フェラーリ製3.8L V8ツインターボ搭載
マセラティが大型プレミアムSUVのレヴァンテを発売してから、8年が経過した。アストン マーティンやランボルギーニ、フェラーリも、追従するように競合モデルを生み出している。時代は大きく変化し続けている。
【画像】「フェラーリ製V8」を限定搭載 マセラティ・レヴァンテ V8ウルティマ 競合クラスのSUVと比較 全167枚
当初、V6ターボのガソリンとディーゼルでスタートしたレヴァンテだが、アップデートを経てラインナップも変わった。現在は、4気筒ガソリンターボのマイルド・ハイブリッドと、V6ガソリンターボの2種類へ絞られた。
英国での価格は、9万2935ポンド(約1719万円)から。8年前は6万ポンドを切っていたから、かなりの価格上昇に思える。そのかわり、ひと回り小さいマセラティ・グレカーレが間口を広げたが。
ただし、輝かしいV8エンジン版も台数限定で入手は可能。新たに追加されたレヴァンテ V8ウルティマがそれで、英国市場には8台限定で導入される。価格は16万625ポンド(約2972万円)と、かなりの高額だが。
フロントには、フェラーリ製のF154型と呼ばれる3.8L V8ツインターボエンジンを搭載。レッドラインは7000rpmで、最高出力は580psを誇る。
レヴァンテのスタイリングは、今でもインパクトがある。マセラティらしいDNAを感じるのは、筆者だけだろうか。同社が、特徴的なフロントグリルを1960年代のレーシングカー、マセラティ・ティーポ60と関連付けたのは、マーケティング戦略の1つだろう。
イタリアンな雰囲気を漂わせるインテリア
プラットフォームは、ギブリやクアトロポルテと共有。大型SUVとして、強化されている。トランスミッションはZF社製の8速オートマティックで、後輪主体の四輪駆動システム、Q4を採用する。
サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアが5リンク式。エアスプリングが標準装備となる。
インテリアの第一印象は、かなり良い。独自の豪華さや造形、コーディネートで、ポルシェやアウディとは一線を画すアイデンティティが生み出されている。高級なだけでなく、イタリアンな雰囲気も漂わせる。
ドライバーの正面には、アナログのメーターが並ぶ。ステアリングコラムには、大きな金属製シフトパドルが備わる。小さなプラスティック製で妥協する他ブランドが、不思議に思えてしまう。内燃エンジンを好むドライバーなら、この眺めを喜ぶに違いない。
ところが、そんなロマンティックな印象は、時間の経過とともに薄れていく。安っぽい部品がチラホラ存在し、人間工学的に疑問を感じる部分も。パドルとは裏腹に、シフトセレクターの感触にはソリッド感が乏しい。
センターコンソールのプラスティック製スイッチは、少々安っぽい。インフォテインメント用タッチモニターを覆うグレーのフレームは、目立つ位置なだけに高級感が欲しい。エアコンの操作パネルも、価格に見合った仕上げを望んでしまう。
全長から期待するほど広くない車内空間
インフォテインメント・システムは、マセラティのタッチ・コントロール・プラス(MTC+)。従来のUコネクト・システムをベースに、見た目を調整したOSといえる。
タッチモニターは8.4インチで、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。ラジオやカーナビのほか、シートヒーターなどの操作も画面を介することになる。
メニュー構造は覚えやすいが、操作に対しグラフィックの反応が遅れ気味。ショートカットキーがなく、都度メニュー画面へ戻るのが面倒に感じることもあった。
車内空間は、5005mmの全長から期待するほどではない。後席と荷室の広さは、ポルシェ・カイエンやランドローバー・レンジローバーに及ばない。もっとも、マセラティを選ぶ人は、実用性が多少劣ることを予め理解しているのではないかと思うが。
リアシート側の足元の前後長は、レヴァンテで710mm。レンジローバーは740mm、カイエンは790mmある。大人4名が快適に移動できるとはいえ、空間効率はもう少し練ることができるだろう。
荷室容量は580L。同様に、ライバルはそれぞれ745Lと784Lで、小さくない差がある。
ドライビングポジションは、若干自然さに欠ける。シートとステアリングコラムの調整域は大きいものの、筆者にはしっくりこなかった。右ハンドル車の場合は、ペダル位置が右側へ大きくオフセットし、左足の置き場も限られる。
ステアリングホイールは意外なほど大きく、リムは手にフィットしにくい。シートも、横方向のサポート性に優れるが、腰のランバーサポートがもう少し欲しい。
この続きは、マセラティ・レヴァンテ V8ウルティマへ試乗(2)にて。
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マセラティもなんだかな〜