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マクラーレン「GT」は、意外と「積める」&「乗り心地抜群」だった!【スーパーカーでお伊勢参り(前編)】

掲載 更新 5
マクラーレン「GT」は、意外と「積める」&「乗り心地抜群」だった!【スーパーカーでお伊勢参り(前編)】

■そうだ、旅に出よう! スーパーカーでお伊勢参り

 江戸時代の人々もグランドツーリングを楽しんでいたと聞くと驚いてしまう。その代表格が、伊勢神宮を参拝する“お伊勢参り”だった。

【画像】カシミヤや軍事用に開発された素材を使った「マクラーレンGT」の革新的なインテリアとは?(21枚)

 現代のような移動の自由も手段もなく、厳格な身分制度があったにもかかわらず、多くの庶民はお伊勢参りを楽しんでいた。

 徒歩で向かうわけだから、江戸から伊勢まで順調に進んでも2週間も掛かったらしい。復路にも同じだけ要するし、道中で他の寺社に参拝したりしたら、すぐに往復1か月を優に超えてしまう。大雨で川を越えられなかったり、怪我や体調不良なども起こるかもしれない。長く、予期せぬ出来事に満ちていた。

 しかし、しかし、そんなお伊勢参りも、現代ならばクルマを運転して東京から伊勢まで半日足らずで着くことができる。

 マクラーレン「GT」は、その名の通りグランドツーリングのために生み出されたニューモデルだ。

 これまでのスーパースポーツとは少し方向性を変え、快適性と実用性を併せ持たせているという。

「サーキット走行を楽しめる動力性能を持ちながら、大陸横断できる能力も兼ね備えています」(GTのチーフエンジニア、アダム・トムソン氏)

 外観も、これまでのマクラーレン各車とだいぶ違っている。

 ヘッドライトやフロントマスクは穏やかな形状となり、ボディサイドは微かな抑揚が付けらながらエアインテイクに収束している。細いクロムメッキに縁取られたサイドウインドウの形状もGTならではのものだ。

 そして、GTをGTたらしめているのがリアスタイルだ。ファストバックスタイルを採っているため、大きなリアガラスがテールまで続いていて、エレガントな雰囲気を漂わせている。待望の日本仕様は日本橋の雑踏のなかにあっても異彩を放っていた。

 江戸からの起点となるのは日本橋だったので、僕らもそれに倣うことにした。実は筆者は昨年に発表直後のGTを南フランスで試乗している。

 南フランスで乗った時に最初に驚かされたのが、荷物積載量の大きさだった。フロントには150リッターの専用トランク、リアには470リッターという広大なトランクスペースが用意されている。

「リアのトランクスペースは中央部分を凹ませてあり、ゴルフバッグや185センチのスキー2セットやスノーボードなど長いものも積み込むことができます」(デザインディレクターのロブ・メルヴィル氏)

 そのフロアには「スーパーファブリック」という特許を取得した布がオプションで用意されている。染みや傷、刻み目などができにくく、汚れも付きにくく、洗濯可能で速乾性に優れているというものだ。

 南フランスでは、フロントには国際線機内持ち込み用スーツケース2個に加え、ブリーフケースやトートバッグなどが2個プラスアルファ確実に収まった。フロントトランクはほぼ直方体で低い位置から真上から出し入れするので、とても使いやすかった。

 そのうち1個の自分のスーツケースを取り出し、リアに置き直してみたが、ピタリと収まった。その周辺にもバッグやジャケットなどを置いて、専用のネットやストラップなどで固定できた。

 また、乗り降りの際にシートの後ろからトランクスペースに荷物を置くこともできるから、いちいちテールゲートを開ける手間も省け、この点でも実用的だった。

 今回は、フロントに田丸瑞穂カメラマンの撮影機材を納めたところ、折り畳みの三脚まで収まってしまった。リアには僕のスーツケースとブリーフケースなどを置いたが、まだたっぷりと余地が残っていた。ただ、調子に乗って詰め込み過ぎると後方視界が妨げられるし、ブレーキング時に何かがキャビンに飛び込んでこないとも限らない。

■グランドツーリングには乗り心地が重要! マクラーレン「GT」は?

 日本橋から中央通りを銀座方面に進む。平日なので、周りはタクシーやトラック、ミニバンや軽トラックなどがたくさん行き交っている。新型コロナウイルス感染症による非常事態宣言が解除され、路上には日常が取り戻されているようだ。

 マクラーレンGTに乗って、まず驚かされるのが乗り心地の良さだ。丁寧に突き上げのカドを取り去り、上下動も抑え込んでいる。最高速326km/h、0-100km/h加速3.2秒という超高性能から想像される硬い乗り心地や激しい突き上げなどが皆無なことに肩透かしさえ喰らわされたような気分に陥る。

「えっ、こんなに乗り心地が良いんですか!?」

 助手席の田丸さんも驚いている。

 路面の凹凸や舗装の切り替えなどを通過する際に、どんなクルマでもさまざまなショックを大なり小なり乗員に伝えてくるものだが、マクラーレンGTはそれが極めて小さいのだ。

 路面からの入力をサスペンションがすべて吸収し、ほとんど車内に伝えてこない。マクラーレン以外の一般的なクルマは、その入力をすべて吸収し切れないから、ショックや細かな振動などを残して乗員に伝えてしまう。

 それを実現しているのがプロアクティブ・ダンピング・コントロール(PDC)だ。路面の凹凸に伴って上下するサスペンションの動きをセンサーが読み取り、そのミリ2秒(0.002秒)後には、次に起こりそうなことをコントロール・ユニットが予測的に対応する。

 次の動きを予測しながら非常に素早い時間でダンピング特性を変化させられるコントロールユニットを組み合わせた、非常に高度なサスペンションシステムである。マクラーレン720Sと基本構想を同じにしているが、その制御のアルゴリズムとアンチロールシステムがメカニカルに代わり、快適な乗り心地のためにGT用に最適化されている。

 首都高速道路に乗り、そこから東名高速に入った。まだ、朝早いというのに、いつもの通り東名高速は混雑している。

 そんな状況をマクラーレンGTは耐え忍び、クルマの流れにしたがって下っていく。4.0リッターV8ツインターボチャージドの最高出力620馬力/7500回転と最大トルク630Nm/5500-6500回転の本領は、ホンのわずかしか使われない。

 新東名に入り、ガラリと空いたところで深くアクセルペダルを踏み込んでいく。4.0リッターV8のパワーが炸裂し、GTは猛然と加速していく。その加速の凄まじさはスピードメーターが示す数字を見ないとわからない。エンジンやトランスミッションの機械的な精度が恐ろしく高いからなのだろう、ここでもまた余計な振動が伝わってこないのである。音と振動が徹底的に抑えられていて、必要なパワーだけを取り出している。

 このストイックな感じが、フェラーリやランボルギーニなどと決定的に違う。イタリア勢は“演出”としてエンジンサウンドを活用しているが、マクラーレンはあくまでも抑制的だ。

 GTに限らず、マクラーレン各車に乗るたびに感心させられてしまうのが、シフトパドルの精密な操作感と使いやすさだ。カチ、カチッと精密機械のような操作感を伴うわずかな動きで変速する。トランスミッションの変速動作自体も素早い。また、あまり知られていないが、このパドルはひとつのパーツだから、アップ側とダウン側はつながっている。向かって左側のパドルを引くとダウンするが、押すとアップするのだ。同じように、右側は引くとアップだが、押すとダウンする。これは憶えておくと非常に便利だ。

 フラットな姿勢を維持しながら、サスペンションは良く動き、乗り心地はマイルド。それでいて、マクラーレンらしい軽快な身のこなしと圧倒的な動力性能。これ以上ないというくらい快適な高速走行をいったん終えて、一般道に降りた。(後編に続く)

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みんなのコメント

5件
  • 意外も何も
    買えねえから
  • おいおい、このご時世に、品川ナンバーのマクラーレンでお伊勢参り!?

    地方の人から見たら、非国民、殺人犯の所業じゃないのかい?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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