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F1とN-BOXの開発は一緒? 元ホンダ浅木泰昭が語る”世界一になるために必要なこと”「尖った才能や考え方が不可欠だった」

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F1とN-BOXの開発は一緒? 元ホンダ浅木泰昭が語る”世界一になるために必要なこと”「尖った才能や考え方が不可欠だった」

 2021年までホンダのF1パワーユニット(PU)開発を率い、現在はDAZNでF1中継のコメンテータを務める浅木泰昭氏初の著書『危機を乗り越える力』(集英社インターナショナル)が、3月26日に発売される。

 浅木氏はF1のPU開発を率い、チャンピオンPUへと成長させた。しかしそれ以前にも、初代オデッセイやN-BOXの開発を率いるなど、ホンダ在籍時に数々の成功を収めてきた人物である。

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 なぜ浅木氏は、本を書こうと思ったのか? そう尋ねると、彼は次のように語った。

「私の作ったN-BOXも売れたし、F1も成功に導くことができました。私には何か能力があるかもしれない……でもよく分からなかったんです。偶然かもしれないし」

 そう浅木氏は語る。

「なんでこういう結果を出せたのか、その辺りを教えて欲しいと思って、本を書かせてもらうことにしたんです」

「お客様の気持ちを読む力とか、部下の能力を見抜く力とかがなければ、当然結果は出ないんでしょうけど、それはあくまで結果論。本当にそうなのかというところを、みなさんの公平な目で見た時にどうなのかなと思ったんです」

「逆に言うと、そこに多少なりとも普遍的な部分があるとすれば、面白いモノになるのかなという思いもありました」

 それで浅木氏と集英社インターナショナルの編集チームの出した結論が、本の題名にもなっている「危機を乗り越える力」が浅木氏に備わっているのではということだったようだ。

「たしかにそういう認識です」

 浅木氏はそう語る。

「何十年も仕事をやっていると、絶対に危機が来るんです。危機を待っていたような節はあるんです」

「私は、危機が訪れて初めて『自分の出番だ!』と思うようなタイプの人間だったんです。そういうタイプの人もいるんですよ」

「そういう危機じゃない時には、暴れずにじっと耐えねばいけない。そういう時期は辛いですよね。暴れるとしても、自分を台無しにするような暴れ方はダメです」

「私も生意気でしたし、十分に暴れてきました。でも、投げやりになっちゃだめです。そうすると、将来が潰れてしまいます」

「大きなプロジェクトを外されてしまった時もありました。でもそういう時は我慢して、代わりに身体を鍛えたり、釣りやゴルフをやったりしましたよ。その時は時間がたっぷりありましたから、ゴルフのスコアも一番良かったです(笑)」

「この時を耐えたら次が来る……という確信は、私自身にも当然ないですよ。でも、なってしまったモノは仕方ない。だから淡々と日々を過ごしていたという時もあります」

 そんな中でも浅木氏は、立場が上がった時には、自分のように”尖っていたり、変わり者”を積極的に起用したという。それは難しいことではあったものの、世界一を目指すためには必要不可欠だったと、浅木氏は語る。

「そういう人を起用するのは、難しいですよね。でも、世界2位とか3位を目指すならばそういう人材は必要ないかもしれませんが、世界一を目指すならばそういう人がいないとダメというのが、私の感覚なんです。普通にやっていたら世界一にはなれない。世界一になるには、誰もやったことのないようなことがいくつも入っていないとダメだと思っています。そういう人たちは扱いにくいところもありますが、同じような感覚を持っています。N-BOXを作った時もそうでした」

「自分がそうやって生きてきたせいもあるかもしれません。いくら評価は低くても、自分に能力がないと思ったことはないですから」

 そういう”尖った”考え方は、F1のように順位を争うような開発には向いているようにも見える。しかし一般大衆に受け入れられなければならない軽自動車の開発とは、全く別のベクトルにあるようにも見える。

 しかし浅木氏は、F1もN-BOXも、基本的には違いはないと語る。

「レギュレーションがある中で戦うという点では、F1も軽自動車も同じです。車内の空間を広くするということしても、軽自動車である以上は制限がある。そんな中で車内空間を広げるには、技術がないとできません」

 そう浅木氏は語る。

「そのためには、尖った才能や考え方が不可欠だったと思います。エンジンを小さくすることにしても、センタータンクレイアウトにして床を下げることにしても、そういう考え方がなければ無理でした」

「軽自動車は、安さが勝負だという考え方が主流ですが、そのベクトルでは我々は勝負できません。そこには、強力な競争相手がいますからね」

「N-BOXの時は、普通に市場調査して、それに普通に応えようとしたら、もう負けが決まっているというような感覚でした。そういう時に突破口を開くためには、やはり尖った人がいなければいけない」

「コスト競争じゃないところを模索して、結果N-BOXは価格は高かったけど、ベストセラーになることができたわけです。答えをなんとか導き出せた。そういうチーム力は、普通の人だけじゃできない仕事だったと私は理解しています」

 冒頭に紹介した浅木氏の著書『危機を乗り越える力』では、そういうN-BOXやF1の開発秘話が、所狭しと盛り込まれている。発売されたあかつきには、ぜひ一読いただきたい。

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みんなのコメント

3件
  • mjk********
    F1とN-BOXの開発は一緒、たしかに開発は大変だと思います。
    ただ、F1エンジンを作っているのに、一般人が楽しめるFRスポーツカーを作れなくてミニバンしか売れないホンダを残念に思います。
    そして、ホンダの収益の半分以上は2輪なのにMotoGP勝てなくなってる事にも残念な思いです。
  • こじろう
    売れないってのが正解
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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