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ポルシェ・タイカン vs ヒョンデ・アイオニック5 N 同予算の電動ドライバーズカー 新車か中古車か?(1)

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ポルシェ・タイカン vs ヒョンデ・アイオニック5 N 同予算の電動ドライバーズカー 新車か中古車か?(1)

新車の半額以下で取引される初期のタイカン

懐疑的な感情は理解できる。ポルシェとヒョンデが、同じ土俵に並ぶはずはないだろう。かたや、一生に一度は乗ってみたいと考えるような、スポーツカーブランドのワゴン。かたや、長い保証の付いた、賢明なベーシックブランドのハッチバックだ。

【画像】新車か中古車か? 電動ドライバーズカー ポルシェ・タイカン vs ヒョンデ・アイオニック5 N 全118枚

一方へ憧れを抱く人は、他方に同じ気持ちを抱くことはないと思う。この2台は、恐らく1つの視野には含まれない。しかし、思いもよらない接点がある。新車と中古車という違いはあるが、英国では同じ価格帯に含まれるという事実だ。

新車価格が上昇する一方で、中古車価格も変動が大きい。意外なブランドのクルマが、意外な値段で売られていたりする。

今回用意したポルシェ・タイカンの場合、登場したのは4年前。電動のドライバーズカーとして新基準を打ち立て、マイナーチェンジ後でも最高峰の能力を誇っている。

しかし、そんな話題性や実力とは裏腹に、販売は伸び悩んでいる。バッテリーEV全体に共通することとはいえるが。

現在は、初期に購入したオーナーが手放し始めるタイミングと重なり、英国の取引き価格は下降傾向。距離は多少伸びているかもしれないが、僅か数年前のタイカンが、4万ポンド(約768万円)前後で店頭に並んでいる。新車時の、半額以下といっていい。

同等の予算で選べる新車のアイオニック5 N

シルバーのタイカンは、シューティングブレークのスポーツツーリスモ。認定中古車の1年落ちの車両で、走行距離は1万6000kmに過ぎない。初代オーナーが支払った金額は、8万255ポンド以上なはず。オプションを追加するほど、見積もりは上昇する。

現在の売値は、6万5000ポンド(約1248万円)を切る。半額ではなく、安いわけでもないが、かなりの落差といえる。

この予算なら、2024年で1番エキサイティングな電気自動車、ヒョンデ・アイオニック5 Nの新車が手に入る。実は、価格以外の共通点もある。

後方へ伸びたルーフラインと、テールゲートの付いたボディで、ファミリーカーとして実用性は充分。優秀な電気モーターとサスペンションが、速さと安定の身のこなしを実現している。アイオニック5 Nも、電動のドライバーズカーだ。

筋肉質なボディラインに、4963mmの長さと1966mmの幅を持つタイカンだが、視覚的なインパクトでは、シャープな面構成のアイオニック 5へ及ばない。レッドという色も、影響していると思うけれど。

「N」モデルとして与えられた、レーシーなボディキットと21インチ・ホイールに、差し色のピンストライプ。孔雀のように華やかで、自ずと視線を集める。

一見するとコンパクトに見えるが、全長は4715mmあり、小さいわけではない。全幅は1940mmで、タイカンより26mmスリムなだけ。島国の狭い道では、気を使う幅といっていい。

その分、定員5名の車内は広い。内装の質感も、ヒョンデとしては高い。ポルシェの精巧さと上質さには、届かないとしても。

ドライバーとの一体感を巧みに醸成

動力性能では、アイオニック5 Nが優勢。2基の駆動用モーター合計での最高出力は、通常時が609ps。短時間だけなら、650psへブーストできる。最大トルクは78.3kg-mに達し、0-100km/h加速は驚きの3.5秒だ。

ステアリングホイールを握ってみれば、速さは数字以上。レスポンスはまさに電光石火で、笑いを堪えるのが難しいほど。

ステアリングホイール上のNボタンを押すと、8速ATを模した変速が仮想的に再現される。ギミックのように思えるかもしれないが、実際は唸るほど効果的。50km/h程度で8速に入れると、エンジンのように、電気モーターが苦しそうに回る。

バッテリーEVでありながら、ドライバーとの一体感を巧みに醸成している。合成のエンジン音は、余り好ましい印象ではないとしても。

他方、タイカンは安定の好印象。今回の車両は素のスポーツツーリスモだから、シングルモーターの最高出力は407psで、0-100km/h加速は5.4秒。一層鋭い走りがお望みなら、530psある中古のタイカン 4Sも、同程度の価格で見つかるはず。

タイカン最大の魅力は、優秀なシャシー。落ち着いた走りと、コミュニケーション力の高さは、ポルシェならではといっていい。スチールコイルのサスペンションでも、乗り心地はアイオニック5 Nより遥かにしなやかだ。

洗練という言葉が、ピッタリ当てはまる。エグゼクティブ・クラスのステーションワゴンで間違いない。

ポルシェ911へ通じる味わい 狂気の電気自動車

アダプティブダンパーを引き締めると、ポルシェ911へ通じる味わいも放つ。ステアリングホイールは適度に重く、反応は鋭く自然。タイトな姿勢制御で、機敏に回頭していく。ボディサイズや重さを感じさせないほど。

シングルモーターの後輪駆動だから、コーナーでのライン調整も自由度が高い。瞬間的に発生するトルクを活かし、スタンスを意のままに変えていける。ドライブモードを選ぶだけで、安楽な特性を簡単に呼び出すこともできる。

アイオニック5 Nにも各モードは用意されるが、選択項目は多すぎるかも。ダンパーとステアリング、リミテッドスリップ・デフ、モーターのトルク割合などを、任意にカスタマイズできる。

とはいえ、悩まずデフォルトのままで不満はない。シートの座面は、通常のアイオニック5より20mm低く、ボディに包まれた印象を抱ける。乗り心地も良い。

ドライブモードを引き上げると、狂気の電気自動車の側面が現れる。速度が増すほど、活き活きとした本性が顕になる。タイカンより155kg重い、2235kgの車重を巧みに覆い隠し、アイオニック5 Nはバレエダンサーのように身をこなす。

フロントタイヤのグリップ力は高く、姿勢制御は優秀。フラットに高速コーナーを駆け抜ける。ブレーキを引きずりながら侵入すれば、スタンス調整も可能。出口目がけて、パワー・オーバーステアに興じることも難しくない。

物理法則へ立ち向かう、電気的な制御が働いていることは間違いない。しかし、あくまでも自然だ。

ポルシェを差し置いて、ヒョンデを選ぶ日が来る?

ステアリングの感触は、称賛に値する。程度にクイックで、路面の感触をフィードバックで得られる。強力なブレーキは、制動力を調整しやすい。ギミックの8速ATも、楽しさを加算してくれる。

アイオニック5 Nは、タイカン・スポーツツーリスモと同じくらい運転しやすい。同時に、エネルギッシュで若々しい。シャシーバランスと操縦性の精度では届かないが、振り回す面白さで魅了する。

気持ちを鎮めて、2台を比較してみよう。今回のタイカン・スポーツツーリスモは、中古車とはいえ、まだ1年落ち。駆動用バッテリーなどの不具合が生じても、新車保証はしばらく効くから、高額な負担にはならないはず。

アイオニック5 Nは、新車だから信頼性や耐久性は未知数。だが通常のアイオニック5では、深刻な報告を聞いていない。それに、5年間の保証も付帯する。

優劣は付けにくい。どちらを選んでも、満たされるに違いない。ガソリンを燃やせなくなっても、クルマ好きは嘆く必要がないことを、証明する2台といえるだろう。

筆者なら、楽しさ優先でアイオニック5 Nを選ぶかも。ポルシェを差し置いて、ヒョンデを選ぶ日が来るなんて、自分でも想像していなかった。

アイオニック5 Nとタイカン・スポーツツーリスモ 2台のスペック

ヒョンデ・アイオニック5 N(英国仕様)

英国価格:6万5000ポンド(約1248万円)
全長:4715mm
全幅:1940mm
全高:1585mm
最高速度:259km/h
0-100km/h加速:3.4秒
航続距離:447km
電費:4.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2235kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:84.0kWh
急速充電能力:350kW
最高出力:650ps(オーバーブースト時)
最大トルク:78.3kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

ポルシェ・タイカン・スポーツツーリスモ(2023年式/英国仕様)

英国価格:8万5000ポンド(約1632万円)以下
全長:4963mm
全幅:1966mm
全高:1390mm
最高速度:230km/h
0-100km/h加速:5.4秒
航続距離:342km
電費:4.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2080kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:79.2kWh
最高出力:407ps
最大トルク:62.1kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

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みんなのコメント

6件
  • cam********
    ポルシェと韓国車比べてどっち選ぶ?
    天と地程の差があるブランドだぞ。
    ポルシェに乗ろうと思ってるユーザーは韓国車などと比べる事など無い。
    何処が企んでるのか分からんが、車だけでは無くエンタメに最近では家具まで韓国を刷り込む記事が多過ぎる。
  • hir********
    ここまでやると滑稽
    ウケ狙いでワザとやってるのかと呆れるレベル
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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