出たぞダイハツのコンパクトSUV
今回の東京モーターショー、朝イチでダイハツのブースに行って驚いた。かねてから噂になっていた新型コンパクトSUVが、普通にフロアに置いてあったのだ! 気になる車名は、本誌でも「ロッキー」とお伝えしていたが、今回はまだ伏せられており、「新型コンパクトSUV(市販予定車)」と記載されるにとどまった。
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開発者によると、この新型コンパクトSUVはタントから採用された新プラットフォーム「DNGA」を採用。軽の第1弾がタントで、こちらのSUVは小型車の第1弾になるという。プラットフォームの基本的な設計思想は軽自動車のDNGAと共通。それをコンパクトカー用に拡幅したものだ。トール(トヨタ タンク・ルーミー)のプラットフォームとは別モノである。このDNGAプラットフォームは、剛性を確保し、操縦性と乗り心地に優れているのが特徴。タントも軽自動車の中ではシッカリ感のあるドライブフィールだったが、このコンパクトSUVも同様だろう。
パワートレーンは1LガソリンターボとCVTの組み合わせ。こちらはトールのものを小改良し、走りと燃費を最適化した。駆動方式は4WDとFFを用意。トヨタC-HRのような、タイヤに伝えるトルクを電子制御して走破性を上げる機能も搭載している。
基本スペックは以下のとおり。
全長×全幅×全高:3995mm×全幅1695mm×全高1620mm
ホイールベース:2525mm
車両重量:980kg
エンジン:直312バルブDOHCインタークーラーターボ横置
総排気量:996cc
最高出力:72kW(98ps)/6000rpm
最大トルク:140Nm(14.3kgm)/2400~4000rpm
変速機:CVT
駆動方式:FF/4WD
乗車定員:5人
タイヤサイズ:195/60R17
5ナンバーサイズでこの力感
外形のサイズは5ナンバー枠に余裕で収まる全長4m以下。軽自動車で培ったパッケージングの技術を生かし、室内はかなりの広さを確保していた。これにより、市街地や駐車場での小回り性と、室内の使い勝手&快適性を両立している。
デザインは、コンパクトなサイズではあるが、力強さを感じられるもの。フロントフェイスは、シャープなライトとブラックの大型グリルで構成。どことなくトヨタの某車に雰囲気が似ているような。後ろからみると、左右ライトを横基調の加飾でつなぎ、幅広感を強調。コンパクトだがスタンスのよさ、踏ん張り感もきちんと出ている。サイドはタイヤなど足まわりのしっかり感を強調。絶妙の「張り」のあるドアパネルの面表現も見どころで、SUVらしい力感あふれるデザインとなっている。
運転席に座ってみると、センターディスプレイが若干ドライバーのほうを向いている。いわゆるドライバーオリエンテッドなコックピットで、運転を楽しめそう。もちろんスポーツカーほどではないので、助手席の人もリラックスして乗っていられるデザインだ。センターデイスプレイは9インチ。まるでタブレットがダッシュボードに刺さっているかのようにも見えるすっきり感である。ソフトパットも貼られていて、上質な雰囲気だ。
最近は、先進安全装備、衝突安全対策のため、インパネの内部はかなり窮屈で、室内の広さを圧迫してきているが、開発陣の設計努力により、かなり広い室内が用意された。さすが小さな軽自動車で鍛えられたダイハツの内装設計陣だ。シートにはオレンジの差し色が入っているが、これもポップでおしゃれ。リヤシートはスライドはしないが、1段階のリクライニング機能付き。大人が座っても、膝前には余裕がある。
もうひとつ注目なのがラゲッジスペースだ。「子供2人の4人家族がキャンプ道具を積み込めるように設計した」というほどで、コンパクトな外観からは想像できない広さを誇る。フロアボードの下も深く、こちらにはスーパーのバスケットが2つ入るスペースを確保しているという。
先進安全装備もひととおり装備。追従クルーズコントロールやはみ出し防止のステアリングアシストは渋滞時にも作動するタイプ。死角にいるクルマを検知して知らせるブラインドスポットモニターも搭載している。
さて、このコンパクトSUV、おそらく「ロッキー」は、ダイハツだけでなくトヨタでも展開されるという噂。トヨタ版のデザインは差別化されるのか? ハイブリッドなどもパワートレーン展開は? まだまだ秘密の多い新型コンパクトSUVだが、正式発表までカウントダウンに入っているはずだから、もうすぐすべての謎は明らかになるだろう。
使い勝手の非常によさそうな新型コンパクトSUV。ダイハツとしては最上位モデルとなるだけに、その力の入れようは半端ではない。おもしろそうな、ワクワクするクルマが、また1台登場した。
〈文=編集部・太田 写真=久住伸之/本誌・太田〉
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