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ついに「水素GRヤリス」走った! WRCベルギーで水素社会の一端を披露! 現地はどんな様子だった?

掲載 更新 6
ついに「水素GRヤリス」走った! WRCベルギーで水素社会の一端を披露! 現地はどんな様子だった?

■ついに水素ヤリス「GR Yaris H2」が欧州を走った!

 2022年8月19日、2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「イープル・ラリー・ベルギー」の競技初日デイ1が開催されました。

【画像】「GR Yaris H2」がWRCを走った! 世界にトヨタの水素技術を披露! その様子を見る (54枚)

 筆者(山本シンヤ)が渡欧したのは「GR YARIS Rally1 HYBRID」の活躍を見るのはもちろん、ある“特別”なモデルが欧州を初走行すると聞いたためです。
 
 そのモデルとは水素エンジンを搭載した「GR Yaris H2」です。

 水素エンジンは、トヨタの豊田章男社長が「未来が解らないからこそ、選択肢を狭めない」、「敵は炭素、内燃機関ではない」という強い想いから生まれたプロジェクトで開発が進められているユニットです。

 日本では2021年からスーパー耐久シリーズへの参戦で話題となりましたが、今回初めて欧州のラリーファン/クルマファンへのお披露目となります。

 車両は筆者をはじめとする自動車メディアが日本で試乗させてもらったテスト車両その物(世界に2台しかない)ですが、今回のデモ走行のために「H2(=水素)」をアピールするためにカラーリングを変更。

 加えて、タイヤはラリーカーと同じ銘柄となるピレリ製(P ZEROトロフェオR)の装着、前後に赤いマッドフラップの追加などがおこなわれています。

 初走行は19日のSS3。競技車両の走行前、コースの安全性チェックのために「インフォメーションカー」や「000(トリプルゼロ)カー」、「00(ダブルゼロカー)」、「0カー(ゼロ)カー」などさまざまな車両が走行しますが、GR Yaris H2は2台の000カーに続いて登場。その識別となるステッカーには「H2」とあります。

 WRCの取材経験豊富な国沢光宏氏に聞いても「初めて見た!!」そうです(後でエンジニアに聞くと「特別枠」だと)。

 ステアリングを握っているのは、1993年にトヨタでチャンピオンを獲得しているユハ・カンクネン氏です。

 控えめな音量ながら内燃機関ターボ車特有の「ヒューン」というサウンドと共に、我々の目の前を力強く走り抜けていきました。

 何も知らされていなければ、正直このクルマが水素エンジンを搭載していることは解りませんが、排出しているのは排気ガスではなく水蒸気と、まさに違和感のない違和感をベルギーで改めて実感しました。

 ただし、ちょっと残念だったのは、GR Yaris H2の走行時間が競技よりだいぶ前だったこともあり沿道の観客がまばらだったことです。

 走行の順番などさまざまな事情はあると思いますが、競技時間ギリギリのタイミングでの走行のほうが、欧州のラリーファン/クルマファンにもっとアピールできるかなと思いました。

 ちなみに日本から応援に来たことをアピールするために数人で日の丸を振りましたが、カンクネン氏てくれて「ピッピ~♪」とホーンで応えてくれました。

 走行後にTGR-E副会長の中嶋一貴氏は、次のように答えてくれました。

「ラリーを見ていて思うのは『エンジンの音は大事』ということです。

 ファンもそうですが、音がしないクルマが走っているのは想像できないです。

 欧州はBEV/FCEV寄りですが、水素でも内燃機関が成り立つということを実際に走らせてアピールできたことは素晴らしいです。

 今回走行させるためのハードルはかなり高かったですが、それを実現してくださった皆さんに感謝です」

■ピットエリアでは水素燃料電池車「MIRAI」の電気を活用!?

 サービスパーク内にあるTOYOTA GAZOO Racingのピットには、4台のGR YARIS Rally1 HYBRIDの整備スペースに加えて、何とGR Yaris H2の整備スペースも設置されていました。

 実はこのピットも新たな取り組みがおこなわれており、ピット照明の電力は水素燃料電池車「MIRAI」からホンダの給電機を通して供給するなど、スーパー耐久シリーズで2021年からおこなわれている「水素インフラを活用した実証実験」がWRCでも展開されています。

 実はこれ、2022年6月に開催されたスーパー耐久 富士24時間耐久レースにORC ROOKIE Corolla H2conceptドライバーとして参加したヤリ・マティ・ラトバラ代表と豊田社長との会話によって実現したといいます。

豊田社長はその場で担当者である浜田成孝氏を呼び、「S耐の水素ピットの一部を、WRCのピットでもチャレンジしたい」と提案したそうです。

これもトヨタのアジャイルな動きのひとつでしょう。担当者である浜田氏は「今回は第一歩……ということでピット照明のみですが、すでに使用する電力の計算も進めています。将来的にはすべての電力を賄えるようにしたいと考えています」と教えてくれました。

ちなみにMIRAIからの電力供給の注目度は高く、「MIRAIがどのようなクルマなのかはわかるが、一体これは何をしているのか?」という質問を数多く受けたそうです。

浜田氏は「欧州の人の水素に対する興味は、肌感覚的には想像以上に高いと感じました」と教えてくれました。

※※ ※

ちなみにGR Yaris H2は、翌日のデモ走行のために整備がおこなわれていましたが、メカニックの作業を見ていると、リアクォーター部の「J.KANKKUNE」の下にステッカーを追加していました。

さらに、もうひとつ「MORIZO」というステッカーも、これは一体どういうことなのでしょうか。 

次なるGR Yaris H2はデイ2のSS11ですが、そのデモ走行に注目です。

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みんなのコメント

6件
  • 良い取り組みですね
    色々なCNの選択肢を市場にお披露目するのは良い事だと思います

    しかし、ヤリスH2(水素エンジン)の記事に対するカーセンサーのサジェストがハマーH2(笑

    もう少し広告のAI頑張ろうぜ(笑
  • >交流→直流への返還にホンダの発電機を使用
    これ、交流と直流の変換が逆だと思うが。
    記事は、大容量給電のことだから、給電はDCだと思うので。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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