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日独米のハイパフォーマンスカー対決! BMW M5はGT-RとCTS-Vの魅力を兼備した究極モデル!? 【Playback GENROQ 2018】

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日独米のハイパフォーマンスカー対決! BMW M5はGT-RとCTS-Vの魅力を兼備した究極モデル!? 【Playback GENROQ 2018】

BMW M5 × NISSAN GT-R × CADILLAC CTS-V

BMW M5 × ニッサン GT-R × キャデラック CTS-V

日独米のハイパフォーマンスカー対決! BMW M5はGT-RとCTS-Vの魅力を兼備した究極モデル!? 【Playback GENROQ 2018】

主要自動車生産国の威信をかけた戦い

AWDに変貌を遂げ、デビューを果たした新型BMW M5。世界を代表するハイパフォーマンスセダンである。挑むは649psの大排気量FR、キャデラックCTS-Vと、日本を代表するスーパースポーツ日産GT-R。日・独・米ハイパフォーマンス選手権の幕開けだ。

「持てる力を伝え抜き使い切らせることでひとつの境地を開いたGT-R」

クルマの馬力が500psという大台を次々と超え始めたのは21世紀に入ってからの話。今やそれはスポーツカーどころかサルーンやSUVにおいても普通のこととなった。言ってみればクルマの魅力の大きなところを占めるものが、数字上は平滑化してきた。そんな中で自らの個性を示すことは一筋縄ではいかない。

たとえばGT-Rは、登場時からそのパワーを声高に唱えたことはない。数字だけを追えば自らを上回るモデルが存在していたことも理由のひとつだろう。でも日産は、凝りに凝った4WDドライブトレインを介して持てる力を際の際まで伝え抜き使い切らせることでひとつの境地を開いた。そして、その成果を数値化するにあたりニュルブルクリンクのラップタイムを積極的に掲示した。

「GT-Rは持てる力を放って楽しめるフィールドが大きく広がった」

登場から10年以上が経つGT-Rは、そのレコードトラッカーの役割をNISMOに託し、基準車の側は公道適性を高めた足まわりのセットアップを施した。パワーはNISMOよりやや控えめながら570psに達するが、相変わらずそこは強く唱えない。V8ながら同じ3.8リッターのキャパシティでフェラーリやマクラーレンが700ps台に乗せていることを鑑みれば、その数字に特段のインパクトはないのは確かだ。

だが、実際に乗ると、漏らさず路面に押し付けられたその570psはもうとんでもなく速い。そして全量サーキットスペックというコンセプトを後退させたとも揶揄される基準車の柔軟なサスが、公道の目まぐるしく変わる路面を確実に捉え続ける上で按配がいいことにも気づかされる。トランスミッションの変速マナーはさすがに古さも感じるが、GT-Rは持てる力を放って楽しめるフィールドが大きく広がったことで、再び輝きを取り戻したといえる。

「CTS-Vは唯一無二の個性を持つモデルと言える」

搭載されるエンジンはスモールブロックOHV。それだけでキャデラックCTS-Vは唯一無二の個性を持つモデルと言うことができる。しかもそれはC7コルベットZ06が搭載するLT4であり、パワーは同級サルーンの中でもぶっちぎりの649ps、6.2リッターのスーパーチャージドと聞けば855Nmのトルクはちょっと控えめにすら聞こえるから求めるこちらも随分数字には麻痺してしまっているのだろう。

ボンネットのバルジやスクープには凄みを感じるも、そもそも個性の強いデザインに紛れてか、CTS-Vの佇まいはこれみよがしではない。キャデラックだというのに、どちらかといえば欧州的なアンダーステートメント感を覚えるほどだ。

「アクセルを床まで踏みつけた際に始まる加速は尋常ではない」

ただし、走りは明確にアメリカンマッスルの血筋である。アクセルを床まで踏みつけた際に始まる加速は尋常ではない。ドスの利いたエキゾーストとスーパーチャージャーの金属的なサウンドとが入り混じり、キャビンは直撃した台風の中にいるような不穏な音環境に包まれる。電子制御デバイスは微妙にパワーを絞り発散を防ぎながらも、テールブレイクをある程度許容するセットアップだ。強烈な加速力とギリギリの電子制御介入というアメとムチでドライバーの自制を促しつつコントロールを愉しませる。自分たちに期待されていることがよくわかっているからこそ出来る、大人の見識をもったクルマといえるだろう。

「大人びた狂気と突き詰めた運動能力を兼ね備えたM5」

そしてM5である。このクルマはCTS-Vのアンダーステートメント性やその奥に潜む大人びた狂気と、GT-Rの徹底的に突き詰めた伝達効率とそれを基とした異常な運動能力の、その両方を持ち合わせている。600psはBMWのエンジンテクノロジーを鑑みれば強く訴求するほどではないが、そのぶん豊かで上品な低回転域のトルクも魅力のひとつだし、パワーのドロップ感を抑えながらトップエンドまでスキッと吹け上がるフィーリングの軽さも特筆点として挙げられる。

そして乗ってみればまず伝わってくるのは駆動伝達の緻密さが繰り出す吸い込まれるような加速だ。いたずらに演出を加えず、可能な限り品よく滑らかに、そしてもれなく路面に伝わる600psは、結果的に他の2台に勝る体感的な速さを生み出している。

「M5は現在のスポーツサルーンの究極像だ」

なんとあらば前輪側の駆動伝達をフリーにし、FRとして愉しむことが出来る。恐らくは従来からのユーザーに対する回答でもあるのだろう、ちょっと強引なまでの駆動マネジメントをも実現したM5の電子制御は、任意で設定するスポーツモードでの動きが実に自然に的確に処理されている。半ばドリフト状態まで積極的にリヤステアを使わせながらもスピンモードには至らせない、そういうレベルで600psを絞るわけだが、おせっかいな制御に強引に動きを抑制されたような興ざめ感はなく、綺麗に駆動力が繋がっているかのように振る舞ってくれるあたりは、クルマに乗せられてる的な過保護感を可能な限り廃したいというエンジニア側の冷静な情熱が感じられる。そして、然るべき走りをクローズドコースで愉しんでいても、8速トルコンATがそれを妨げることは一切ない。ここでも従来からのMユーザーが抱く不安をしっかり認識しているがゆえの完成度の高さが伺える。

しかしM5の最大の特徴は、これほどの火力や巧みな電子制御を黒子として控えさせる通常時の上質な振る舞いにあるだろう。その乗り心地は時に標準車よりもまろやかで、アルピナのようにしなやかなフィードバックさえ覗かせることがある。0~600psという途方もないダイナミックレンジをどこからでも、いかなる場面でもきちんと使いこなさせる。M5はそれを実現した現在のスポーツサルーンの究極像だ。

REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

【SPECIFICATIONS】

BMW M5

ボディスペック:全長4965 全幅1905 全高1480mm
ホイールベース:2980mm
車両重量:1950kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:4394cc
最高出力:441kW(600ps)/6000rpm
最大トルク:750Nm(76.5kgm)/1800-5600rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前275/35ZR20 後285/35ZR20
燃料消費率(JC08モード):9.4km/L
車両本体価格:1703万円

キャデラック CTS-V

ボディスペック:全長5040 全幅1870 全高1465mm
ホイールベース:2910mm
車両重量:1910kg
エンジンタイプ:V型8気筒OHV+スーパーチャージャー
総排気量:6156cc
最高出力:477kW(649ps)/6400rpm
最大トルク:855Nm(87.2kgm)/3600rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前265/35ZR19 後295/30ZR19
燃料消費率(JC08モード):-km/L
車両本体価格:1475万円

ニッサン GT-R プレミアムエディション

ボディスペック:全長4710 全幅1895 全高1370mm
ホイールベース:2780mm
車両重量:1770kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3799cc
最高出力:419kW(570ps)/6800rpm
最大トルク:637Nm(65.0kgm)/3300-5800rpm
トランスミッション:6速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前255/40ZRF20 後285/35ZRF20
燃料消費率(JC08モード):8.6km/L
車両本体価格:1170万5040円

※GENROQ 2018年 8月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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みんなのコメント

2件
  • 友人のR35に乗った時のフル加速の衝撃は忘れられない
  • R35はそろそろ休ませてやろうよ…
    現行のスーパースポーツからすればエンジンも駆動系も運動性能も陳腐化著しいのに、無理やり誉めようとしてるのが透けて見えて、どうしようもなく哀れです…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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