FIAの国際モータースポーツ競技規則が一部変更され、スチュワードの決定に異議を申し立てる際の期限がこれまでの14日間から96時間に短縮されると共に、再審請求が有料化されることになった。
motorsport.comが2023年の11月に報じた通り、FIAは各レース後に結果や裁定などに対する再審請求を行なえる期間を短縮。さらに有料化されることになった。この新しい競技規則は、FIA公認のレース全てに適用されることになるが、必然的にF1で脚光を浴びる場合が多い。
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2023年シーズンには、アストンマーチンがサウジアラビアGPで、フェラーリがオーストラリアGPで、マクラーレンがオーストリアGPで、そしてハースはアメリカGPでそれぞれ異議申し立てを行なった。
2023年までは、競技終了から14日以内であれば、再審を請求することができた。しかし今後はこれが96時間に短縮されることになる。なおスチュワードの裁量により、この期限が24時間延長される可能性は残されている。
新しい国際モータースポーツ競技規則には、次のように記載されている。
「再審請求を提出できる期間は、スチュワードが96時間の期限を遵守するのが不可能であると判断した場合を除き、当該競技終了から96時間後に満了する。なおスチュワードは、この期限を24時間以内に限り延長することができる」
なおこれまでは再審請求の申し立てに関する保証金は定められていなかったが、今後チームは再審請求を行なう際には保証金を支払う必要があり、訴えが失敗した場合には、その保証金は返却されないことになる。
新しい競技規則には、再審請求を行なう際には「保証金を併せて支払う必要があり、その額は国際シリーズを管轄するASN、FIA管轄の選手権やカップ、トロフィー、チャレンジ、シリーズによって毎年設定される」とされ、されに次のように付け加えられている。
「この保証金は、競技規則または競技会の附則に明記されていなければならない。この保証金は公平性を保つために、別段の必要がない限り、再審請求の権利が支持された場合にのみ返還される」
また、競技会における罰金の最高額も引き上げられることになった。以前の上限は、いずれのカテゴリーも25万ユーロ(約4000万円)だったが、今後はF1が100万ユーロ(約1億6000万円)、その他のFIA世界選手権が75万ユーロ(約1億2000万円)、他のFIA管轄の選手権、カップ、トロフィー、チャレンジ、シリーズは50万ユーロ(約8000万円)と定められた。
なおFIAのあらゆるイベントで、花火や発煙筒を無許可で使用することを取り締まることができるよう、規則が変更された。禁止される項目の中に「FIAによる書面の許可がない場合、参加者によるFIA競技会での花火製品の所持および/または使用」という一文が明記されることになった。
そしてFIAの司法および懲戒に関する規則も変更され、再審請求の手順も調整された。
これまでも競技者は、イベント終了直後に異議申し立ての意思を示し、そこから96時間以内に異議申し立てを実際に行なうかどうかを選択することができた。これは今後も変わらないが、たとえ異議申し立てを行なわないことを決定したとしても、F1の場合では6000ユーロ(約95万円)の保証金が返却されないこととなる。
改訂版の規則には、次のように記されている。
「異議申し立ての際の保証金は、申し立てを行なった当事者が異議申し立ての意図をスチュワードに通達した瞬間に支払い期日が定められ、異議申し立ての通知を行なう際に支払うこととなる。たとえ異議申し立てを宣言した当事者が、異議の意思を取り下げたとしても、保証金は支払われるべきである」
さらにFIAは、異議申し立ての意図が通知されたものの、実際に申し立てが行なわれなかった場合のことについても明文化。たとえば、あるドライバーが決勝前に異議申し立ての意図を通知したことで、ペナルティなどの施行が一旦保留され、元のグリッド位置からスタートしたことでアドバンテージを得た可能性がある場合など、追加で調査を行なう権利があるという。つまり、後にペナルティが科される可能性があるということだ。
これについては、次のように記されている。
「異議申し立てを行なう意思を通知したことで何らかの利益を受けた場合、その異議申し立てを撤回した要求については、その後の審理で検討されるべきだ」
「その後ICA(国際控訴裁判所)が、異議申し立ての意思を撤回したことに対する結果と影響について、判断を下すことになる」
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