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世界展開 米フィスカー、新型EV「オーシャン」欧州導入 自社工場を持たないビジネスモデルとは

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世界展開 米フィスカー、新型EV「オーシャン」欧州導入 自社工場を持たないビジネスモデルとは

オーストリアで年末から生産開始

米国の自動車メーカーであるフィスカーは、新型SUVのオーシャンを欧州市場に導入し、2月28日から3月3日までバルセロナで開催されるモバイル・ワールド・コングレスで一般公開する予定だ。価格は3万4990ポンド(約545万円)からとなる見込み。

【画像】フィスカー・オーシャン【ライバルの米国発EVと写真で比較】 全94枚

欧州仕様のオーシャンは、オーストリア・グラーツのマグナ・シュタイヤー社で生産され、2023年に納車を開始する予定となっている。フィスカーは最近、ドイツのミュンヘンに欧州部門を開設し、同市場での年間販売台数を約6万台と予測している。

ヘンリック・フィスカーCEOは次のように述べている。

「フィスカー・オーシャンをスペインで発表し、パフォーマンス、価値、テクノロジーのユニークな組み合わせを欧州のメディアとお客様に紹介できることは、これ以上ない喜びです。特に、オーシャンのトップクラスの品質を公開するのが楽しみです」

「欧州は当社にとって不可欠で、オーストリアにあるカーボン・ニュートラルな工場での11月の生産開始を予定しています。世界で最も持続可能なクルマを作り、今年中に欧州で納車を開始することを目指します。 最終的には、同地域で年間6万台の販売を見込んでいます」

オーシャンは、競争力のある性能、多くの先進技術、最大560kmの航続距離を持ち、アウディQ4 eトロンやBMW iX3に対抗すると期待されている。また、衝突試験とホモロゲーションのため、パイロット生産も実施される。

サステナビリティ強調 航続航続560km以上?

デザイン面では、2019年に初めて公開されたコンセプトとほぼ変わらず、フィスカーは「空力的な電動ハッチバック」ではなく、「真のSUV」になるとしている。路上での存在感を強調するスリムなライト、ショートオーバーハング、ワイドなスタンスが特徴で、今後登場するであろう新モデルのデザインの方向性も見えてくる。

5人乗りで、インテリアには再生漁網、古着、古ゴムからなる「完全ヴィーガン」な素材を使用し、サステナビリティに取り組む姿勢を見せている。フィスカーは、「世界で最もサステナブルなEV」と主張する。

また、すべての窓を下げ、ルーフを格納することでオープンカー風の走りを実現する「カリフォルニア」モード、後席乗員が車内の各種機能を操作できる「リモ」モード、停車中に縦向きから横向きに切り替え可能な17.1インチの回転式インフォテインメント・タッチスクリーンなどを搭載する。

欧州仕様のグレードは3種類。「スポーツ」はフロントアクスルに最高出力279psのモーターを搭載し、0-97km/h加速は6.6秒、「ウルトラ」は前後アクスルにモーターを搭載して出力を547psに高め、0-97km/h加速は3.9秒を達成。さらに、最上級の「エクストリーム」では558psに強化され、0-97km/h加速も3.6秒に短縮される。

走行モードは「アース」と「ファン」を全車標準で設定。上級グレードのウルトラとエクストリームには性能を高める「ハイパー」モードが追加され、後者には専用の「オフロード」モードも用意されている。

バッテリー容量は未確認だが、航続距離は仕様によって400~560km程度になるとされている。これは米国のEPAテストサイクルに基づくもので、欧州で使用されているWLTPサイクルよりも航続距離が短くなることが多く、欧州発売時には数値が伸びる可能性がある。

充電能力についてもまだ発表されていないが、オーシャンに搭載されたソーラーパネル・ルーフは、理想的な条件下であれば年間最大3200km分の電力を補える可能性があるという。

ウルトラとエクストリームモデルには、中国のCATL社が供給するニッケル・マンガン・コバルト(NMC)を用いたバッテリーが採用されており、フィスカーによると「クラストップの航続距離とパフォーマンス」を実現するとのことだ。

体験型店舗を中心とした販売

ヘンリック・フィスカーCEOはAUTOCARの取材に対し、バッテリーとパワートレインは「今年選定した」ものであり、オーシャンの欧州市場投入を少し前に控えた段階だったと述べている。その理由は、「自動車業界では、車両開発に4年ほどかかるのが一般的なサイクルなので、(消費者が)購入するときには2年半から3年前の技術を使用している」ためだという。

「それを、2年半という短い開発期間に変えようとしているのです。その秘訣は、素晴らしいエンジニアリングと開発チームを持っていることにあります。当社は高品質のクルマを作るため、マグナ社と緊密に連携して生産を行います。工場を建てたり、クルマの作り方を指導したりする必要はないのです。それが当社のビジネスモデルの利点であり、差別化要因となるでしょう」

生産を外部委託することで、フィスカーの諸経費は大幅に削減される。また、都市部にあるいわゆるエクスペリエンスセンター(体験型店舗)を中心とした従来にない販売ネットワークや、遠隔地からの納車・サービスも同様だ。現在はロンドンにエクスペリエンスセンターを新設する予定で、来年のオープンを目指している。

英国での価格は3万4990ポンド(約545万円)からとなっているが、本拠地の米国では3万7499~6万8999ドル(約430~780万円)で販売される。フィスカーCEOは、欧州で製造することで輸入税やコストを抑えられると述べている。

オーシャンは、フィスカーが計画するEVシリーズの第1弾である。このモデルに続いて、テクノロジー大手フォックスコンと共同開発した新モデル「プロジェクト・ピア」が、2023年末から手頃な価格帯で発売される計画だ。

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みんなのコメント

1件
  • そりゃ株で儲けたいだけだから、
    本気でクルマ作りをしようだなんて
    これっぽっちも思ってない。
    だから自社工場なんて作る気無いの。

    つまり全部丸投げ、何かあっても
    仕事を受けた会社に責任をなすりつければ
    自分の会社に傷が付かず株でウハウハという
    クルマ作りより錬金術に長けた自動車会社。

    それが新興EVメーカーのカラクリ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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