ステレオカメラという仕組みだけで衝突回避や運転支援を行い、ADAS(先進運転支援システム)の先駆けとなったスバルの「アイサイト」。
ところが近年は他社の猛追を受け、圧倒的な優位性を失っていたことも事実。当然スバルもこの状況は認識しており、今年登場する新型レヴォーグには新世代アイサイトを搭載することをアナウンスしている。
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その詳細が、スバルとともにアイサイトを共同開発してきた日立オートモティブシステムズから発表された。GM自動運転モデル(運転席にハンドルなし!!!)の話題と併せて紹介しよう。
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※本稿は2020年1月のものです
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年2月26日号
■検知範囲を3倍に拡大 レーダーとの連携も!
新世代アイサイトで大きく進化したのは、ステレオカメラの検知範囲。
下の図を見てもらえばわかるが、カメラの視野角自体が拡大していることに加え、左カメラと右カメラの検知範囲を両端に振り分けることで、従来に比べておよそ3倍という圧倒的な検知範囲を実現している。
右が新世代アイサイトのカメラの検知範囲。中央部は左右カメラで立体視を行い、両端は単眼視となる
この結果、新世代アイサイトでは、直進時だけでなく交差点右左折時にも車両や歩行者の検知が可能となった。
通常この領域はソナーや赤外線レーダーの出番だが、スバルはお家芸ともいえるカメラにこだわることで、物体の形状認識も可能な検知範囲の拡大に成功したわけだ。
とはいえ新世代アイサイトがカメラだけに頼るのかといえば答えはノーだ。新型レヴォーグの事前説明でも、スバルは「4つのレーダー」が装備されるとアナウンスしている。
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スバル車の一部はすでに後方警戒支援システムとなる「リヤビークルディテクション」でセンサーを導入しているが、新世代アイサイトではこれらの統合・効率化が図られるとみて間違いない。
さらに新世代アイサイトでは、準天頂衛星みちびきを使った高精度マップ&ロケーターが搭載されるため、道路の線形によるコーナー手前での自動減速や、他車の割り込みにも対応できる渋滞時のハンズフリーも実現しそうだ。
2020年になり、自動運転の進歩がやや鈍化したという声もあるが、新世代アイサイトによってスバルが再び「トップ集団」に加わることは間違いない。
レヴォーグの登場を楽しみに待とう。
■ステアリングなし!!? GM自動運転車の威力 ウェイモに次ぐ実力にホンダもほれ込んだ!
上でも触れたが、ここへ来て自動運転の進展が鈍っている。
トヨタのハイテク部門を率いるギル・プラット氏もそれを認めているし、北米カリフォルニア州の「自動運転の無人公道実験が行える事業者」は、2018年10月のウェイモ以降、新たな事業者が現われていない。
そんななか、沈滞を打ち破ろうとしているのがGMだ。同社は間もなく、史上初の「ステアリングのない自動運転車両による公道実験」を開始するというのだ。
GMクルーズが現在運用している自動運転車。昨年無人タクシーサービスを始める予定だったが今年にずれこんだ
そもそもGMは、2016年にクルーズオートメーションというスタートアップ企業を買収し、あっという間に自動運転のトップランナーに躍り出た。
技術レベルはウェイモに次ぐという人もおり、そこにほれ込んだホンダやソフトバンクが、昨年1000億円以上もの出資を行ったほどの注目企業だ。
■非常時には遠隔地からリモート操縦もできる
下がGMクルーズの公開した車内のイメージだ。ずいぶん整然としているが、やはりステアリングのない風景は相当衝撃的だ。
ステアリングのない実験車両のインテリア。空いた空間には将来的にインフォテインメント類が収まるだろう
とはいえ、このクルマが完全に自律走行するわけではない。車両の状況は遠隔監視されており、非常時にはネットワークを介して、離れた場所から人間が操縦することが可能だ。
この遠隔操縦も自動運転では重要な領域で、特にバスやタクシー、トラックといった商用車は、将来この仕組みを作って自動化が進むとみられている。
GMクルーズは、ステアリングのない車両の公道実験を、現在アメリカ運輸省のNHTSA(国家道路交通安全局)に申請を行っているもようで、政府側も認可に前向きだという。早ければ今年中にも、公道実験が始まる予定だ。
自動運転業界ひさびさの革新に期待したい。
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