日本車の電気自動車といえば、2020年8月27日に発表され、10月30日に発売されるホンダeをはじめ、2020年7月15日発表、2021年中頃に発売予定の日産アリア、さらには2020年10月22日にはレクサス初のEV、UX300eが2020年度限定135台で販売されるなど、盛り上がりをみせている。
とはいえ、EVのパイオニアといえば、なんといってもテスラだ。発表されたばかりの2020年第3四半期決算では、売上高は過去最高の87億7100ドル(日本円に換算すると約9182億円)、対前年同期に対して39.2%増となっている。
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また、純利益は3億3100万ドル(約346億円)で、前年同時期の1億4300万ドルに対して、2.3倍の増益となった。この要因は新車販売の好調によるもの。2020年第3四半期の販売台数は13万9300台と過去最高を記録している。
しかし日本では都市部を除いてあまりテスラを見かけることは少ない。特に発売されたばかりのモデル3の納期は約2年といわれていたので、納期の長さが原因かもしれない。
新車の納期が長期に渡るのであれば、すぐ買える中古車が狙い目ではないだろうか。
ということで、テスラの中古車がどのくらい流通し、いくらで販売されているのか、モータージャーナリストの萩原文博氏がレポートする。
文/萩原文博
写真/テスラモーターズ ベストカー編集部 ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】中古ならすぐ買えるテスラの3モデルを写真でチェック!
ミドルセダンのモデルS、SUVのモデルX、価格戦略車のモデル3
ロードスターに続いて歴史の古いモデルS。ボディサイズは全長4970×全幅2180×全高1450mm
■現行モデルのモデルS
・ロングレンジプラス/価格:955万円、WLTPモード航続距離:652km、最高速度:250km/h、0~100km/h:3.8秒
・パフォーマンス/価格:1195万1000円、WLTPモード航続距離:639km、最高速度:261km/h、0~100km/h:2.5秒
・プレイド/価格:1699万9000円、WLTPモード航続距離:840km、最高速度:320km/h、0~100km/h:2.1秒
今最も多く流通しているのは、ロードスター(2008年)に続いて2014年6月から導入されているモデルSだ
一見すると4ドアセダンのように見えるが、実はファストバックスタイルの5ドア車でラゲッジ容量は804Lを確保している。
当初はグリルのあるフロントマスクだったが、2016年5月のマイナーチェンジで現在のグリルレスのフロントマスクとなった。
当初はFR車も存在していたが、現在はデュアルモーターを搭載したAWD車と、2021年後半に導入予定のトライモーター(3つのモーター)のAWDをラインナップ。
また5人乗りに加えて、オプションでラゲッジスペースに後ろ向きに子供が2人座れるビルトインタイプの補助シートが設定されていたが、現在は廃止されている。
パワートレインは進化し、2019年4月に一新。現在は満充電時の航続距離が639km(WLTPモード)、0~100km/h加速2.5秒というパフォーマンスを発揮するパフォーマンスと満充電時の航続距離が652km(WLTPモード)、0~100km/h加速3.8秒のロングレンジプラスを用意。
新車価格は955万1000円~1159万1000円。また、最高速度320km/h、航続走行距離840kmを実現したトライモーターAWDのPlaidは1699万9000円となっている。
ファルコンウィングドアを採用したモデルX。ボディサイズは全長5037×全幅2070×全高1680mmと巨大だ
■現行モデルのモデルX
・ロングレンジプラス/価格:1059万9000円、WLTPモード航続距離:561km、最高速度:250km/h、0~100km/h:4.6秒
・パフォーマンス/価格:1299万9000円、WLTPモード航続距離:548km、最高速度:261km/h、0~100km/h:2.8秒
続いては、ファルコンウィングドアという特徴的なガルウィングドアを採用し2016年9月に導入されたSUVのモデルX。
5人乗り2列シートを基準に、オプションとして、6/7人乗りの3列シートを用意しているのが特徴。
モデルXのアイコンでもあるファルコンドアは2列、3列シートへのアクセスが良いだけでなく、ドアにはセンサーが装着されており、狭い場所でも開閉することが可能だ。
全長5m、全幅2mを超える巨大なボディだが、リアに電動可変式のリアスポイラーを装着し、Cd値0.25という優れた空力性能を発揮している。
モデルXはデュアルモーターAWDに加えて、アダプティブエアサスペンションを装着し、0-100km/hは2.8秒(パフォーマンスグレード)を実現し、SUVのなかでもトップレベルの加速性能を誇っている。
現在設定されているグレードは、満充電時の航続距離が548km(WLTPモード)のパフォーマンスと航続距離561kmのロングレンジプラスの2グレードで、新車価格は1059万9000円~1299万9000円。
モデル3のボディサイズは全長4694×全幅1849×全高1443mmと、欧州DセグメントのメルセデスベンツCクラス(全長4686×全幅1810×全高1445mm)、BMW3シリーズ(全長4645×全幅1800×全高1440mm)より少し大きいサイズ
■現行モデルのモデル3
・スタンダードレンジプラス(RWD)/価格:511万円、WLTPモード航続距離:430km、最高速度:225km/h、0~100km/h:5.6秒
・ロングレンジ/価格:655万2000円、WLTPモード航続距離:580km、最高速度:233km/h、0~100km/h:4.4秒
・パフォーマンス/価格:717万3000円、WLTPモード航続距離:567km、最高速度:261km/h、0~100km/h:3.3秒
そして、日本市場で2019年5月に受注を開始したのがモデル3。北米では販売開始1週間で32万5000台も予約され話題になったモデルだ。
従来のモデルS/Xはセンターパネルの縦型のディスプレイに加えて、コクピットも存在していたが、このモデル3はセンタの15.4インチの横長ディスプレイのみとなり、内燃機関のクルマとの違いが一層鮮明となった。
新車価格はモデルSやXが1000万円クラスだったのに対して、モデル3は511万円~717万3000円と戦略的な価格設定となっている。
またボディサイズも全長4694×全幅1849×全高1443mmと従来モデルと比べると取り回しがしやすくなっている。乗車定員は5人乗りでトランク容量は425Lを確保。
設定されているグレードは後輪駆動で、航続走行距離430km(WLTPモード)、0~100km/h加速5.6秒のエントリーモデルのスタンダードレンジプラスをはじめ、デュアルモーターAWDを搭載し、航続走行距離580km(WLTPモード)、0~100km/h加速4.4秒を実現したロングレンジ。
そして航続走行距離567km(WLTPモード)、0~100km/h加速3.3秒のモデル3最速のパフォーマンスの3タイプだ。
モデルS 中古車相場:約443万~約1590万円
2016年5月のマイナーチェンジ前の大型グリルが装着されていた前期モデル
テスラモデルSの中古車情報はこちら!
それでは、テスラの最新の中古車事情を見ていこう。現在テスラの中古車は約64台流通しており、モデルSが約33台、モデルXが約18台、モデル3が約10台。そして、オープンカーのロードスターが約3台となっている。
まずはテスラの中古車で最も流通台数の多いモデルS。現在中古車の価格帯は、約443万~約1590万円となっている。
500万円以下のプライスを付けている中古車は約10台で、すべてフロントグリルの付いた前期型となっている。グリルレスの後期型でも約520万円から購入可能となっている。
走行距離は2000km~6万5000kmとかなり幅広い。やはり走行距離の長さによって価格が変わってくるようだ。
満充電時の航続距離が384km(EPA)の70Dや432kmの85Dが安くなっている。最もパフォーマンスの高いグレードの100Dでも約740万円から購入可能となっている。
500万円以下で手に入るようになったモデルS 70Dは新車時価格1000万円近かったことを考えると、かなりリーズナブルとなっている。
モデルX 中古車相場:約785万~約1450万円
高値をキープしているモデルX
テスラモデルXの中古車相場はこちら!
続いてはSUVのEVとしては、パイオニアとなるモデルXだ。現在、モデルXの中古車は約18台流通しており、価格帯は約785万~約1450万円とまだ高価格をキープしている。
1000万円以下のプライスを付けた中古車は約12台でそのほとんどが850万円以上という状況だ。
走行距離は2000~6万1000kmと幅広くなっており、走行距離が長いほど価格が下がっている。
モデルS同様に航続走行距離の価格への影響も大きく、75Dや90Dの価格が安めとなっており、航続走行距離の長い90Dが狙い目だ。
オプションの3列シート装着車も多く、特に6人乗りが多く流通している。新車時価格と比べれば、下がってはいるものの、全体的に高価格であまり割安感を感じられない。
モデル3 中古車相場:約568万~約858万円
発売当初は納期2年待ちと言われていたが中古車だと買えるのは嬉しい
テスラモデル3の中古車情報はこちら!
続いては、今後のテスラのコアモデルとなりそうなモデル3だ。2019年に日本市場に導入されたばかりだが、すでに約10台の中古車が流通している。
価格帯は約568万~約858万円とオプション装備が充実していることもあり、新車価格を上回っている中古車が多い。
走行距離は35km~1万9000kmと走行距離の少ない中古車が中心だ。グレード構成は、パフォーマンスが5台、ロングレンジが2台、スタンダードプラスが3台となっており、それぞれ価格帯はスタンダードプラスが約568万~約588万円、ロングレンジが約700万~約858万円。
そして、パフォーマンスが約639万~約798万円となっており、パフォーマンスが最も割安感が高く狙い目だ。
SUVのモデルXを除けば、割安感も出ているグレードがあるテスラの中古車だが、テスラ専用スーパーチャージャーと呼ばれる急速充電ステーションが全国24カ所と少なく、またディーラーをもたないため、修理や部品の交換などに時間がかかるといわれている。
割安な車種もあることがわかったテスラの中古車。今後、中古車がさらに増えてお手頃価格になっていくことを期待したい。
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百歩譲ってEVが必須条件だとしても、テスラはない。