きをかけた第5~6世代
2004年に登場した第5世代ゴルフは、ライバルとして手強いフォード・フォーカスに影響されたサスペンション・セットアップのおかげで、刺激的なダイナミクスを取り戻すことができた。
中でもGTIは、第4世代の快適性と洗練性を、初代や第2世代のエンターテイメント性と融合させ、歴代最高の1台である。2005年1月の弊誌テストでは4.5つ星を獲得したが、操作感の向上が望まれる結果となった。
R32も導入されたが、先代モデルに比べてややのんびりした性格のため、GTIよりも高い価格に見合うものかどうかは難しいところであった。
2008年に登場した第6世代は、第5世代のPQプラットフォームを強化して洗練性を高めており、実質的にはフェイスリフトと言える。3.2L VR6は廃止され、代わりにGTIの2.0L 4気筒ターボをアップグレードしたゴルフRが誕生した。
「傑作」から「失速」へ 第7~8世代
2013年に登場した第7世代は、ゴルフの系譜における最高峰と言っても過言ではない。現在では一般的となったMQBプラットフォームを最初に採用したモデルであり、ダイナミクスに磨きをかけるとともに、人間工学と製造品質、質感の新たなベンチマークを打ち立てた。
「世界最高のハッチバックがさらに進化した」と弊誌記者は書いた。第7世代ゴルフは600万台以上が生産され、第2世代以来で最も売れた世代となっている。
この大成功は、新型が後を追うのに苦労するほどだった。2019年11月に発売された第8世代ゴルフは、フォルクスワーゲンの “デジタル革命” の幕開けとなるはずだったが、車載ソフトウェアの不具合と世界的なパンデミックによって失速。勢いを取り戻すべく、早期の大幅改良に迫られた。
「第8.5世代」とも呼ばれる改良新型ゴルフは今年後半に発売される予定だ。最新のインフォテインメント・システムを導入し、物理ボタンを復活させるなどインテリアデザインの改善を図っている。
今後の展開については、第9世代がシリーズ初のEV専用モデルとなる予定だ。先進的なSSPプラットフォームを採用し、2028年の発売が見込まれる。
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みんなのコメント
ゴルフIIのciに乗ってました。特に廉価モデルでしたので
いかにも質実剛健のドイツの大衆車でマニアルで快適装備はエアコンぐらいでパワステも無かった。GTIじゃ無いから決して速くなかったが、特にコーナーの安定感や高速安定性は素晴らしかった。その後ゴルフIIIは大きく快適になり、ゴルフ4以降は高級路線になりましたが、やっぱりゴルフらしい質実剛健な大衆車は二代目までの様な気がします。
まだ、ドイツが東西に分かれてた頃…「西ドイツ製」って響きも、如何にも舶来品ぽくてよかった、ロードノイズや「カタカタ」鳴るエンジン音は御愛嬌だったけどねぇ(笑)まだ、空冷エンジンのビートルに比べたら「静か」だったかも