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ミシン、自転車から自動車へ、ドイツの名門自動車ブランドOPELの知られざる歴史

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ミシン、自転車から自動車へ、ドイツの名門自動車ブランドOPELの知られざる歴史

創業者アダム・オペルの5人の息子たち。父の遺した会社を受け継ぎながら、次の時代に向けて自動車産業への参入を模索していく。

1862年の創業から数えて160年という長い歴史を持つOPEL。創業者であるアダム・オペルによるミシンや自転車の生産、彼の息子たちが始め、今日にまで続く自動車製造への発展。そんなOPELの歩んできた道のりをいま一度たどってみたい。

今週、話題になったクルマのニュース3選(2021.9.18)

小型車開発の確立と大量生産方式の導入

 人々の生活に寄り添ったオペルのものづくりの精神は、創業者アダムのミシン製造から始まった。彼が開発したミシンは丈夫かつ安価で人気を博し、会社はドイツ最大のメーカーへと発展。続いて、自転車の製造へ乗り出したのは、彼の息子たちに安全な製品を使ってほしいという思いからだった。そんな愛情を受けて育った息子たちは、父の没後に家業を継ぎながら次の事業を模索する。そこで目をつけたのが自動車だった。当初は知識も技術も持ち合わせてはいなかったため、すでに自動車を造り上げていたルッツマンのパテントと工場を買収して自動車製造に進出。もっとも1899年時点で完成した製品『SYSTEM LUTZMANN』の完成度が低かったため新たなモデルの開発に着手した。そしてダラックとの提携によって生み出されたのが『OPEL DARRACQ』である。これでオペルの車輪は本格的に回り始め1909年の『DOKTORWAGEN』の成功につながる。文字どおり医師をターゲットにした小型車は、効率的な生産による低価格の実現により、広く一般のオーナードライバーからも人気を得ることになる。結果、オペルは1910年代初頭に年産数千台を誇るドイツ最大の自動車メーカーにまで成長。ベルトコンベヤーによる量産体制を整え、同時にヒット作となる『4/12PS 〝LAUBFROSCH〟』が生み出された。また一方でロケットエンジンの推進力を生かした車両の研究と開発にも着手。この時の実験車である『RAK2』は最高速230km/hを達成したというから、技術力の高さに驚かされる。すべてが順調かに見えたオペルだったが不況や不透明な将来に不安を抱いていた。そこで生き残りをかけてゼネラルモーターズと提携、1931年には完全子会社となり、新たな道を歩み始めた。その過程でデビューしたのが36年のベルリンオリンピックにちなんで命名された『OLYMPIA』だ。ドイツ初のスチールモノコックを採用し、近代車の先駆けとなった。続く『KADETT』は、前時代のスタイルを脱した流線形スチールボディーが特徴で、戦後にも続くオペルにとっての小型車の礎となった。一方で6気筒エンジンを搭載した中級車『KAPITAN』も加え、ラインアップを充実させている。

 ただ、その勢いは第2次大戦に阻まれることになる。同時期にはゼネラルモーターズが手を引き、『KADETT』も生産中断の憂き目を見ることとなった。それでも企業の存続を考えたオペルは政府の要請を受け入れ、量産設備を生かして軍用トラックの生産に着手。終戦後はこの『BRITZ』を足がかりに復興への一歩を踏み出した。

学びを得ながら独自の道を確立。次々と生まれるヒット作

OPELの自動車製造黎明期のモデル。『SYSTEM LUTZMANN』(中段)、『OPEL DARRACQ』(右上段)、『DOKTORWAGEN』(左上段)、『4/12PS 〝LAUBFROSCH〟』(下段)。

独自のベルトコンベアーラインで部品を組み付けた『KADETT』。OPELでは早い段階からこのシステムを用いて量産体制を確立。一方でトラック『BRITZ』の生産は戦中・戦後のOPELを支えることとなった。

取材・文/桐畑恒治

取材・文/桐畑恒治

160年の歴史を持つオペルのすべてがわかるブランドMOOK「&OPEL 未来を創るクルマ。」発売中

 1862年の誕生以来、不断の進化によっていつの時代も時代も最先端のポップカルチャーであり続けたOPEL。そのブランドDNAとその魅力を、チーフデザイナーへのインタビューや歴史的名車の検証などをもとに解き明かすムック本「&OPEL」が発売されました。

 ドイツの自動車メーカーOPELは、160年の歴史を持つ老舗ブランドです。日本との縁も深く、戦前から輸入され、2006年までは日本国内でも販売されていたので、ご存じ方はもちろん、実際に乗った/所有したことがある方も多いのではないでしょうか。

 そして今、OPELが再び、日本に上陸するといわれています。今度、日本にやって来るOPELは、私たちがしばらく見ないうちに、すばらしくモダンで、ポップな佇まいに変身していました。ドイツ車としての信頼感と堅実さはそのままに、ガジェット感あふれるデザインやカラーリングからは、「どんな人生を愉しみたい?」と、クルマが語りかけてくるようです。そんな、ニュー・ジャーマン・カーで実現するライフスタイルのテーマは「リラックス」。

 本書では、暮らしをアップデートするモダンジャーマンなクルマづくりの魅力を、160年の歴史とともに余すところなく、紹介します。

160年の歴史を持つオペルのすべてがわかるブランド大図鑑

『&OPEL(アンドオペル) 未来を創るクルマ。』

定価1650円(税込)A4変形判/132ページ

小学館刊

https://www.shogakukan.co.jp/books/09104254

■本書のコンテンツ紹介

PART 1  OPELが提案するRELAX LIFE

●人気モデル「CORSA」「MOKKA」「GRANDLAND」徹底解剖!

PART 2 Pop&Future! OPELの秘密

チーフデザイナー・Mark Adams インタビューファッションデザイナー・Marcel Ostertag インタビュー「ASTRA」「MANTA」「COMBO LIFE」最新モデルの魅力OPELと相性抜群のライフスタイル名品セレクションPART3  Just like an OPEL

注目のクリエイターが語るNEW OPELの魅力アンバサダーを務めるリバプールFC監督・ユルゲン・クロップ氏とOPELPART 4   ドイツから特報!元気なOPEL

「MOKKA」「CORSA-e」「GRANDLAND」現地試乗レポート詳報オペルCEO Uwe Hochgeschurtz氏インタビューPART 5   Republish of Historic car impression

革新的な挑戦を続けてきた自動車ブランドOPELの歴史

老舗自動車専門誌の編集者が語るOPELの魅力OPEL in Motorsports「CORSA」「ASTRA/KADETT」「VECTRA」「OMEGA」「SPEEDSTER」「GT」「MANTA」「CALIBRA」「ZAFIRA」PART6 「&OPEL」 Square

FUN collectionOPEL FUN in JapanOPEL Engineering HistoryLogo transition of OPELOPELディーラーの斬新なCIAmazonで購入する

www.amazon.co.jp/dp/4091042546

楽天ブックスで購入する

https://books.rakuten.co.jp/rb/16892406/?l-id=search-c-item-text-02

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みんなのコメント

5件
  • オペル…ヤナセがVWの輸入権を奪われて必死にオペル売りまくったのに品質悪くて故障ばかりでイメージ悪くして結局VWを販売再開。既存のオペルユーザーは見捨てられたという悲しい過去。
  • 国内メーカーも最初はそれw 偉大な先人が興した舞台に 金を払って上がったおこぼれが ほら金が欲しいんだろと 庶民に小出しする カオナシw。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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