2020年6月17日に、上級SUVの主力車種とされる新型ハリアーが発売開始予定となっている。
トヨタは4月13日に価格などを除いた概要を発表して、5月15日(地域によっては16日)になると、販売店では各グレードの装備や価格を公表して予約受注も開始した。5月中旬以降は、実質的に販売されている状態だ。
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新型ハリアーの基本的な性格とボディサイズは従来型を踏襲する。それでもエンジン、ハイブリッドシステム、プラットフォームはRAV4と同様のタイプに刷新され、走行性能と乗り心地を向上させる。
安全面を中心に装備も進化するから、SUVが人気を高めた現状を考えると、注目の新型車になることは間違いない。
影響力抜群と思われる新型ハリアー登場により影響を受けるクルマ、受けないクルマについて見ていく。
文:渡辺陽一郎/写真:TOYOTA、MAZDA、NISSAN、JEEP、LAND ROVER、JAGUAR、AUDI、BMW、MERCEDES-BENZ、VW、CITROËN、DS、PEUGEOT、FIAT、VOLVO
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全店全車扱いで新型ハリアーに乗り替えやすくなった
2020年5月15日から事前予約を開始した新型ハリアー。正式デビュー予定の6月17日までにかなりのバックオーダーを抱えるのは必至の状況
従来型ハリアーの人気が高いことも、新型に良い影響を与える。2019年度(2019年4月から2020年3月)には、1カ月平均で約2600台を登録した。
この販売実績はトヨタ車ならヴェルファイア、SUVではフォレスターと同等で、従来型の登場が2013年と古いことを考えれば立派な売れ行きだ。新型の登場を待っていたユーザーも多く、これも販売を押し上げる。
そこで気になるのは、新型ハリアーがほかの車種に与える影響だ。その相手はトヨタの上級車種と、ハリアーと同じ価格帯に属するSUVに大別される。
ちなみに2019年度に国内で登録された小型/普通車の内、47%をトヨタ車が占めた。今は軽自動車を除くと新車市場の半数がトヨタ車だから、競争相手も身内になる。
2013年デビューの"旧型"ハリアーはモデル最末期とは思えないほどコンスタントに販売をマーク。モデルライフが長かったので、買い替え需要も見込める
しかも2020年5月から、全国のトヨタ系販売店がトヨタの全車を扱う体制に移行した。
従来はハリアーを扱うのはトヨペット店のみだったが(東京地区は2019年4月に全店/全車併売に移行していた)、今はトヨタ店/トヨタカローラ店/ネッツトヨタ店でも購入できる。
従ってトヨペット店以外のトヨタ車ユーザーも、新型ハリアーに乗り替えやすくなった。
悲喜こもごもの販売店
トヨタ店に尋ねると、「新型ハリアーを扱うようになったことで、クラウンのお客様が興味を示している。現行クラウンは、従来型に比べてスポーティ感覚を強めた。そのために新型ハリアーの方が豪華で好みに合うという意見も聞かれる」とコメントした。
ネッツトヨタ店では、「子育て中にミニバンのヴォクシーやヴェルファイアを使っていたお客様が、新型ハリアーに乗り替える可能性が高い。人気車だから期待している」と述べた。
そうなるとトヨペット店は不愉快ではないのか。
若者に人気のヴォクシーも新型ハリアーの影響を大きく受けている1台。残価設定ローンを利用することで、新型ハリアーも充分に競合車となる
ハリアーは従来から人気が高く、なおかつ高価格車だから、トヨペット店の専売だった時は一種の既得権益であった。ほかの販売系列も扱うのは悔しいだろう。そこを尋ねると以下のようにコメントした。
「確かに新型ハリアーをほかの販売系列が扱うのはうれしくないが、トヨペット店も従来は販売していなかったクラウン、カローラ、ヤリスなどを売っている。お互い様だろう。また新型ハリアーはフォルクスワーゲンゴルフなどの輸入車、CX-5など他メーカーのSUVから乗り替えるお客様も多い。新規需要の開拓にも成功している」
以上のように身内のトヨタ車については、クラウン、ヴェルファイア、ヴォクシーなどのユーザーが新型ハリアーへ乗り替えることになりそうだ。生産を終えたマークXもそこに含まれる。
元々ハリアーはVWゴルフをはじめとする500万円以下の輸入車からの買い替え客も多く、販社の新規ユーザーの獲得に大きく貢献してきたが新型も同様だろう
新型ハリアーとRAV4は共存可能!?
新型ハリアーとエンジンやプラットフォームを共通化するRAV4もライバル車に入る。従来型のRAV4と、これをベースにしたヴァンガードなどに乗っているユーザーは、新車に乗り替えようとした時に新型ハリアーとRAV4で迷うことも考えられる。
ただし新型ハリアーとRAV4を同じ位置付けのグレード同士で比べると、前者の価格が約35万円高い。新型ハリアーはRAV4よりも内外装が上質で、装備も少し充実するためだ。
2019年4月に日本で復活したRAV4は大人気。新型ハリアーはRAV4と主要コンポーネントを共用するが、キャラクターが違うため共存可能だろう
従って一般的には価格を抑えたRAV4が割安に感じるが、前輪駆動の2WDを選びにくい。RAV4では低価格グレードのXを除くと、駆動方式は4WDに限られる。
その点で新型ハリアーは、全グレードに2WDと4WDを用意した。4WD同士では新型ハリアーが35万円高くても、新型ハリアーの2WDとRAV4の4WDという比較なら、価格差は約15万円に縮まる。
質感を重視するなら2WDの新型ハリアー、悪路走破力なら4WDのRAV4という選び分けも可能だ。
このように見ると、新型ハリアーとRAV4は基本メカニズムを共通化しながら、共存も可能になりそうだ。互いに喰い合う面はあるが、車両の性格や雰囲気、ユーザーニーズが異なる。
新型ハリアーはプラットフォーム、パワートレーンなどをRAV4と共用するが、明らかにひとクラス上の豪華さと質感を持っている
トヨタの上級車が最も影響を受ける
むしろ販売店のコメントにあったとおり、豪華さで共通する「新型ハリアーVSアルファード&ヴェルファイアVSクラウン」の競争が成立しそうだ。
アルファード&ヴェルファイアの車内は、新型ハリアーに比べて格段に広いが、すべてのユーザーが多人数で乗車したり自転車を積むわけではない。
常時3列シートを使う必要がなく、2列目の余裕を手に入れるためにアルファード/ヴェルファイアを購入しているユーザーにとっても新型ハリアーは魅力的
4名乗車が快適だから、アルファード&ヴェルファイアを選ぶ場合もある。そのようなユーザーなら、新型ハリアーでも満足できるだろう。
重要なのは外観の存在感、1/2列目シートの豪華さ、乗り心地などだから、トヨタの上級車種はすべて新型ハリアーの影響を受ける。
クラウンはアルファード/ヴェルファイアに加え、新型ハリアーという強い競合車が出現することになる。セダンでは独り勝ち状態も安泰ではない
SUVが主力のレクサス車への影響
今はレクサスもSUVが豊富だ。コンパクトなUX、ミドルサイズのNX、上級のRX、オフロードモデルのLXがある。この内、中心的なNXは、プラットフォームが従来型ハリアーと共通だ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値も等しいが、NXの発売は2014年だから設計が古い。
レクサスの屋台骨であるNXは旧型ハリアーと主要コンポーネントを共用するSUV。設計が古いこともあり、ハリアーにユーザーが流れる可能性もある
ブランド性に固執しなければ、NXの購入を考えていたユーザーが、エンジンやプラットフォームの世代が新しい新型ハリアーを選ぶことも考えられる。
内外装の質感でも新型ハリアーがNXに見劣りすることはなく、身内同士の競争はレクサスも巻き込む。
レクサス車とトヨタ車の最大の違いはインテリアにあり、レクサスは素材、デザインへのこだわりが半端ではない。しかし新型ハリアーの質感も負けていない
新型ハリアーの他メーカーへの影響
他メーカーのライバル車はどうか。新型ハリアーの価格を2WDで見ると、2Lノーマルエンジンを搭載する中級のGが341万円、上級のZは393万円だ。2.5Lハイブリッドは、Gが400万円でZは452万円になる。
この価格と最も吊り合うライバル車はCX-8だ。2.2Lクリーンディーゼルターボを搭載する2WDのXDプロアクティブSパッケージが399万9600円、XD・Lパッケージは443万4100円だから、新型ハリアーハイブリッドのG/Zとほぼ同額になる。
ボディサイズは新型ハリアーの全長が4740mm、CX-8は4900mmだからひとまわり大きく、荷室に3列目のシートも装着する。その代わり新型ハリアーはハイブリッドシステムを搭載して内外装の質も高い。価格は同等だが、車両の性格は異なる。
CX-8はトヨタ車以外のSUVで最も価格的にバッティングすると思われるが、CX-8はひとクラス上かつ3列ということでキャラクターが違う
トヨタらしい隙のないグレード構成
このように新型ハリアーでは、SUV同士で真っ向から対抗するライバル車が意外に少ない。エンジンの排気量は、ノーマルタイプが2L、ハイブリッドは2.5Lだから、ノーマルタイプはメカニズムがシンプルな上に排気量も小さい。
そこで価格は、2WDの場合でハイブリッドに比べると59万円安くなった。
ノーマルエンジンで価格が最も安い2WD・Sは299万円に抑えられ、中級のGも341万円だ。Sの価格はCX-5・20Sプロアクティブの285万4500円、エクストレイル20Xiの311万9600円にも近い。
新型ハリアーの価格設定は、現行のエクストレイルのユーザーにとっても非常に魅力的に映るハズ。トヨタのしたたかさ、隙のなさを痛感する
以上のように新型ハリアーの価格は、ノーマルエンジンは2Lの搭載で安く抑え、ハイブリッドは価格が高い代わりに、動力性能と燃費を両方ともに向上させた。
ひとつの車種で、性能や機能と価格の幅を広げ、さまざまなユーザーに対応している。しかも微妙にライバル同士の競争を避けた。RAV4との役割分担も含めて、トヨタらしい隙のないグレード構成を築いている。
新型ハリアーは、2Lターボが消滅。すべてのモデルにFFと4WDを設定している。表のとおり4WDは2Lガソリンで20万円高、2.5Lハイブリッドで22万円高
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みんなのコメント
トヨタのライバルはトヨタだけらしいです。
欲しいタイミングで、良いのがあれば買うだけで、今のハリアーが常に人気な訳じゃ無い。