■念願の都内高速「南北軸」工事のゆくえは
都心郊外をぐるっと環状に連絡する高速道路「東京外かく環状道路(外環)」の未開通部、「関越道~中央道~東名高速」の区間で工事が続いています。
いったい工事はどこまで進展しているのでしょうか。それとも4年前に起きた「陥没事故」から止まったままなのでしょうか。
【画像】えっ…!? これが「外環道 関越~東名」工事の「最新の工事状況」です
東京から各方面へ放射状に伸びる高速道路は、東関東道や首都高湾岸線、常磐道、東北道、関越道、中央道、東名高速などたくさんあります。
しかしこの放射高速道路を互いにつなぐ高速道路が無いと、いったん都心に出てこないと相互乗り換えができません。この役目を都心郊外で果たすのが外環道です。
外環道は1992年の「和光IC~三郷JCT」という埼玉区間が最初に開通しました。1年半後には大泉JCTまで延伸し、とりあえず「関越道・東北道・常磐道」がむすばれ、都心の交通集中が一部分散されることとなりました。
そこからがなかなか進みませんでしたが、2018年に高谷JCTまでが一気に開通し、千葉区間も完成。現在に至ります。
残るは西側の東京区間で、2012年に着工。用地取得を必要としない「大深度地下」トンネルを採用し、本線シールドマシンは上下線分で北側・南側同時施工の「4基体制」となり、順調に完成へ向かうと思われました。
しかし、2020年10月に、調布市内の地上で陥没が発生。工事は完全ストップし、開通見込みは不透明になりました。
さて、ここまでは全国報道で大きく取り上げられた出来事です。では、それから早くも4年が経過しつつあるなか、工事はどうなっているのでしょうか。止まったままなのでしょうか。
■工事って本当に進んでいるの?今何してるの?
まず、工事が一部再開したのは2022年2月のこと。北側の本線シールドマシンが南へ向かって掘削をはじめます。途中で「シールドの刃が仮設構造物にあたって欠ける」という事故があって一時停止していましたが、現在は順調に進んでいます。
北側の上下線2基のシールドマシンの現在位置(9月13日時点)ですが、南行き車線を担当するマシン「グリルド」は大泉から「3042m」の位置まで達し、石神井台2丁目の地下にいます。いっぽう北行き車線の「カラッキィー」はもう少し進んで、大泉から「3424m」の位置まで達し、上石神井4丁目まで来ました。
これだけではなく、IC・JCTで地下本線と地上をつなぐ「ランプ部のトンネル」のシールドマシンも、大泉・中央・東名の3か所で動いています。掘削が終わったのは大泉Fランプ、中央A・Hランプ。動いているのは中央Bランプ、東名A・Hランプです。
ところで、陥没現場付近を掘進していた「南側本線シールドマシン」は、どうなっているのでしょうか。
陥没したあと、ここで掘削再開するには、まず「地盤改良」をおこない、ふたたび陥没することのない状態にしなければなりません。現在は、その地盤改良の作業の真っ最中です。
地盤改良といっても、よくある「土を掘り返してセメントを混ぜて締め固める」方法は使えません。トンネルは大深度地下にあるため、掘り返すにはあまりにも深くて土量が多いからです。
そのかわりに「高圧噴射攪拌工法」が採用されています。直径約4m、長さ約40mのパイプを地中へ打ち込み、下から土とセメント類を混ぜてカチカチの「改良体」に仕上げていくものです。
現場を地盤改良するのに必要な改良体は、全部で220本。この作業は2023年8月からはじまり、2024年6月時点で、概ね5分の1が完了しています。このスピードだと、まだまだ数年はかかりそうです。あわせて、地盤改良を行うエリアの家屋解体作業も進められています。
※ ※ ※
関越~東名の本線トンネルは約16km。そのうち7kmあまりが掘進済み(北から3kmで掘進中、南から4kmで停止中)。今は、北側からのみ掘進している状況です。
「まだまだ半分以上残っていて、なおかつ掘進スピードは当初の半分」という感じで、完成めどが立つにはほど遠い段階ではあります。しかし、陥没の影響で「完全停止」しているわけではなく、進捗は確実にあります。あとは「南側シールドマシン」の掘進再開、つまり陥没部の地盤改良の完了の日を信じて、地道に、安全に前へ進めていくのみということです。
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