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VWゴルフ1にオーバー500馬力のV8エンジン搭載! 世界のチューナーたちを震撼させた衝撃のプロストリート仕様!

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VWゴルフ1にオーバー500馬力のV8エンジン搭載! 世界のチューナーたちを震撼させた衝撃のプロストリート仕様!

ため息が出るほど美しく仕立て上げられた84年式Mk1.ラビット

ホットロッドの妙技を武器に550psオーバーのV8を搭載

VWゴルフ1にオーバー500馬力のV8エンジン搭載! 世界のチューナーたちを震撼させた衝撃のプロストリート仕様!

初代と5代目のモデルだけ、アメリカでは『ラビット』という車名で販売されていたフォルクスワーゲン・ゴルフ。世界各地でアプローチの異なるカスタム文化が花開く、人気のベース車でもある。

ホットハッチの伝統が息づく本場ヨーロッパでは、パフォーマンス重視のチューニングが主流。アメリカでは昔から空冷モデルに人気が集まる一方、ゴルフやアウディ各車は「ウォータークールド(水冷)」という別のジャンルとして捉えられ、カスタマイズも盛んに行われている。

だが、アメリカ・ペンシルベニア州在住のコナー・ホフォードがビルドした84年式Mk1.ラビットは、そうした既存のジャンルに収まらないオリジナリティ溢れる1台。本人から聞いた製作の経緯とコンセプトが、とにもかくともユニークだ。

「子供の頃から小さな欧州車も好きでしたし、アメリカ伝統のホットロッドも好きでした。相容れないものだからこそ、逆に組み合わせてみたら面白いんじゃないかと思い、ある時ラビットGTIをベースに『プロ・ストリート』を作ろうと発想したんです」。

プロ・ストリートとは80年代のアメリカで流行したカスタムスタイルで、ドラッグレーサーをモチーフにした合法的ストリートカーを指している。ストックボディに過給機付きのデカいエンジンを積み、ナローなリヤアクスルにぶっといタイヤを履かせ、車体にがっちりロールケージを組む…といったイメージ。コナーのラビットも過給機こそ付いていないが、基本的に同じ手法で製作されている。

完成状態の外観からはまったくわからないが、フレームはコナー自身が鋼材を溶接して作った完全ハンドメイド。V8エンジンと4速トランスミッションを縦置きするシャーシをイチから作り、2代目マスタングのフロントクロスメンバー、ナロー化したフォード用リヤアクスルを合体させた。プロペラシャフトは寸法を合わせたカスタムメイドで、リヤサスにはオリジナルの4リンク機構も採用している。

細部を見ていこう。まずGTIオリジナルの1.8L直4に成り代わり、エンジンルームに鎮座するアメリカンV8エンジンから。ボアアップしたLQ4型鋳鉄ブロックに圧縮比10.5:1のフラットトップピストンをインストールし、LS3型アルミ製ヘッドを合体。

ピストン以外のムービングパーツや吸排気パーツにも、ホットロッドの世界で名を馳せるアメリカンブランドを投入し、550psオーバーのパワーをひねり出す。シャーシをイチから製作したとはいえ、V8を収めるのには苦労したそうで、オイルパン交換など地道な工夫も施されている。エンジンベイ、室内のセンターコンソール、ホイールは同じペイントで統一し、全体のまとまり感を演出した。

エクステリアも独特だ。アメリカ仕様は角型ヘッドライトと大型バンパーが特徴だが、欧州仕様の77年式GTIをモチーフにしたスキンチェンジを実施。丸型ヘッドライトやスモールバンパーを装着し、GTI純正色のロイヤルレッドでペイントした。

凝ったギミックも得意とするコナーは、純正のフューエルフィラーキャップを回転式のバッテリーキルスイッチに作り変え、フリップ式のリアライセンスプレートの裏に給油口を新たに設けた。

ホイールはゴルフにとって定番中の定番で、コナーもお気に入りだというBBSのRSをチョイス。ハブボルトとのマッチングが取れたのは、意外にもレクサスCT用に展開されていた15インチで、前後それぞれのオフセットを最適化したリバレルを施した。フロントは4.0Jで極細、リヤは10.0Jで極太というリム幅、フェンダーの内側に引っ込むナローなリヤアクスルがプロ・ストリートの証だ。

リヤの4リンクサスもコナーが自ら手がけたものだ。フロントのホイールディスクはWilwoodの大径ブレーキとの干渉を避けるため、裏側をマシニングしてある。

そんな超美麗なエクステリアに負けじと、インテリアもFRP製のダッシュボードにレザーを貼ったフルカスタムメイド仕様となる。ゴルフ7のGTIに使用されているチェック柄のトリムが随所に取り入れられているのも面白い。

ワンオフのセンターコンソールにはHURSTのシフターの他、エンジンスターターやパワーウインドウのスイッチをレイアウト。レースパックのデジタルダッシュをマウントした10点式ロールケージは、お手製のフレームに直接溶接されている。

“ないものは作る”の精神で車体の土台からクリエイトし、最終仕上げでは溜め息が出るようなフルカスタムを施す。そんな正真正銘ホットロッドの流儀で生み出されたラビットは、SEMAショー2017に出展されるや大きな話題となった。数ある出展車両の中から優秀な作品を表彰するバトル・オブ・ビルダーズではトップ40に輝く快挙を成し遂げている。また、情報が瞬時に拡散するSNSにおいても、アメリカとヨーロッパ双方のVW愛好家から「その手で来たか!」と賞賛を浴びまくった。

初代ラビットで実現したV8搭載のプロ・ストリート。世界中を見渡しても、これしかないであろうオンリーワンな1台を作り上げたコナーは、晴れやかな表情で振り返る。

「人が選ばないベースで人がやらないことを完成させることが好きなので、多くの人に認めてもらえてうれしかったです(笑)。次は50年代にアメリカで生産されていたナッシュ・メトロポリタンというオールズモビルをベースに、ロータリーエンジンを積んだプロ・ストリートを作る計画です!」

この男、飄々とした顔をしながら、どこまでぶっ飛んだことを考えているのか、底が知れない…。

Photo:Akio HIRANO Text:Hideo KOBAYASHI

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