自動車は走れば何でもいい。そう考える人は多いし、間違いでもない。しかし、自動車の個性が薄くなり、EVやカーシェアリングが普及する「今」だからこそ、クルマに「遊び」や「冒険」を求めたい。伊達軍曹が贈る攻めの自動車選び。第13回は「ワーゲンバス」の愛称で世界中から愛される、フォルクスワーゲン タイプ2をお届けしよう。
「飲食物の移動販売車」で見かける、ビートルベースの商用車
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郊外や地方都市に住まうのであれば話はまったく別だ。しかし東京あるいはそれに準ずる都市に住まう者にとって、「実用」を主たる目的にクルマを所有する意味はさほどない。
そんな状況下で「それでもあえて自家用車を所有する」というのであれば、何らかのアート作品を購入するのに近いスピリットで臨むべきだろう。
すなわち明確な実益だけをそこに求めるのではなく、「己の精神に何らかの良き影響を与える」という薄ぼんやりとした、しかし重要な便益こそを主眼に、都会人の自家用車選びはなされるべきなのだ。
そう考えた場合におすすめしたい選択肢のひとつが、「ワーゲンバス」との愛称で広く知られているフォルクスワーゲン・タイプ2というクルマだ。
「飲食物の移動販売車」として、その姿を間近で見たことがある人も多いにちがいないフォルクスワーゲン タイプ2は、フォルクスワーゲン社が2020年の今も製造を続けている商用車「VW Transporter(トランスポルター)」シリーズの、いちばん最初のモデル。かの有名なタイプ1(いわゆるビートル)をベースとする汎用自動車として1950年に誕生した。
搭載エンジンはビートル同様の空冷水平対向4気筒OHVで、デビュー当初の排気量は1.1リッター。のちに1.2リッターに拡大され、1964年には1.5リッターエンジンも追加されている。
ボディバリエーションは、オリジナルであるバンタイプのほかに小型バスタイプ、オープンデッキのトラックタイプなどさまざまあり、それぞれに「VWトランスポルター○×△」という仕様ごとの名前が付いているのだが、一般的にはその型式名である「タイプ2」が、ワールドワイドな呼称として定着している。
VWトランスポルターシリーズは1950年にデビューした第1世代から現行第6世代までが存在し、一般的には、それぞれを「T1」「T2」「T3」(中略)「T6」と表記する。そのなかで「ワーゲンバス」の愛称で世界的に親しまれているのは、T1(1950~1967年)とT2(1967~1979年)だ。愛好家の間では前者が「アーリーバス」と呼ばれ、後者が「レイトバス」と呼ばれることが多い。
Volkswagen AG「忘れかけていた風景や感触」が思い出せるかも
さて、そんな「ワーゲンバス」に関するこれ以上の詳細については、マニア諸氏のブログや専門誌などにおまかせするとして、ここで提起したいテーマのひとつは「そもそも今、古くさいワーゲンバス(タイプ2)にわざわざ乗る意味はあるのか? 」ということだ。
これについては「それはもう人それぞれでしょう」というのが正確な答えになるわけだが、それでは話が終わってしまうため、野暮を承知であえて少々踏み込むと、「多くの現代人にとってフォルクスワーゲン タイプ2は、もしもそばにあれば“良き相棒(もしくは鎮痛薬? )”になるでしょう」というのが筆者の見解である。
ひたすら密閉度の高いモダンな集合住宅を出て、これまた密閉度の高いモダンな自家用車あるいはタクシーに乗り込み、空調を完璧に利かせたうえで移動する──という2020年代的生活スタイルは、もちろん悪くない。
しかしそういった行為の連続のなかで、もしもホモ・サピエンスといういち動物としての根源部分みたいなものに若干の「疲れ」を感じたならば、まるで東屋(あずまや)か古民家のように風通しが良く、プリミティブな作りのフォルクスワーゲン タイプ2を、自らの両手両足で運転してみる価値はある。それにより、「忘れかけていた風景や感触」みたいなものを思い出せる可能性が高いからだ。
「こまごまとした出費」は覚悟しておく必要がある
しかし次に湧き上がる疑問は、「今さら何十年も前のクルマを買っても、ぶっ壊れまくって大変なんじゃないか? 」ということだろう。
もちろん古いクルマのコンディションというのは個体差がデカいため、「絶対にこう! 」みたいな断言はできない。しかし「基本的にはまぁ大丈夫ですよ」というのが、この疑問に対する答となる。
ボロボロの個体をいいかげんな販売店で買うと大変なことにもなる。しかし知識と経験、そして「まごころ」みたいなものを有している専門店が、十分な納車前整備を行った個体であれば、特に壊れまくるということもないのが、こういった世代の「シンプルな設計のクルマ」に共通する傾向だからだ。
もちろん、それでも時には接触不良などでエンジンが一時的にかからなくなったりはする。また、新車で買ったカローラを維持するのとは別次元の「こまごまとした出費(整備代)」は覚悟しておく必要があるだろう。
Volkswagen AGしかしそれも、都市生活者にとっての強力なトランキライザーとしての便益を考えれば、妥当な範囲の出費とは言えるはず。これに毎日乗ってどこかへ通勤する──みたいな使い方にはとことん向かないが、「たまに乗る」ぶんには、これほど(ある意味)痛快なクルマもそうそうあるものではない。
昨今の世界的な「ちょっと古いモノブーム」の影響で相場は上がっており、しっかりレストアされた個体の価格は300万円以上となる場合がほとんど。だがそれでも、この「走る東屋(あずまや)」は、2020年の今だからこそ大いに魅力的である。
文・伊達軍曹 写真・フォルクスワーゲン グループ ジャパン 編集・iconic
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みんなのコメント
運転して、弄って、見て楽しい。