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運転自体がイベント! メルセデス・ベンツ Gクラスへ試乗 流行を超越した四角いボディ

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運転自体がイベント! メルセデス・ベンツ Gクラスへ試乗 流行を超越した四角いボディ

流行を超越した雰囲気を放つGクラス

「時間に耐える強さ」 新しいメルセデス・ベンツ Gクラスのパンフレットには、こんな表現が用いられている。確かに、このオフローダーは経年へ耐えて来た。長い歴史を持つ名車といえ、流行を超越した雰囲気を漂わせる。

【画像】運転自体がイベント! メルセデス・ベンツ Gクラス 競合クラスのSUV/オフローダーたち 全170枚

Gクラスは2024年にアップデートを受け、以前のW463型を徹底的に再設計したW463A型の進化版として、W465型になった。それでも、基本構成は従来どおり。シャシーは、肉厚なスチール製のラダーフレーム。前後にリジッドアクスルがぶら下がる。

Gクラスは、他のモデルとプラットフォームを共有していない。それが、オーストリアのマグナシュタイアー社が生産を請け負う、理由の1つでもある。

新型での最大の話題が、EQテクノロジーと同社が呼ぶ、電動化技術を採用したバッテリーEV版の追加。シャシー中央に、116kWhという大容量の駆動用バッテリーを載せている。これは、改めて別の機会に掘り下げてみたい。

内燃エンジン版は、ラインナップが整理された。V8ガソリンを積んだメルセデスAMG G 63は継続だが、ディーゼルのG 350dは終了。G 400dは、マイルド・ハイブリッドになりG 450dへ変更されている。

今回試乗したのは、ガソリンのG 500。メルセデスAMG CLE 53が搭載する、直列6気筒ツインターボのマイルド・ハイブリッドを積む。最高出力は449psある。

閉まりの渋いドアもGクラス劇場の1つ

2024年仕様のG 500は、英国では14万6095ポンド(約2805万円)から。英国仕様の場合、基本的にフル装備のAMGライン・プレミアムプラスのみの設定となる。

見た目の変化としては、クロームメッキではないフロントグリルが与えられ、リブは4本に。フロントバンパーの造形も異なる。レンガのような四角いフォルムはそのままだが、結果として、AMG Gへ印象は近づいた。

フロントピラーは空力特性を意識した形状になり、ルーフの後端には控えめなリップスポイラーが生えている。空気抵抗を示すCd値は、0.46と小さくはない。防音材が追加され、風切り音を低減したと主張される。

乗り込もうとすると、ドアハンドルの位置が高い。よじ登りシートへ腰を下ろし、半ドアを避けるため、強くハンドルを引いてドアを閉める。これもGクラス劇場の1つだ。

フラットなフロントガラスが、かなり近い位置に切り立つ。その先には、デコボコしたボンネットが広がる。エンジンを始動する前から、どんなクルマとも違う。大金を支払ってでも、乗りたいと思う人が生まれる一端がここにある。

Sクラス寄りのインテリア 12.3インチが2面

インテリアの印象は、軍用車ベースのオフローダーというより、Sクラス寄り。とはいえ、モニターのサイズは控えめで、ダッシュボード上にインフォテイメント用とメーター用の、12.3インチが2面並ぶ。実際に押せるハードスイッチも、沢山ある。

インフォテイメント・システムは、最新のMBUXが稼働するようになった。エアコン用に独立したハードスイッチが設けられ、ショートカットキーもあるため、従来以上に使い勝手は良好。タッチパッドも残っている。

フロントシートの調整域は広く、高めの視界が気持ちいい。シートの座り心地は、多くのクロスオーバーに組まれるものより優れる。助手席の正面には、ゴツいグラブハンドル。センターコンソールの小物入れの蓋も、いかにも頑丈そうだ。

リアシート側は、つま先をフロントシートの下へ入れられるため、見た目以上にゆとりを感じる。サイドヒンジ式のテールゲートを開くと、荷室は想像より小ぶり。ラダーフレームがボディの下に存在するため、床面の位置が高く、幅も狭めだ。

さて、G 500をサーキットで走らせてみよう。3.0Lエンジンは、豊かなトルクで驚くほど活発に2590kgのオフローダーを走らせる。横出しのマフラーから、勇ましいサウンドを放ちながら。

ラグジュアリーな乗り心地 舗装路での高い安定性

滑らかに発進し、160km/hくらいまでは意欲的に速度が上昇する。だが、その辺りから空気を切り裂くのに苦労し始める。風の影響を考慮し、直線での動力性能の計測は往復で実施したが、0-192km/h加速の行きと帰りでは0.2秒も違っていた。

9速ATは、基本的には滑らかで素早くギアを切り替える。ただし、低速域では若干もたつく様子もあった。

ブレーキは強力。ペダルを思い切り踏むと、柔らかいサスペンションがゆえに、フロントノーズが大きく沈み込む。制動距離は充分短く、不安になるほどではないけれど。

サスペンションは、アダプティブダンパーとコイルスプリング。乗り心地はしなやかでラグジュアリーだが、稀にリジッドアクスルの存在を隠しきれない。傷んだ路面では、揺れや衝撃音が伝わってくる。

Gクラスで感心するのが、安定性。ラダーフレームとリジッドアクスルでも、郊外の流れの速い道を快適に流せる。カーブでのボディロールは大きめで、グリップ力が高いわけではないが。

全幅は1931mmあるが視界は広く、ボンネットの先端も見えるため、狭い道でも想像以上に扱いやすい。気張りすぎると、スタビリティ・コントロールが横転のリスクを察知し、丁寧に介入する。しかし、運転の邪魔をすることはない。

運転支援システムは、トップクラスに高機能。アダプティブ・クルーズコントロールは、後ろから近づく緊急車両やバイクにも反応してくれる。速度標識認識は、やや安定しないようではあった。

メルセデスが手掛けたレストモッド・モデル?

今回はオフロードを試さなかったが、ロッキングデフが前後と中央に組まれ、最低地上高は241mmと高く、サスペンションの可動域も大きい。走破性に長けるのは間違いない。

2024年仕様では、オフロード・コックピットと呼ばれるシステムも獲得した。これは、タイヤの空気圧やデフロック状況などを確認できるもの。センターコンソール上のボタンで呼び出せる。

ボディと路面が接する角度は、フロントのアプローチで31.2度。リアのデパーチャーは30.5度で、ホイールベース間のブレークオーバーは26.3度となる。渡河水深は700mmもある。

燃費は、日常を想定した80km/h以下の速度域で、449psのオフローダーとしては有能な11.3km/Lを得られた。ただし高速道路では空気抵抗が増え、平均燃費は6.3km/L。それでも、四角い形を考えれば悪くはない。

伝統の見た目はそのままに、洗練された走りを実現したGクラス。ガソリンエンジンは上質に働き、オンロードでは、モダンな大型SUVのように移動できる。いざという時のオフロード性能も頼もしい。

メルセデス・ベンツ自ら手掛けた、レストモッド・モデルのような存在かもしれない。富裕層に人気な理由もうなずける。賢明な選択とはいいにくくても、運転自体がイベントになるような、特別な雰囲気に満ちている。

メルセデス・ベンツ G 500 AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)のスペック

英国価格:14万6095ポンド(約2805万円)
全長:4825mm
全幅:1931mm
全高:1969mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:5.1秒(実測値)
平均燃費:6.3km/L(実測値)
CO2排出量:289g/km
車両重量:2590kg
パワートレイン:直列6気筒2999cc ツインターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:449ps/5800-6100rpm
最大トルク:56.9kg-m/2200-5000rpm
ギアボックス:9速オートマティック(四輪駆動)

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みんなのコメント

3件
  • kmq********
    未だかつて、このクルマに道を譲られたことが無い
  • nam********
    頑丈でシンプルデザインで走りもしっかり・・・
    2,500万円オーバー出せる人たちすごいわ
    W463Aの頃から欲しいがなかなか買えない
    最後の純内燃エンジンGクラス買えたヒトが羨ましいよ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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