■姿を変えながらニーズに対応する「通い箱」とは
トヨタは2023年10月17日、第1回「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023:JMS2023)」(一般公開:10月28日から11月5日)において世界初公開するコンセプトカー「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」を公開しました。
カヨイバコはビジネス用途からプライベートまで多用途に使えるハコ型モビリティですが、多彩な使い方のひとつとして「bBコンセプト」の名が提案され、注目を集めています。
【画像】めちゃカッコいい! トヨタ新型「bB」を画像で見る(50枚以上)
KAYOIBAKO(カヨイバコ)は箱型ボディを持つコンパクトなバッテリーEV(BEV:電気自動車)コンセプトカーです。
トヨタでは「“好きなときに・好きな場所で・好きなことができる”モビリティの未来を実現するコンセプトモデル」だと説明します。
カヨイバコの車名は、拠点間を行き来しながら部品や製品を安全かつ効率的に運ぶ「通い箱(通函)」に由来します。
適切なサイズでムダがなく、箱の中敷きを生産現場ごとに変えることで様々なニーズに対応するさまを表しているといい、その考え方をコンセプトに織り込みながら、これからのモビリティのあり方を表現しています。
トヨタではそんなカヨイバコのイメージ画像を複数公開し、多様な活用法について提案しています。
ビジネス用途としては、排気ガスの出ない特性を生かして直接工場内に乗り入れ、仕分けラインからロボットを介して荷物を直接積み込んでいるシーンや、小口配送と思われるシーンを紹介。
一方のプライベート用途では、オフロードタイヤやルーフキャリアなどを備えた「アウトドア仕様」にカスタマイズされたカヨイバコが見られます。
湖畔でカヌーやキャンプを楽しむシーンや、屋根にスノーボードなどを積み込んだカヨイバコが雪原に乗り入れているシーンなど、遊びの道具として大活躍していることがうかがえます。
そしてもうひとつのプライベートシーンとして注目されるのが、夜の都会に置かれた黒いカヨイバコです。
こちらはローダウンとワイドタイヤ、大径ホイールを組み合わせた“ワル”っぽいバージョン。
メッシュタイプのホイールのすき間からは赤いブレーキキャリパーが見えるなど、細部までカスタムされていました。
さらにヘッドライトとともに、フロント中央部には「bB+ CONCEPT」の文字が点灯していることが確認できます。
そして懐かしい「bB(ビービー)」の車名に反応する人も少なくないはずです。
■懐かしの車名「bB(ビービー)」が復活した!
bBとは、トヨタが2000年から2016年まで2世代にわたり発売していたコンパクトハイトワゴンの車名です。
コンパクトカー「ヴィッツ」のパワートレインやプラットフォームをベースに、プレーンな箱型ボディを組み合わせた個性的なモデルでした。
初代bBは、2000年2月の正式発売直前の1月に開催されたカスタムカーイベント「東京オートサロン」で、人気カスタムメーカーにカスタマイズを依頼したモデルを一堂に出展し、話題を呼んでいます。
また、エアロパーツを装着し迫力を増したカスタムグレードをメインに訴求するなど、若いユーザーを主なターゲットに見据えた戦略で、デビュー早々から支持を集めました。
今回公開されたカヨイバコ“bB+ CONCEPT”の姿は、まさにその初代bBをカスタマイズした雰囲気を思い起させるものです。
そして画像には、スタイリッシュな車いすの姿も映ります。
トヨタではカヨイバコのプライベートユースについて、次のように紹介しています。
「一人ひとりの趣味嗜好に応じたカスタマイズによって、オンリーワンのモビリティに進化。
『こう使いたい』『こんな生活スタイルを送りたい』という多様な思いに応えるのはもちろん、例えば、車いすを利用される方でも乗り込みやすく、運転席に移動しやすい設計にするなど、“移動の自由”の提供にも貢献します」
カヨイバコのボディサイズは全長3990mm×全幅1790mm×全高1855mm、ホイールベース2800mm。
詳細な仕様は不明ですが、公開された画像では1名乗りが基本パッケージのようで、助手席や後席は見当たりません。
運転席側にはドアがひとつですが、反対側はヒンジ式ドアとスライドドアが組み合わされ、中央部の柱がないピラーレス構造により乗降性が高められています。
小さなスペースで済むバッテリーEV用パワートレインの特性を生かし、ドライバーの乗車スペースを極限まで前方に配し、全長4m級のコンパクトサイズながら室内長3127mmを確保しています(運転席側は2141mm)。
※ ※ ※
カヨイバコが出展される、JMS2023トヨタブースの出展テーマは「クルマの未来を変えていこう-Find Your Future」。
音楽やダンスなど、会場全体で作るステージ演出のほか、モビリティを好みの仕様にカスタマイズできる体験などのコンテンツで、未来のモビリティ社会の生活を体験できる仕掛けが用意されます。
ユーザーの使い方に応じて多様な変化をみせるカヨイバコの姿は、トヨタブースが提案するコンセプトを象徴する存在となりそうです。
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